子竜ちゃん20歳 変態準備各地へ11
「人である身で、何故重荷を背負う?」
そう、長は聞く
それは、紫の木の種のこと?それとも、子竜ちゃんたちのこと?
どの質問かは、解らないけど、私の答えは一つ
「そう言う運命なんじゃないでしょうか
来た、聞いた、行動した
私には、それしか有りません
それに、楽しませても貰ってますよ」
そういって、笑うと、長は目を細めた
わらってるのかな?
「人よ、そなたは幼い
竜の時を生きるそなただが、
我らのように血の記憶を持たず
人の輪にも属さず、それで在るのは辛かろう」
そう言うのは、これからのことなのかな
確かに、竜のことは、少しずつ知ってきてるけど
結局の所はわからない
ただ、子育ては、どんな育て方をしても
竜は竜でしかないということで、安心して育てた
「先代の湖の王は、そなたにここで在れと願った
私は、逆を願おう
人の世で幸せになれと」
そういう、長の目は真剣だった
そのことについては、まだ考えられてない
結果もでてない
地球での生活をすてて、竜の国で生活するのはまだ出来ない
この旅で感じたこと、この世界で私の居場所がないってこと
各竜の里・巣には、もちろんのこと、道中も私が住めそうな場所は無かった
竜だから、住める場所、それが竜の国
だから、人は寄り添うように群れて暮らすんだろう
竜との接点を少なく
育てようとおもったら、私みたいに、何人も育てられると思う
ただ、それをする必要が、竜にも、この世界の人にもないんだと思う
竜は竜で、人は人で
子ども部屋にいつまでもいられなくて、
いたとしても、ご飯の問題も出でくる
でも、地球では違う
私の部屋、会社、そして家・・・ちゃんと居場所が存在して
私が、私である歴史がある
長は、そういう事をひっくるめて心配してくれてるんだ・・・
だから、私は正直に言おう
「まだ、そのことについて、
考えられないんです
あと、10回ぐらいは、渡ることができる
みんなの変態期間がどれくらいあるか不明だけど
その間は、地球に帰ります
そして、考えます
私にとって、大事な世界はどちらか、
私が、どうしたいか・・・を」
そう言うと、長は、瞳を静かに閉じた
「変態期間は、個人差があるだろう
短くても、5年、長いと20年というものもある
よくよく考えろ、人よ
その上で、竜の世界を選ぶなら
その時、私たちも考えよう
そなたの生き方を」
そう、約束してくれた
行きと同じように、風でどこかに運ばれる
「いってきますー」
ぱたぱたと飛んでるときわちゃんが、手を振る
ゆりかごを見つけたんだね
「いってらっしゃーい、しっかり大きくなって帰っておいで~」
って叫んだとたん
ぽろぽろと涙がこぼれる
一人になっちゃった
なんだかんだといって、ここでの私の心の拠り所は
子竜ちゃんたちにあったんだね
そう、自覚すると、涙が止まらない
胸が締め付けられるように痛い
夢渡りが出来ることを知ったのも冬
みんなが冬眠しちゃって寂しくなったから
7人もいて、にぎやかで、喧嘩はたまにしかしなかったけど
私のことになると、独占欲が強くて、
おかーさん取られるの嫌がって、
怖いはずのブロージュさんにも
攻撃しちゃうぐらいだった
お兄さんのようなヴェルデさんも
一緒にいる時は、必ず傍にいようとした
抱き締められたあと、それは強くなっちゃったよね
寒くて、震えてたら、魔法をつかって
頑張ろうとしてくれたし
自分が無理してでも私を助けようとしてくれた
護ってあげてるようで、護られてたんだよね
20年間、私の生きた年と同じだけ、
竜の世界で、暮らしちゃったのね
どっちが、大事で、
どっちが、好きかなんて、決められない
でも、こうやってひとりぼっちになるのは怖い
びゅうびゅうと風の音が、耳に聞こえる
私が泣いてるから、空にいてくれてるのかな
行きには、くすくすと笑う精霊の声が聞こえたのに
今は、哀しそうな風の音だけ
この世界はこんなに優しい
だけど、とても、不安
-大丈夫、いつか解る
-その時がきたら決まる
頭に響く声
え?ちかちかと緑の光が瞬く
精霊さんたち?
そうだよね、今、くよくよ悩んでもしょうがないよね
とりあえずは、帰ろう
それで、地球世界もみて、それから考えたらいいんだよね
「ありがと」
そういって、涙を拭う
きらきらと光が瞬き、くすくすと笑い声が風にのって響く
さぁ、帰ろう、地球へ!
続きは、また明日ー、頑張ってかきまーす




