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ロボットコレクション  作者: 藤村文幹
ロボット&キャラクター紹介編
4/7

ファランクス2(世界観1)

ファランクス2のSSと設定、そして登場キャラクター二人の設定です。

「なあアニー。ファランクス2っていつからだっけ?」

 股下でカットしたジーンズにTシャツを着ただけのエリーが隣のオペレートブースに座る同僚に話しかけた。

「何を今更。もう今回からファランクス2よ」

 エリーの同僚、アニエスは事も無げに答えた。

「機種交換全部終わってるし、基本は変わらないから通信での呼称はファランクスのままだけど」

 アニエスは座席下のマニュアルを手に取り、表紙の「ファランクス2」という文字列を指で差す。適当な友人の性分に眉を顰めるアニエスではあるが、彼女の逸る気持ちが分からないでもないのだった。自身もファランクスのオペレーターであり、新しい機体は楽しみだったのだ。

「ってことは今からはファランクス2なの?」

 エリーがヘッドセットを装着しながらアニエスに聞く。ヘッドセットは情報投影ゴーグルとマイクがついただけの簡易なものである。

「そうよ」

 座席下にマニュアルを戻し、自分もヘッドセットを装着しながらアニエスは答えた。

 ファランクスとは人型ロボットを遠隔操作で動かし、ミサイルや敵機を迎撃するCIHWSの事だ。遠隔操作の関係上、ラグを限りなく抑えるために艦船の周囲を守ることを主としている。二人とも、ファランクスのオペレーターだ。

「今日はいくつ倒せるかな」

 エリーが楽しそうに一人呟く。呟き、という声量ではないが、気にするモノはいない。ここ、ファランクスのオペレート室にいるものは程度の大小はあれど、同じ気分だからだ。

「最近のバグスは手強いのが少ないからね。数だけ多いから……つまらないわ」

 エリーの呟きにアニエスは嫌そうに返す。

「でも星が増えるんだからいいじゃない。ホラ見て、あたしの星!」

 エリーはオペレートブースのフックに書けたスターシートを指さす。撃墜数を表す星を表示できるペーパー(電子ペーパー)。ファランクスオペレーターの一人が始め、広まった娯楽のようなモノ――軍の中では黙認されている――だ。

 そこには星が40個ほどならんでいる。星一つで100機のバグスを倒した計算である。エリーは20回程度しか出撃していないので、多い方だった。

「前ので4個も増えたんだ!」

「知ってる」

 はしゃぐエリーにうんざりといった顔で答えるアニエス。

「何度も言ってくるから覚えちゃった。413でしょ? 前回の撃墜数」

「今日はもっとがんばるもんね」

「はいはい。そろそろでないと駄目ね」

 さっきから艦全体に揺れがなんども起こっている。バグスに攻撃を受けているのだ。

 オペレートブースにはREADYと赤く表示されている。あとは座ってスタートボタンを押すだけだ。

 酷く単純化された敵機表示は感覚を麻痺させる。恐怖を消し、危機感を摩耗させる。

 エリーもアニエスも、艦がやられるその時までこのゲームを楽しむだろう。これから、ずっと。

「それじゃ、エリー・ゴルドン。出るよ!」

「同じくアニエス・ヴェルディナ、出ます」

『了解。二人とも、がんばってください』

 二人の出撃コールに通信士のころころとした高い声が答えた。モニターは既に戦場を表示――自機を中心に据えたレーダーと、加工された機体の前方映像/迫り来る敵機を写している。

「さ、バグス落として星ゲットすっぞー」




CIHWS-002 ファランクス2


 ファランクスから設計を見直し、多少の改良を行った機体。とても低コストで、艦内のオペレートシステムから操縦する点も同じ。

 CIHWSはClose In Humanoid Weapon System の略であり、CIWSの代替となるものである。

 操縦系統は単機コントロールと複数機コントロールがあり、操縦オペレーターの適性によって振り分けられる。

 単機コントロール:細やかな操作が可能。柔軟性高い。一人当たりの戦力火力は低い

 複数機コントロール:大ざっぱな操作しかできない。一人で隊列を組める。一人当たりの戦力火力が圧倒的に多い。

 主にワープして母艦の直近に現れる敵に対して対処するためにCIHWSは存在する。ミサイルや砲弾を母艦近くにワープされた場合、防ぐ手段は身を呈してかばうしかないが、CIHWSならパイロットを失う心配はない。ある程度の距離を稼ぐため、空間歪曲場によって座標を指定しづらくすることで艦内部やかばえない距離へのミサイルまたは砲弾ワープアウトを防いでいる。

 001から大きな変更点はない。操作性の向上とオペレーターインターフェイスの改良。性能の向上程度。

 設計元であるファランクスはバグスからの攻撃にもっとも耐えた名機である。が、損耗率は激しく、決定的な対抗手段ではなかった。相手は大量にワープアウトし、倒しても倒しても湧いてくる。一回の戦闘につきオペレーター一人当たり5,6回コントロールしているファランクスを落とされることもザラであった。また撃墜数も多く、3桁は当たり前、多い者は4桁後半に突入する。バグスの在庫が尽きるまで戦い続けるしかないその戦いはオペレーターの精神を容易く麻痺させる。

 ファランクス2はファランクスと同じく艦の防御を担当する。決定的な対抗手段としての役割はドラグーンに与えられたからである。



エリー・ゴルドン

 ファランクス系のオペレーター。単機コントロール。腕は良い周囲への注意が散漫で、防御がお粗末。余りにもよく落とされるので、落とされても死なない戦争に感覚が麻痺している。

 21歳の軍人ではあるが落ち着きはなく規則にも緩い。ゲームセンターのエース発掘シミュレーターゲームで好成績を収めスカウトされたという経緯がある。このあたりが感覚の麻痺の一因にもなっているとの診断書もある。

 ファランクスの使い方が荒く、整備士を激励することもないので整備士からの人気は無い。逆にパイロットの同僚や、艦の乗組員(整備系以外)にはその容姿から人気がある。



アニエス・ヴェルディナ

 エリーの同僚。ファランクス系オペレーターの複数機コントローラー

眼鏡を掛けた冷たい目の美人

 23の軍人18からEARNの軍に所属し、軍の規則を叩き込まれている。上下関係にも厳しく規則にも厳しい。なぜエリーの友人をやっているのかは不明。

 エリーほどではないがやはりゲームのような戦争で感覚が麻痺している。

貴方の感じた違和感はおそらく正当なものです。

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