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祟られ体質の俺、疫病神仕込みの呪術で、世の中の不幸を無双します!  作者: 書仙凡人
離島での不幸編

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五の巻 イベント会場

   [五]



 空港を出た一行はその後、北条が手配したという、白いワンボックスカーがある場所へと向かった。

 じゃがその道中、幸太郎は違和感を覚えたのか、後方をチラリと見たのじゃった。

 どうやら、幸太郎の目には違和感の正体が既に見えておるのじゃろう。

 それから程なくして一行は、そのワンボックスカーに乗り込み、目的地へと向かったのじゃ。

 さて、また新たな不幸の旅の始まりじゃな。が、しかし……これは大変な不幸が待ってそうじゃぞ。

 誰も幸太郎に嫌悪感を見せなんだからのう。

 同行者に幸福な奴が1人もおらんという事になる。むぅ……これは楽しみじゃ。

 ま、そんな事はともかく、ワンボックスカーは暫し道を走り続けた。

 道中、車に向かって風で色んな物が飛んできたが、もう諦めて進むしかない。

 悪いの、皆の衆。

 さて、車は山へと向かって進んでおり、段々と見晴らしのよい景色へと変わっていきよった。

 眩い日の光に、青々とした緑の山肌と穏やかな大海原、それと澄んだ大空が美しい。

 不幸に似つかわしくない光景じゃのう。

 島嶼地域というだけあり、遠くを見れば海という感じじゃ。外界と切り離されたように感じられる所じゃった。 

 幸太郎は無言で、車の中からその光景をぼんやりと眺めている。

 こ奴は時折、物思いにふける事が多いので、何かを考えておるのじゃろう。

 ちなみにじゃが、この車内には今、幸太郎達の他に2名の新参者がいる。

 それは、運転手と助手席に座る見知らぬ男達じゃ。

 北条の話じゃと、運転手はイベント会社が手配した業者で、助手席の男は八王島役場の職員との事じゃった。

 どちらも年齢は30代から40代くらいで、どこにでもいる風貌の者達じゃった。

 北条曰わく、今から向かう場所は行政管理区域らしいので、色々と事情があるのじゃろう。

 さてさてそんな事はさておき、この車内はじゃが、今は初対面の者達ばかりなのもあり、無言の空間となっておった。

 互いに緊張しておるようじゃ。

 とはいえ、幸太郎は違うがの。

 こ奴の頭の中は厄落としの事で一杯じゃからな。

 (おぬ)の気をおすそ分けできる者には条件があるので、それをクリアできる者を探さねばならぬのじゃ。

 誰にでもおすそ分けは出来ぬので大変なのじゃよ。

 言うなれば、獲物を探す野獣みたいなモノじゃろうかのう。ほほほほ。

 するとそんな中、幸太郎の隣に座る北島という女子が口を開いたのじゃった。


「これは今、どこに向かってるんですかね? 私、離島の施設としか聞いてないんですけど……」


 吉川と手島はその言葉を聞き、北条へと視線を向けた。


「チーフ……話してもよろしいですか?」


 吉川がそう言って、運転手をチラッと見た。


「吉川君、私が話すわ。北島さん、今から向かうのは、この山の上にある施設よ。ちょっと曰く付きの施設なんだけどね……」


 北条がそう答えた。

 幸太郎も言っておったが、このイベントは色々ときな臭いらしい。

 不自然に秘密にしてる部分が多いのだそうじゃ。


「ええ……曰く付きなのですか? 怖そうですね……」


「そんなに怖がらなくても良いわよ。洞窟と繋がってる建物ってだけだから」


「ええ、洞窟ですか。なんだか怖いですね。暗くてジメジメしてそうで……」


 するとそこで、助手席に座る男が後ろに振り向いた。


「大丈夫ですよ。そんなにジメジメはしてませんので。ただ……あの洞窟はもともと旧帝国海軍の地下基地があった所ですので、そう言う意味での曰わくがあるだけです。今はただの廃墟ですので、ご安心して下さい」


「そうよ。今はただの廃墟だから安心してね。あ、そうそう。この方は八王島役場の宇喜多主査です。今から行く施設を管理する担当部署の方ですよ」


 北条がそう言うと、助手席の男は軽く会釈をした。


「八王島役場の宇喜多です。よろしくお願いします」


「今日からよろしくお願いしますね、宇喜多主査」


 後部座席の者達も北条の言葉に続き、「よろしくお願いします」と言いながら、軽く頭を下げていった。


「いや、こちらこそよろしくお願いします。ところで北条さん……貴堂グループの件ですが、よろしくお願いしますね」


「ええ、お任せください。先方はもうそのプランで動いてますので」


 そういえば、このイベントに関して幸太郎は興味深い事を言っておったのう。

 幸太郎も色々と背景を探ってたみたいじゃ。

 さてさて……どんな不幸な事が待ち受けてるんじゃろうな。

 今から楽しみじゃ。


「北条さん、1つ聞きたいんですけど?」


 お、幸太郎が質問するようじゃな。


「三上さん、何でしょう?」


「今日は、我々だけですか?」


「ええ、そうですよ。それがどうかしましたか?」


「いえ……ただスタッフの数が気になっただけです」


 幸太郎はそう言って、車のサイドミラーを何気なく見ていた。

 何か気掛かりなモノでも見えたのじゃろう。


「はい、今日はこの7名だけです。スタッフは我々だけですが、イベントの準備はそんなに掛かりませんから、安心して下さい」


「そうですか。わかりました」


「あ、そういえば、三上さんは今日、フェリーで来られたって本当ですか?」


 すると続いて、北島という女子が声を上げた。


「ええ、そうですよ。私、在学中にちょっと飛行機が嫌いになる出来事がありましてね」


「そうなのですか。でも意外ですね」


「意外? なぜです?」


「三上さんて、アクション俳優みたいというか。映画で見るスパイっぽいんですよ。飛行機とか好きそうなイメージなんですけどね」


 幸太郎は苦笑いを浮かべ、首を傾げていた。

 こういう、遠慮せずにグイグイ来る女子は、幸太郎は苦手かもしれぬのう。


「そ、そんな風に見えるの? そっちの方が意外だけど」


「それに、身体もガッチリしてるし……ちょっと触っても良いですか?」


「え? ま、まぁ……」


「では」


 北島という女子は遠慮せず、幸太郎の上腕二頭筋に触れてきた。

 他の者達は、微妙な表情でそれを見ている。

 しかし、なかなか好奇心旺盛な女子のようじゃ。

 幸太郎もまんざらでもないのか、少し照れておるわ。ウケる。


「凄いです……意外とマッチョなんですね……本当に強そうです」


「ま、まぁ……そこそこは鍛えてはいるんでね。でも筋肉なら、春日井さんの方が凄いと思いますよ」


「はっはっはっ、私は空手家だが、ボディビルの大会に出た事もあるからね」


 春日井という男はニヤリと笑みを浮かべると、腕を曲げて軽くポージングして見せた。

 モリモリとした力瘤が現れる。

 じゃが、意外にも女は反応せなんだ。

 というか、渋い表情であった。


「私……そこまでの筋肉はちょっと……」


「若い子には、少し刺激が強すぎたかな。はっはっはっ……はぁ」


 春日井は残念そうに誤魔化し笑いをした。

 そこに痺れる、憧れるぅ~、とはならなんだようじゃな。ほほほほ。


「さて着いたようね。ここがイべント会場ですよ。今日から準備になりますんで、よろしくお願いしますね」


 と、北条が言う。

 どうやら着いたようじゃ。

 前方には古い西洋の洋館が、木々のない開けた場所にポツンと鎮座していた。

 おどろおどろしい所じゃのう。

 絵に描いたような不幸っぽい洋館じゃ。

 さてさて……何が待ち受けておるのやら。

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