最初で最後の夜…
初めに私はホラーは苦手です。3人称視点で書いたけど本当にあったら怖いなと思って書きました。読んでみてください。もしかしたら怖くないかも知れません。
田舎にある、とある古民家…
都会からある4人家族が引っ越しをして来た。
父の優、母の奏、姉の愛菜、そして、弟の瑞斗。
父の優は、都会で医師をしていた。病院からこの村の診療所にやって来た。いわゆる派遣医師だ。
母の奏は、都会生まれの都会育ち。田舎に少し憧れを持っていた。そして、専業主婦で家族の家事全般をこなしている。
姉の愛菜は、中学を卒業して今年から高校生。新しい環境に少し戸惑ながらも新しい友達が出来る事に期待を寄せていた。
弟の瑞斗は、小学校を卒業して今年から中学生。仲のいい友達から離れ離れになり少し拗ねていた。
朝から引越しの準備で忙しかった。
とはいえ、平屋だったので部屋数は少なかった。
「愛菜!それはこっちに置いてくれる?」
「OK!わかった。」
母親の奏が、台所に荷物を置くのに姉の愛菜が一緒に手伝いをしていた。
父の優は、茶の間で黙々とテレビを設置していて、その横で弟の瑞斗がイヤホンを付けてゲームで遊んでいる。
そして、全ての引っ越しの準備が終わり、4人でルームツアーをした。
各部屋のルールを決めながら、見て回る。
最初に台所、次に茶の間、客室、寝室と行き、最後に風呂場に行く。
風呂場に行くのに木の扉に付いているドアノブを回して引いた。脱衣所と中がボヤけて見える透明度の低い引き戸があった。引き戸を左に引くと中には洗い場とその横に五右衛門風呂がある。
「おっ、五右衛門風呂か!」
父親の優は五右衛門風呂を見て感心していた。
姉の愛菜も興味を持っていた。
しかし、弟の瑞斗は風呂場に入らなかった。
風呂場やトイレにサニタリー用品を設置した母親の奏は初めてみた時に驚いていて、2回目は皆んなの反応を見ていた。
ルームツアーを終えて、4人でご近所さんに引っ越しの挨拶に行った。
その頃、誰もいないはずの風呂場から音が鳴る。
カタッカタッ、カタッカタッ
5秒後…
ピチャンッ、ピチャンッ、ピチャンッ・・・・・・
…
4人が挨拶回りから帰ってくる。
「ご近所さん、優しそうな方で良かったな。」
「そうよねー、少し安心したわ。でも、この家の変な噂を聞いちゃって夜寝れそうにないわ…」
「そうだなぁ、引っ越ししてくる家族が次の日には居なくなっているそうだし…その1日に何があったんだろうな。」
「お母さん、怖い…」
父親と母親の話を聞いていた姉の愛菜の体が少し震えていた。
「そんなの関係ないねっ!」
と弟の瑞斗は平気な顔をして家に入って行く。
すると、弟の瑞斗は急に外に出て来た。
「お母さん、なんか水の音がする。」
「えっ?台所の蛇口を閉め忘れたかしら。」
姉の愛菜は後ろから母親の服の裾に手を握りしめて一緒に家に入った。
その後から父親の優と弟の瑞斗も一緒に入っていく。
すると、台所の方ではなく何故か風呂場の方から音がする。
変だなと疑問に思いながら母親の奏は風呂場に向かった。
風呂場に行くと、シャワーヘッドから水が滴っていた。
水の音が風呂場内を反響して家中に響いて聞こえる。
「古いから緩んでいるのかしら。」
蛇口の回す所が少し錆びていて斜めに緩んでいる。
それを回して閉めた。
それから、昼ご飯食べて各自ゆっくり過ごしていると、外からポチャン、ポチャンとバケツに水が当たる音がした。
すると、徐々に強くなり大雨が降って来た。
外は夕日が沈み、暗くなる。
外は大雨の中、また誰もいないはずの風呂場から音が鳴る。
ピチャンッ、ピチャンッ、ピチャンッ、ピチャンッ・・・・
それに気づいた弟の瑞斗が叫んだ。
「お母さんっ!また風呂場から水が出てるっ!」
「やだわ、こんなにすぐ緩むのかしら?また明日、水道屋さんに連絡しないと。」
お風呂場に閉めようと向かうと、脱衣所に入る扉の前の床が濡れている。
「誰かしら?」
近くでよく見ると、人の足の形をしていた。
母親の奏はそんな事を気が付きもせず、脱衣所にあるタオルで普通に拭き取った。
そして、風呂場の蛇口も閉める。
この時、完全に風呂場の雰囲気が変わった。
その後、晩御飯を食べて、普通に風呂に入る。
父親の優と弟の瑞斗が五右衛門風呂に一緒に入ると、ガタッガタッと窓が震える。
弟の瑞斗はビクッと驚くが雨と一緒に風が吹いてるのだろうと考え、気づかなかった。
父親の優が先に出て、弟の瑞斗も五右衛門風呂から出ようとすると、何か引っ掛かる。
石造りの五右衛門風呂にお湯が入っているだけなのに引っ掛かる要素はない。何故だろうと思いながら、2回目に出ようとするとすんなりと出れた。
足を拭いていると、引っ掛かっていた足に鱗の模様が付いている。
不思議に思った弟の瑞斗は、おかしいと感じて父親の優に相談した。
「お父さん、このお風呂なんか変なんだけど…それにこの模様みてよ。」
「ん、そうか?いつそんなシール付けたんだ?跡がつくから剥がしとけよ!」
父親の優は、相手にしてくれなかった。
そして、就寝時間が来た。
寝室は扉から部屋を見て、右から父親、弟、姉、母親の順に横並びで4つ布団が敷いてある。
4人で並んで寝ていると、弟の瑞斗がトイレに行きたくなる。
誰かに付いて来て欲しいけど、思春期の瑞斗は3人を起こさずに一人でトイレに向かった。
トイレは脱衣所の扉の横にあった。
トイレで用を足して、寝室に戻ろうとした時、風呂場からまたピチャンッ、ピチャンッと音が聞こえる。
またかと思い、母親の奏に言おうとしたが寝ているのを起こしたら怖かったと思われるのが嫌だった弟の瑞斗は自分で閉めに行く事にした。
風呂場に行き、蛇口を閉めた。
その時、後ろの引き戸が突然ギッーっと錆がかった音で閉められた。
何事かと思い、弟の瑞斗が振り返ると、ボヤけて脱衣所が見える引き戸から黒い長い髪に白い顔で青色の服を着た女の人が大きい口でにやけているのが微かに見える。
体が強張り、硬直した。
すると、その女は脱衣所から出て行く素振りを見せた後、消えて行った。
寝室に3人が寝ていると思い、弟の瑞斗は咄嗟に引き戸を開けようとした。
しかし、何かに閉じ込められているようで動かない。
その瞬間、弟の瑞斗は目の前が真っ黒になって倒れてしまった。
その後、弟の瑞斗を見る者はいなかった…
読んでみてどうでしょうか?
ここ変だなと思ったら教えて下さい。直します。
少し読みやすくする為に消したり付けたりしました。