子竜ちゃん19歳 変態準備各地へ7 昔話1
副題が・・・大変なことになってきた・・・
はるか昔、竜の森、紫の木が各地にあった頃
我々の数も多く、竜の国は安定した世界を築いていた
その世界に災害が起こった
その災害は、王が、そして、人がもたらしたものであった
王が病に倒れた
王が病む、それ自体が異常なこと
精霊に愛され、地に愛され
我ら竜に愛され生きるお方、
守護の中で尊ばれ強く気高き王
その王が、倒れた
それは、今だから言えるだろう
安定した世界の終わりであり
新たな世界の幕開けだったと
王は、世界と世界を繋いだ
そなたの住む地球以外にも住む生命体が
次々と、この地に飛び込んできた
それは、そのものにとっても最大の不幸であっただろう
その不幸は、憎しみに変わり
その生命体、人は、穢れと化した
次々に流れ込んでくる生命体
止まらぬ力の流出
我々は王を弑する
そなたを召還する時にも使われただろう呪文
あれは、王を弑する為のもの
王の守護を剥がす物
そいて、王が病み世界への扉が開かれる
生き物の大半は屠られ、食された
残りは、この地に順応し生き延びた
人は、人であるが為、竜を殺そうとした
人にとって、竜は脅威故に
しかし、我らは、人を保護した
生き物と同じく、狩り、食し、順応するが為に
そなたが飲んでいるのは
この木の蜜
春の新芽の間からこぼれ出る蜜
生命をより高め、はぐくむもの
我ら竜にとっては、毒に近い味だが
死の淵から、戻ってくることは出来る
今は、春にのみ、新芽をだすこの木も
昔は、常に新しい葉出した
そうして、このように育つ
人は、徐々に世界に順応した
竜の住処の幾つかを明け渡し
竜とは触れあわないと、協定を結ぶ
そうして、時が流れた
人は、瞬く間に生まれ増えた
次に争った
人の種族は4つにと別れた
竜の森、そなたたちが住む森に強き民が住まい
逃げ逃れ、湖、今の森に、そして砂漠へと移動して行った
砂漠の民は、竜に助けを求めた
人が人である事を忌んだ
竜は望みを叶えた
人が、人以外の生き物として生きられるようにと
砂漠で住むに適した生き物にと
湖と森の民は、共同戦をはった
そして、竜からの恵みを受け取った
彼らも、のちに、人ならざるものへと身を変えた
災厄の後で・・・
哀しそうで、暗い瞳
結構なお年寄りだけど、流石にその時代は生きてないよね
こくりと頷くと、竜は続きを語り始めた
森に住むものたちが、人の歴史を築きはじめた
王が立ち、家臣が連なり、集まった
人は力を手に入れた
我らは、ちっぽけな人など、脅威とすら思わなかった
むしろ、放っておけば、それぞれの暮らしを
動物たちのようにするだろう、とおもっておった
しかし、そうではなかった
木の蜜を集め、人はこの地に耐えた
それを独占し
小さな集まりの者達を迫害し、王の下に置いた
それは、森だけに収まらず
最初に逃げたものたち、湖の民、森の民に戦いを挑んだ
湖の民も、森の民も竜に友好的だった
むしろ、竜の友好を受け容れたと言えるだろう
竜がどうであるか、を頭で理解しようとし
積極的に関わった
竜は、人の優しさを知った
眠る子どもたち、優しく歌いあやす親
竜の子にもそれをなし、我らの手助けをしてくれた
竜の出産に人がいるとたやすいと気付いた
安全に卵を産むことは竜にとって必要なこと
その出産時間が短ければ、竜も安全である
そう、その頃
人による、子竜の乱獲が始まっていた
竜がいなければ良いということで、倒しやすい子竜から殺すことに決めたらしい
その次に、卵、と行こうとしたが
卵は、我ら親が踏んだとて、割れぬ強度
人には為すすべがなかった
しかし、生まれ出でる瞬間、産み落とされる瞬間
親子共々しとめる
そして、その肉を喰らい、強き者の証とした
水の王さまに、聞いた時には、そんな話はしてなかった
・・・竜の国で、竜が襲われることはないって
いってたのに・・・
体がぶるぶると震えてくる
なんで、殺すの?
なんで、そんな事ができるの?
こんなに、可愛いのに
こんなに、いい子たちなのに
それに、竜は、人が竜に関わらなきゃ何もしないのに
そう思ったとたん、涙が溢れた
姫さまは、優しい子じゃな
森の民や、湖の民もそう言って嘆いた
そして、人であることを辞めたのじゃ
戦うことは、必要なことかもしれない
だけど、戦わずにいられるなら、そうありたい
日々の糧を得て、自分の身を守る以外に
何故戦う必要があるの?と
竜は、戦いの一族
それを慮っての言葉だったのじゃろう
我らは、森の民、湖の民に、新たなる命を与えた
徐々に森に、湖にとけゆくようにと
そうして、彼らは、彼らの新しい命を日々生み出す存在になった
賢くなくていい、考えてしまうと
人より良くなりたい、えらくなりたい、楽したいって思う
だから、水の様に、木の様に
静かに、時には激しく生きたい
そう願った故に・・・
それを行うのに、竜にも代償は必要だった
強き竜を二人失った
しかし、それでも、我らに後悔は無かった
それをしている間に
やつらは、脅威を増していた
木の蜜を独占するため
木を殺そうとした
この紫の木は弱い木なのだ
生命のゆりかごになる木だというのに
少しの傷からじわりじわりと腐っていく
それに気付いたやつらは、自分の場所以外の木を傷付けていった
竜はそれを護った
白竜の癒しの力
我ら、紫竜の木の力
木に近づくものを屠った
しかし、人はどこからかあらわれ
飛び道具をつくり、次々とからして言った
それならば、と、我らは、やつらの居住区の木を
全て石に変えた
そうすることによって、数百年、数千年後に
その石からでる成分により、周りに木が生えることをしっておったから
やつらは、我らに戦いを挑んだ
そして、滅びた
しかし、滅びるのは我らも同じだった
ゆりかごが無ければ次世代の数は激減する
それは、どの生命にとっても同じ
精霊たちの嘆きの声が聞こえる
竜に対する恨み言も
まだ、のこっておった湖の民がこう言った
私たちが生きている間
この地を育てます
紫の木の発芽方法は、人の方がよくしっておった
そうして、彼らは増やし、育てていった
その時から、我ら紫竜は、記憶の管理人としての能力を得たのじゃ
「姫さま、そなたにも紫の木の育て方を教えます
この世に留まり下さい」
今日はおしまーいでーす