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異世界に行ったら、彼女が追ってきた。

作者: 水星

本当はこっちを連載にする予定でした(笑)

「少年、異世界に行く気はあるか?」



公園のブランコに乗って、ゆられているスーツを着た男はそう言った。





俺は虐めを受けていた。


中学では物を隠されたり、机に落書きされたりと幼稚な物だった。しかし、それが段々とエスカレートし暴力にまで発展していった。



高校に入れば変わると思っていたが、残念ながら俺の環境は変わらなかった。


季節は春に入ったばかりで、まだ桜が咲いている。部活をしている者は部に生き、そうでない者は帰宅する時間である放課後。体育館裏という虐める定番とも言える場所で俺は数名のクラスメイトから殴る、蹴るの暴力を受け、倒れた。










「今日はこれぐれいにしといてやるよ」



そう言って笑いながら去っていくクラスメイト。今日はということは次もあるのだ。



そう思いつつ、俺はただ地面にはいつくばって去っていく彼ら見ていた。



彼らが去って行ったのを確認し、痛む体を起こした。制服の乱れを直しながらため息をはいた。抵抗しても無駄だった。多勢に無勢。下手に逆らうと殴られる回数が増えるのでただじっと耐えたのだ。



幸か不幸か顔はそこまで腫れていないので彼女にごまかしは利くだろう。



「急がないとな」



俺は制服の乱れを直し、痛む体を引きずるようにして彼女が待っている正門に向かった。






途中、何人かの生徒や教師とすれ違いつつ正門に着くと



「蓮くん」



俺の名を呼びながら駆け寄って来る少女。綺麗というよりかわいい系であろう俺の幼馴染みにして恋人である防人京香がいた。



「ごめん、待ったか?」



「ううん、大丈夫だよ。…制服汚れてるみたいだけどどうしたの?」



心配そうに言う京香に対し俺は転んだだけだとはぐらかした。彼女に虐めのことは言っていない。中学から隠していることだ。もしかしたら気づいているのかもしれない。



「明日は休みだから、デートしよう。服買いに行って食事しようか」

だけど、京香に虐めのことは言わない。両親を事故で亡くした俺にとって彼女だけが唯一の味方で、彼女といるときだけが楽しいと思える時間だからだ。



第三者から見たら俺は滑稽なピエロかもしれない。



「蓮くんから誘ってくれるなんて嬉しいな。明日お父様が予定入れてるかもしれないからメールするね。あっ、安心してね。蓮くんとの予定より重要な予定なんてないから絶対時間作るから」



そのまま明日のことを考え始めトリップしだした

彼女を見て俺は軽く苦笑した。



突然、トリップしていたはずの彼女が急に真顔になり。



「蓮くん、私知ってるよ」


俺の目を真っすぐ見て、感情のない声でそう言った。



「……え」



唇の動きが終えた瞬間途端に心臓が高鳴るのを感じた。冷や汗が出て、呼吸が浅くなる。何を京香は知っているというのか。



「私、蓮くんのこと全部知ってるんだよ?



そうだ。明日はデートなんだっけ。



「好きな食べ物も、色も、得意な教科も苦手な教科も、ほくろのある場所も好きなお湯の温度も知ってるの……だからね」



最近行ってなかったから楽しみだな。京香に似合う服を見て、行きたがっていた喫茶店に行って。それからーー



「蓮くんが虐めを受けているのも知ってるんだよ……?」



抑揚のない声でそう言われた瞬間、俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。



「だから、安心して。私は蓮くんの味方だから。蓮くんを虐めてた奴ら許さない。傍観してた奴らも何もしなかった教師も!」



怒りをあらわにして拳を握りしめている。彼女がこんなに怒っている姿は初めて見る。俺のために怒っているのだ。本当は喜ぶべきなのだろう。だけど俺は彼女に何もしてほしくないのだ。



「……気持ちは嬉しいけと何もしなくていいよ。これは俺の問題だから」



「……なんで私を頼ってくれないの?私は蓮くんの彼女なんだよ?」

どうしてと彼女は泣いてる。涙をぽろぽろと流して。



「蓮くんは私を必要としてくれないんだ。頼ってくれない……いらないんだ!」



彼女はそのまま一人で走り去ってしまった。追いかける資格は俺にない気がした。俺が彼女を拒絶したようなものだ。



弱さを見せたくなかったのか、情けないと思われたくなかったのか。ただこれだけはわかる。俺はついに一人になったのだ。



気づいたら公園に来ていた。遊んでいる親子がちらほらと見受けられる。ベンチに座り深くため息をついた。



何故彼女を拒絶してしまったのか。頼らなかったのか、謝れば彼女は許してくれるだろうか?



だらだらと自問自答を繰り返す。気がつけば子どもの声は聞こえず月明かりと街灯が公園内を照らしていた。



(……帰ろう)



結局答えが見つからずベンチから腰をあげる。



「どうかしたのかね、少年?」



不意に声が聞こえた。声が聞こえた方へ振り向く。


「はっはっは」



そこには陽気に笑いながらブランコにゆられている男がいた。二十代後半くらいであろう、紺色のスーツ着こなしたサラリーマン風の男だ。



「あんたがどうした……」



思わずそう呟いた。



「さっきからずっとベンチに座ってうつむいていただろう?何か悩みでもあるのかね」



ブランコをこぎながら聞いてくる。あんたのほうがあるんじゃないか?とおもわす疑問に思ってしまう。


「話すだけでも楽になるかもしれんぞ。私に話てみるがいい。この私が聞いてやろうじゃないか」



そう力説する男。確かに話せば少しは楽になるかもしれない。俺は今日起こった出来事を話した。



「なるほど。虐めに暴力。挙げ句のはてには彼女にも振られたと。そして、少年は今辛く、絶望の中にいるということだな」



指を俺に突き付けて男はいう。



「まあ、ね。まだ高校二年の若造がってあんたは思うかもしれないけど」



社会人であろう男の方がもっと理不尽な目に合っているだろう。



「そんなことはないぞ。とにかく少年が今、辛いか、絶望していないかが重要なのだ。少年はイエスと答え。ならば、問おう」



俺はごくりと唾をのんだ。


「少年、異世界に行く気はないか?」



俺は決心して異世界に行った。



……京香のことが唯一の気掛かりだった。



そこから、異世界に行ったものの、何故か門番が京香を連れてきて、京香のヤンデレが悪化してたりと壮絶な異世界生活が始まったのであった。

昔はこんな作品思いついたなぁと思い、投稿しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 長編で読んでみたいです。 いつか執筆して頂けると嬉しいです。
[一言] これ頑張って続き書いてみたら?
[一言] やばい!! すごい続きが気になるストーリーですねw
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