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入れ替わり

作者: チェリー

 女の子が友達との約束の時間に遅れそうで、猛スピードで自転車をこいでいた。


一方、男の子が彼女が待っている場所へ全力で自転車を走らせていた。


 2人はそれぞれカーブを曲がった・・・。


 次の瞬間・・!!    キキー!!  ガン!!


それぞれの自転車が猛スピードのままぶつかり、2人は道に投げ出された・・・。


 次に2人が目を覚ました時は、もう病院のベッドの上だった。


しかし、何かが変だとすぐに気付いた。


 ・・・2人は、なんと入れ替わっていたのだ!!



女「あれ? おかしい! 自分じゃない!?」


男「なんだこれ!? どうなってんだ?」


「「あ!!!」」


男「俺だ!!」


女「うちだ!!」


「「そうなってるの!?」


 10分間の沈黙が続いた・・・


女「あの! 自己紹介しません?」


男「・・そうだね(苦笑)」


女「うちは、ユキって言います。」


男「俺はハヤトって言うんだ。よろしくね!」


ユキ「よろしく!・・・これから、どうする?」


ハヤト「俺たち、どうやら入れ替わっちゃったみたいだね!」


ユキ「そうだね(苦笑)」


ハヤト「あ!!」


ユキ「どうしたの?」


ハヤト「今日、彼女と待ち合わせしてたんだった!!」


ユキ「あ!!!うちも友達と約束してた!!」


先生「失礼しますよ! 2人とも目が覚めたみたいですね! 具合はどうですか?」


「「大丈夫です。」」


先生「よかった。 2人とも幸運にも大きな怪我はなかったので、すぐに帰れますよ(笑)」


ユキ「はい。」


先生「2人の家族の方が下の受付にいるみたいだから、早く行ってあげなさい(笑)」


ハヤト「はい。ありがとうございます。」


看護婦「先生! 診察、いいですか?」


先生「分かった。今行く! そういうことだから、私は先に。 お大事にね!」


「「ありがとうございました!」」


ハヤト「とりあえず、帰れるみたいだけど・・・。」


ユキ「でも、入れ替わったままでお互いの家に行くのは・・・。」


ハヤト「さすがに・・・ね(苦笑)」


ユキ「どうしよう。 これじゃ帰れない!」


お爺さん「君たち・・・何か悩み事でも・・あるのかい?」


ユキ「えっ!!」


お爺さん「話を聞いてあげようじゃないか(笑)」


ハヤト「いや・・・(苦笑)」


お爺さん「わしが見た限り、君たちはどうやら、入れ替わったのじゃろ?」


ユキ「なんで!!」


ハヤト「ウソだろ!?」


お爺さん「その様子じゃ、当たっているようじゃのう(笑)」


ハヤト「お爺さん! なんで知ってるんだ?」


お爺さん「わしは、この病院の古株じゃからのう。 なんでも知っておる(笑)」


ユキ「でも、こんなことって普通、当たらないでしょ!!」


お爺さん「入れ替わったのは、君たちだけじゃないからのう(笑)」


ハヤト「俺たち以外にも入れ替わった人がいるのか?」


ユキ「その人たち、どうなったの?」


お爺さん「1年に1・2回、君たちのように入れ替わってしまう人たちがいるんじゃ!」


ハヤト「マジかよ!?」


お爺さん「入れ替わった人たちは最低でも、約1週間は元には戻らない。」


ユキ「えっ!!」


ハヤト「なにか戻る方法は?」


お爺さん「1つだけあるが、危険じゃ!」


ユキ「危険でもいいから、教えて!」


ハヤト「俺たち早く戻らないといけないんだ!!」


お爺さん「戻るには、2人でもう1度ぶつかって入れ替わるしかないんじゃ!」


ハヤト「それなら、すぐにでも!」


ユキ「そうだね。ぶつかれば入れ替われる!」


お爺さん「しかし、ただぶつかればいいって話じゃないんじゃよ(笑)」


ハヤト「どういうこと?」


お爺さん「君たちはどうやってぶつかったんじゃ?」


ユキ「確か、自転車同士でぶつかった」


お爺さん「それなら、自転車にもう1度乗り、2人でぶつかった後に崖から落ちるんじゃ!」


ハヤト「はぁ!?」


ユキ「死んじゃうじゃん!!」


お爺さん「死なないさ(笑) 怪我はするが、入れ替われるなら平気じゃろう(笑)」


ハヤト「死なないなら。」


ユキ「入れ替われるなら。」


お爺さん「これがその崖の写真じゃ!」


ハヤト「うわっ! こんな崖は危なすぎるよ!!」


ユキ「ヤバイって!!」


お爺さん「後は君たちの勇気じゃな(笑)勇気が出たなら、連れて行ってあげよう!」


ユキ「どうしよう!!」


ハヤト「入れ替わりたいけど、この崖から落ちるのは・・・。」


看護婦「あれ?君たち、まだここにいたの? 下で2人のお母さんたちがずっと待ってるわよ!」


ユキ「はい。」


看護婦「ほらっ! 行くわよ。」


 半ば強引に看護婦に連れていかれた2人・・・


ハヤト「ユキちゃん!」


ユキ「何?」


ハヤト「俺、決めたよ! 入れ替わろう! このままじゃ絶対ダメだって!」


ユキ「そうだね! よし。 入れ替わろう!!」


 2人が入れ替わることを決意した瞬間、周りが急に真っ白になり、お爺さんの声が聞こえた。


お爺さん「決意したようじゃのう(笑) 君たちは勇気があるようじゃ。」


  さぁ! 入れ替わるのじゃ!!!


その声と共に、まぶしい光が差し込んできて、2人は思わず目を閉じた。


 2人が目を開けると、そこには自転車とそのすぐ下にあの崖があった・・・。


ユキ「この崖って、あの写真の!!」


ハヤト「ここで、ぶつかった時に落ちれば。」


ユキ「入れ替われるはず!!」


ハヤト「じゃあ、ユキちゃんはここから自転車を勢いよくこいで!俺はあっちからこぐから!」


ユキ「ハヤトくん! 短い間だったけど、ちょっと楽しかったよ(笑)」


ハヤト「俺もだよ! 入れ替わっても、友達でいてくれよ(笑)」


ユキ「うん! じゃあ、行くよ!」


ハヤト「おうっ!」


「「せーの!!」」


 2人は勢いよく自転車をこいで思いっきりぶつかり、その勢いのまま崖から落ちていった・・・。


「君たちは、入れ替わると決意したのが早い方じゃった。もっと遅かったら、元には戻れなかったじゃろうな(笑)」


2人はかすかにお爺さんの声を聞いた。


その声を聞いた数時間後、2人は病院のベッドの上で目を覚ました・・・。


ハヤト「あっ!! 元に戻ってる!!」


ユキ「本当だ!! やったー(笑)」


先生「失礼しますよ! 2人とも目が覚めたみたいですね! 具合はどうですか?」


「「大丈夫です。」」


先生「よかった。 2人とも幸運にも大きな怪我はなかったので、すぐに帰れますよ(笑)」


ユキ「はい。」


先生「2人の家族の方が下の受付にいるみたいだから、早く行ってあげなさい(笑)」


ハヤト「はい。 ありがとうございます。」


看護婦「先生! 診察、いいですか?」


先生「分かった。 今行く! そういうことだから、私は先に。 お大事にね!」


「「ありがとうございました!」」


ハヤト「あれ? なんかこのやりとり。」


ユキ「前にもあったような気がする。」


ハヤト「あのお爺さん、いるかな?」


ユキ「看護婦さんに聞いてみる?」


ハヤト「看護婦さん! この病院に80歳くらいのお爺さんいませんか?」


看護婦「そんな方はいませんよ(笑)」


ユキ「そんなはずありません! 私たち、お爺さんに会ってるんです!」


看護婦「そんなこと言われてもね(苦笑)あっ、前にもいたわよ。君たちと同じこと言ってた2人組。」


ハヤト「えっ!?」


看護婦「なんか、不思議な体験をしたとか言ってたわよ!」


ユキ「うちらも不思議な体験したんです。」


ハヤト「俺たち、崖から落ちて。」


看護婦「あなたたちは、自転車同士でぶつかったんでしょ(笑)」


ユキ「そうですけど、その後に崖から!」


看護婦「崖から落ちたら、そんな軽傷で済むわけないでしょ(笑)夢でもみたんじゃないの?」


「「そんな・・・。」」


 後から先生に聞いた話で、全てが分かった。


2人は自転車でぶつかった後、今さっきまで目を覚まさなかったこと。


2人が見たお爺さんは、この病院には1度も来たことがないこと。


 2人は、衝突事故に遭った後、夢の世界で入れ替わり、お爺さんと出会った。


 あの後、崖の場所に行くと、花が供えられていた。


調べてみると、あの場所で衝突事故に遭い、80歳くらいのお爺さんが崖から落ちて死亡したということが分かった。


そのお爺さんこそ、2人が見たあのお爺さんだった・・・。


 もし、2人が入れ替わることを決意するのが遅かったら、今頃・・・。


「もっと遅かったら、元にはもどれなかったじゃろうな(笑)」


 不意にその言葉が聞こえた・・・・・。   end

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