盾(注意:本編の81話の途中に入れても良い物です)
本編に入れても良かったのですが、少々文字数が有るので、こちらへ来ました。
「シュペックー盾貸してー」
「いいよ、何に使うの?」
「盾って、盾意外に何か使えるの?」
「カームの事だから『常識にとわれちゃ駄目だ』。とか言ってスコップにするのかと思ったよ」
「スコップ持ってるのに? まぁ穴掘るのもに使えるけどね。全部鉄でできてたらフライパンにもなったんだけど」
「・・・初めて木製の盾で良かったと思ったよ」
「いや、フライパンはもう有るから」
「クチナシー盾貸してー」
「いいけど、何に使うの? 変な事に使わないでよね」
「盾として使うから大丈夫だよ」
「・・・カーム君の事だから変な事に使われそうで」
「盾としてしか使わないから、ソレは約束する」
「ならいいけど」
俺が何か持つと、それ以外の使い方しかしないとイメージが強いのだろうか?
目の前にはリリーとミエルが居る。
「ってな訳で盾を借りてきました。今から盾の恐ろしさを教えます」
「攻撃を防ぐだけだよね? 何が恐ろしいの?」
「僕も解らないよ、何が怖いのかさっぱりだよ」
「実戦で使われれば解るよ、じゃぁやってみようか」
そう言って俺は、シュペックから借りた小丸盾を左手に、マチェットの変わりに短い木の棒を持った。
「じゃぁ、今回は一切魔法を使わないから」
そう言って盾を前に出し「いつでもどうぞ」。そう言うとリリーは穂先の無い練習用の槍を構え、前傾姿勢で突っ込んできた。
相変わらず単調な攻撃だな。そう思いつつ俺はも前に走り、盾で槍を外側に反らし、持っていた棒で、鎧を着ていたら多分隙間が出来ると思われる場所を軽く触る様に叩く。
「前にも教えたでしょ、動きが単調だって。突っ込むんじゃなくて、足元や胴を薙いでも良いし、縦に振っても良いし、少しずつ距離を縮めて様子を見ても良いんだからさ、長さを活かそうね。はい、もう1回」
それからリリーは何度か考えながら試すが、上半身への攻撃は全て俺の盾にはじかれ、足元への攻撃は回避して攻撃が当たらない。
「お母さん譲りで力が強いから、もう少し力を入れて盾ごと体を吹き飛ばすか、引く事を覚えるかだね、んじゃ休憩。次はミエルだ、おいで」
そう言うとリリーと交代で前に出てくる。
「今日は魔法戦じゃなくて、武器を持った相手にどう立ち回るか。ソレを考えよう」
「はい」
「じゃぁリリー、好きなタイミングで手を叩いて、ソレが合図ね」
そう言うと真剣な表情になり、少し腰を落とし、直ぐに動ける体勢を作った。
ミエルも、俺がどう動くのか考えているみたいだ。それからリリーが何を思ったのか合図をなかなか出さず、集中力を維持するのに、少し気だるくなった頃に『パンッ』と手を叩いた。
俺はリリーでは無いが、魔法使い相手に距離を取る事や様子を見るような事はしたくは無い。だから全力で駆け寄るが、ミエルの放った火球が数発、俺めがけて一直線に襲ってくる。ソレを全て盾で弾きつつ、全力で前に出て、首元に木の棒を押し当てる。
「いいか、魔法使いに前衛職が突っ込む時は、盾が有るだけでずいぶん心強い、これが相手が盾を持って居たら怖い所その1だ。盾が無ければ速度を落とし、避けながら前に出ないといけない、その場合は大抵味方の前衛がやってきて、俺が不利になるからな。だから相手はその前に、勝負を付けようとするだろうな」
「その1って事はまだ有るの?」
「そこそこ有る」
「嫌だなぁ」
「んじゃ次はこの棒は握ってるだけで使わないから。ミエル、さっきのリリーの時みたいに手を」『パンッ』
うぉ、なんじゃそりゃ。お互い構えて無いし近い!
リリーは直ぐに反応して、槍を構え突いてくるが、何とか体を捻らせて避けようとしたが、見事に体を捻った時に脇腹に思い切り付きを食らい、俺は悶絶した。
「まって、少しだけ待って!」
そう言って、俺は地面に倒れ込み、脇腹を抑え、5分唸り続ける。アバラだったら確実に折れてたな。
「確かに油断してたお父さんが悪いけど、さっきのじゃ盾の事を教えられないから」
脂汗を垂らしながら言って、今度こそ、槍の攻撃範囲内に滑り込み、盾で軽く胸の辺りを叩き、あっさりと勝負を付けた。リリーは少し驚いた顔をしている。
「盾は攻撃にも使える、さっきのが思い切り振って、当たった場所が顔だったらって考えてね、その事を忘れないように。小さい盾は回避補助か、攻撃を逸らすか、打撃に使えると俺は思ってる。これがその2。
次はこの大丸盾だ、これは主に本当に防御する物だと思っている。じゃぁ次は順番でミエルかな、あとこの盾に短剣と同じ長さの棒だとかなり不便だから、長剣位の棒を探してくるよ」
そう言って少し子供達を休ませ、棒を探す。
棒を見つけてきたので、先ほどと同じようにリリーに手を叩いてもらう。
ミエルは先ほどと同じように、火球を放ってくるが、俺が盾をどっしりと構え、右上の丸く欠けた場所から相手を覗きながら剣を突き出したまま突進するが、ミエルは剣が無い左側に回り込み側面から魔法を当てようとする。自分がその場で回るのと、俺の側面を取ろうと回るのでは速度が違う。
前に数回使われた後ろからの魔法にも警戒するが、動きながらでは集中し辛いのか飛んで来る事は無かった。
取りあえず、迫り来る盾の恐怖を味わってもらえれば良い。俺は少しずつ距離を詰め、ミエルの疲弊を辛抱強く待ち続け、隙を見て一気に距離を詰めるように突進して直前で止まり勝負を終わらせる。
「本当は集団で動いた方が良いんだけど、1対1でもかなり崩し辛いのが大盾だ。ちなみにこれも、防御だけじゃない。両手で持って体重を乗せ、思い切り突き飛ばす様に前に出して、相手を吹き飛ばしたり。地面に刺す様にして足を潰したり、倒れている相手に止めを刺すのも有りだ。リリー、その事に注意してかかって来るように。んじゃミエル、また手を叩いてくれ」
その後リリーは俺の盾を崩す事が出来ずに、じりじりと追い詰められて降参した。
「んじゃ、盾の話しはこれ位かな、本当は隙をついて投げたり、走って盾ごと体当たりとかしたかったけど、ソレだと怪我をする可能性も有るから今回は止めておいた。だから盾持ちには十分注意する様に」
「「はい」」
「けど、ミエルにはもう少し教える事が有る」
「え?なに?」
「盾に有効なのは、衝撃や打撃だ。火球だと簡単に弾かれる。だから石を投げるか、魔法で作って盾に当てれば、衝撃で盾で弾き辛いし、手が痺れるかもしれない。だから得意な属性だけで攻めるのは止めて、偶には他の属性も使う様に。けど盾でも防ぎきれない大きさなら大丈夫だ、そのまま巻き込めるからな。このまま得意な物を伸ばすか、不得意な物を無くすかは自分で決める様に」
「・・・はい」
「あとは武器だな、小さい物でも良いから何かしら有った方が良いだろう、自分に何が合うか少し考えておいた方が良いな。んじゃ盾に付いてはこれで終わり、風呂に入って夕飯でも食べようか」
閑話
「カーム!盾の皮の部分が少し焦げてるんだけど!」
「ごめん、子供達と特訓してる時に火球弾いた」
「え!?ちょっと、そういうのは事前に言ってよ!」
「カーム君!盾ボコボコなんだけど!」
「ごめん、子供達と特訓中に突かれまくった」
「むー、まぁ、盾として正しい使い方なんだけど、少しくらい言ってほしかったな」
むぅ失敗したな、風呂場のスノコで代用してけばよかったな。
CoDシリーズの盾を使い続けて5作品。それなりの成績を取れる腕前だと思いたいですが。
本編でいつかシールドバッシュを使いたいですね。
0キル15デス以下程度の成績で5000点以上出した時は脳汁が出ますね。