冒険者ギルド
おはようございます。変人です。
第二話になります。最初からギルドの内容展結構早めやなと思いましが書きました
さてご覧ください!
白色のタイルが整然と敷き詰められた壁に、剣と盾が描かれた銀の紋章が掲げられている。併設された待合室の開口部からは、淹れたての紅茶の香りと、低い話し声が漏れていた。そこには戦地へ赴く前の一時を惜しむ者たちが集い、外の世界とは別空間のような、のどかな時間が流れている。
彼がギルドのドアを開け中に入った瞬間、柔らかな光に満ちたホールを支配していた穏やかな空気が、物理的な重みを伴って変質した。
談笑していた若者たちが一斉に口を閉ざす。彼らは成人して間もない、この施設に選ばれたエリートたちだ。仕立ての良い制服に身を包み、未来への全能感を瞳に宿した彼らの視線が、侵入者を排除すべき異物として捉え、値踏みするように注がれる。
彼は突き当たりに位置する、重厚な木目の受付カウンターへと歩み寄った。そこに座っていたのは、白い制服を隙なく着こなした女――アリアだった。
「登録を」
低く、抑揚を完全に排除した声が、ホールの静寂を切り裂いた。
アリアは驚く素振りも見せず、差し出された男の手を注視した。その手には戦い抜いた証であるはずのタコも、返り血の痕跡もない。しかし、指先一つに至るまで無駄な動きが削ぎ落とされ、効率のみを追求した機械のような冷徹さが、その白さに宿っていた。
「……綺麗な手だね。それほどまでに迷いを捨てた殺意は、この数年、見た覚えがないよ」
アリアの声には、称賛と憐れみが等分に混ざっていた。
「人は何人も殺している。綺麗ではない」
その瞬間、ホールの空気が物理的な低温を帯びて凍りついた。
最前列にいた新人の少年が、生理的な嫌悪に顔を歪めて椅子を引く。その背後の円卓で、琥珀色のエールを楽しんでいたベテランの男が、不機嫌そうに鼻を鳴らして吐き捨てた。
「……どいつもこいつも、血の匂いを隠そうともしねえ」
男は汚物を見るような目で主人公を睨みつけ、荒々しくジョッキを置いた。それは恐怖ではなく、平和な場所へ「戦場の毒」を持ち込んだ無作法者への、明白な拒絶だった。
アリアは否定も肯定もしなかった。事務的な手慣れた動作で、一枚の純白のカードをカウンターに置く。男は添えられたスタイラスを手に取ると、一瞬の澱みもなく、鋭い筆致で自らの名を刻み込んだ。
「はい、受理したよ。これを。失くさないようにね」
差し出されたのは、鏡面のように磨き上げられた鉄板だった。隅には『仮』の一文字が、消しようのない烙印のように深く刻印されている。
「それはまだ、正式な登録証じゃない。明日の試験を生き残り、泥を啜ってでも帰還して、ようやく一人前。……もし帰る場所があるのなら、今夜はそこでゆっくり休むといい。一度始まってしまえば、温かいスープを飲む時間すら、君には与えられないのだから」
アリアの言葉に被せるように、先ほど椅子を引いた若者が、震える声を隠すように嘲笑を投げかけた。
「よせよ、アリアさん。そいつには、何を言っても無駄だ。人を殺すことしか考えられない、旧時代の遺物なんだから。……お前さん、せめて今夜くらいは、喉を通るうちに上等な肉でも食っておけ。死体から鉄板を剥ぐのは、俺たちの仕事じゃない。清掃員の仕事だ」
一度も振り返ることなく、彼は踵を返し、出口へと歩き出した。大理石を打つ靴音は、最後まで一度も乱れることはなかった。
さて今回はいかがでしたか?
前は一人称視点でしたが少し違和感があったり物語の内容と違っていたため変更をさせていただきました。また、一部演出をカットさせていただきました。ご了承ください。
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