第7章 その1 恋の、ですにーらんど!
ようやく7章です! 巨大テーマパークです!
第7章
1
おれの人生初のバイトの夜は、波乱に満ちていた。
川野との計画がばれて窮地に陥ったり並河香織に敵認定されたり挑戦状を叩きつけ(?)られたりと、いろいろあったが、包み隠さずに話し合うことで、ひとまずは落ち着き、杏子との気持ちの行き違いも解消した。
といっても、何もなかったことになったわけではない。
並河が突きつけたのは、人生をやり直す! という課題だ。
おれの場合は、優柔不断で流されるだけのクラゲ。
川野は目的のために一筋に努力を惜しまないものの、思い込みが強すぎて空回り。
言われてみれば、その通り。
どっちもどっち、はた迷惑だ。
救いも、ある。
決して、杏子に嫌われてはいない、ということ。
地に落ちた信用。けれど出直せ!
杏子の笑顔が、どんなにか大切だったのかを、あらためて実感した。
金欠恐怖症みたいになっていた、おれの状態を、杏子は知っていた。
知っていたが、なすすべがなく手をだしかねていたのだ。
おれも、なんてバカだったんだ。
親父からの学費や生活資金を使うことにためらいがあった。
意地を張るなら、そこではなかったんだ。
「雅人、知ってる? 親は、子供に教育を受けさせる義務があるの。いいこと、義務教育というのは、そういうことなのよ」
杏子がおれに詰め寄る。
「でも、おれたちは高校生だろ。もう義務教育じゃないんじゃ」
バカなの?
杏子のまなざしが雄弁に物語った。
「今のは、ほんの一例。高校生は未成年よ。親の庇護のもとにあるの。学費と食費その他は、雅人は、受け取らなくてはいけないの。でなきゃ、お父様に対して失礼だわ」
熱心な杏子の説得で、ようやく、オレも目を覚ましたのだった。
おれは親父を、やみくもに嫌っていた。
理由も意味もない!
すまなかった、親父。
心の中で、おれはやっと、素直に詫びることができた。
というわけで、クラス有志による学園祭打ち上げは、他のみんな、充や秋津、森太郎たちの口添えもあり、予定通り行われることになった。
……川野の密かな目的だった「杏子とデートしたい」という願いは、みんなにバレて、なんていうか、生暖かいまなざしで見られている。
そして、一つ、気になることが。
並河香織だ。
挑戦状の最後に、記されていた。
「あなたたちが杏子を幸せにできるならどちらでもいいし構わない。けれど悲しませるなら、杏子は、わたしがもらうから、覚悟しておいて」
並河香織は、おれたちに、恋のライバル宣言をしたのだ!
おれと川野は身が引き締まる思いだった。
だって、並河は一番怖いから!
まだ入場してませんでした。
次こそは!
 




