子竜ちゃん20歳 変態準備各地へ9
極寒の冬です、なんでこんな時に飛ぶんですかー
去年の冬は、のんびりと白黒の里でしてた
今年もどこかに籠もらせてもらえると信じてたのにっ
こんなのってないよぉぉぉぉぉぉ
ことの発端は、去年の秋
もぞもぞとするたんぽぽちゃんとときわちゃん
ふたりきりで寂しいのかなぁなんて思いながら
おもいっきり遊んであげた
それが、予兆だったらしく
冬がきて、眠い・・・寝れないなんて
耳をさげてしょんぼりとしてる二人を
いやいやブロージュさんに見せてみた
「姫さま、変態期入ってますね」
なんて、地獄の一言
そうして、雪の中、出立
私は、籠の中で、もふもふのテントをつくって
ブロージュさんに運ばれてる
そうでもしないと、凍死するし
ときわちゃんの体の軽さでは、風に吹き飛ばれちゃう
冬の旅は竜でもいやみたい
まぁ、たしかに、子ども部屋にいた頃も
冬になると途端来訪数が減ったもんね
「姫さま、姫さま・・・」
現実逃避をしてたら、どうやら着陸してたみたい
「あ、はい」
とりあえず、返事、生きてますよー
よっこいしょと出ようとすると
たんぽぽちゃんがあぐぅー
「いってらっしゃーい」
なんて、ときわちゃんが手を振ってるけど
えー、私このままですか?
うう、寒い
たんぽぽちゃんが、ふわふわと谷を飛んでる
規模グランドキャニオン・・・って見たこと無いけどね
でも、そんな感じ
たんぽぽちゃんが谷の間を飛んでもまだ左右に距離がある
うねうねと続く谷間
下は・・・川・・・なのかな?
真っ白で何もみえない
『ごめんね』
頭の中で声がする、あれ・・・たんぽぽちゃんなのかな
ちらりと目をみると
どうもそうらしい
「大丈夫よ、頑張って探そうね」
もこもこの手で鼻周辺をぽんぽんとする
『うん、頑張る』
さっきのしょんぼりとした声とうって変わって
力強い声
「こら、どこいってんだぃ?」
ばさっばさっと後ろから音が聞こえたかと思うと
ルアンさん
「ついておいで」
そういって、ゆっくりと飛ぶルアンさんに
ぱさぱさと羽を動かして、必死なたんぽぽちゃん
・・・そういえば、ルアンさん黄竜だったよね
岩の裂け目のような場所の奥にある
黄竜の里
「まったく、勝手にいなくなるからびっくりしたよ」
そう言って、たんぽぽちゃん怒られちゃってます
でも、ちょっと助かった
あのまま、1時間2時間だと、私も凍死・・・とか・・・
考えたくない結果が
「ごめんなさい、聞こえたのに、聞こえなくなった」
しょんぼりしながらたんぽぽちゃんが説明する
「そうだろぅねぇ、冬は起きてる人が少ないから
聞こえるものが少ないだろうさ」
ほれ、挨拶しておいでっと促されて
たんぽぽちゃん、ぽてぽてと長のもとに行く
あれ、ルアンさんより小さい?
長って大きいんじゃなかったけ・・・
「黄竜のたんぽぽです
眠る場所必要です
探して良いですか」
ぺこりっ
たんぽぽちゃーん、お返事もらってないよー
お返事貰ってから、探そうよー
きょろきょろと落ち着かないたんぽぽちゃん
「構わぬ」
そう一言いうと、長も丸まってる
あれ、みんな寝てるのかな
「姫は、こっちにおいで
温泉があるから浸かりなよ」
わーい、温泉おんせーん
「はーい、おじゃまします
たんぽぽちゃん、温泉入ってくるねー」
「いくー」
あれー?来ちゃうの?
「探さなくていいの?」
ぺちょっとくっついてくるたんぽぽちゃんに聞くと
「そっちから探す~」
あーもー、ああ言えばこう言うタイプなのかしら
ま、いいけど
「じゃぁ、いこっかー」
結論から行くと、正解だった
たんぽぽちゃんと、ルアンさんと
ぬくぬくの温泉に浸かってひとこごち
他の竜もだるーんと半身浴してたりと
なんか気持ちよさそう
手足と顔の冷えが尋常じゃない
温泉にちょっとつけたら、じんじんと痛い
「ちょっと冷え過ぎちゃったみたいだねぇ」
ざばりと、ルアンさんは竜体で入る
あれ?壁ができた
「雄竜に見られてもいいなら、退くけど?」
なんて、ちゃめっけたっぷりに言われた
ううう、そんな公開ストリップ、もとい後悔ストリップは
したくないですよ
ルアンさんみたいに、ぼんきゅっぼんじゃないし
なんてことをいいながら、ぬくぬくのルアンさんにくっついてたら
じんわりと体がぬくもってきた
「う~っ」
もう、おっさん化しちゃいます
あーもー気持ちいい
肩まで浸かった私と思わず声が出た
目の前ではたんぽぽちゃんが、ちょぽーんちょぽーんと
温泉に潜ってる
ん?水の王さまみたいなのでいるのかな
顔をつけてみると
そこは幻想的な世界が広がっていた
岩壁から、突出するキラキラと光る石
水晶のような透明な石や、
翡翠やオニキスのように不透明のものもある
「凄い、綺麗」
ぷはぁと、顔を上げてルアンさんに言うと
「そうだろう~、石は黄竜の力の結晶みたいなものだねぇ
思い思いにつくっては、こうやって飾って
それが自然に育っていくんだよ」
そういうと、ルアンさんはおもむろに羽を広げた
ん?ああ、魔法をつかってるのかな
手に口元を置かれたので、手を広げると
何か落ちてきた
「わっ」
結晶化してる水晶、放射線状に広がってて綺麗
「こうやって作るのさ、それを、潜って好きな場所に埋めて
あとは、放っておくだけさ」
なんて、何気なく言ってるけど
自慢なんだろうなぁ~
だから、思い思いな場所で温泉に浸かって
たまに、頭を潜らせてる
冬のお楽しみ・・・なのかな
「私も潜ってみよう、はい」
ルアンさんに、石を返そうとすると
「姫にあげるよ、ああ、そうだねぇ、つけやすいようにしておくよ」
そう言って、受け取ってくれた
かなり綺麗だったから嬉しい
「じゃ、いってきまーす」
ぽちょんと潜ると、うん、圧巻
上からちょっとみただけより
下まで潜っちゃうと、プラネタリウムのように
きらきらといたるところで光り輝いてる
うっとりと眺めてたらたんぽぽちゃんに
つんつんとつつかれた
ん?と首を傾げると
「お休みなさい」
といって、たんぽぽちゃんは、石のある林の中を
すいすいと泳いでいっちゃった
うーん、あっさりしてるねぇ・・・
息もそろそろ苦しくなってきた
行ってらっしゃい、たんぽぽちゃん
上に上がるとルアンさんが、ネックレスを作ってくれた
シンプルだけど、石がはえて良い感じ
宝物が1つ出来ました
本日しゅーりょー、またまたストックがなくなりましたねぇ・・・遊び呆けてるわけじゃないのに、書く速度がおそくなったのか・・・まああと一人で変態準備完了ですヨ