子竜ちゃん18歳 変態準備各地へ2
じゃ・・・若干長いかも
あ、熱い
暑いでは、なく、熱い
黒い山に降り立った私たち
地上ではちょっと暑いだろうなぁと思ってたけど
まさか、熱いとは思わなかった
黒く見えたのは、全て溶岩が冷えて固まったもの
時折赤く見えるのは、溶岩本体なのか
赤い竜なのかは、不明な所
降りてくる私たち一行に
吼えるような鳴き声が下から聞こえてきた
べにあかちゃんは負けじと、吼え返す
うーん、だれだー、きたよー的な感じなのかなぁ
「こっちこっちー」
手を引いて、べにあかちゃんは進む
「姫さま、私たちは、ここでおりますので」
他の子竜ちゃんたちも、バイバイと手を振る
うーん、見送ってくれるのは嬉しいけど
なんか、見捨てられた気分よ
せめて、厚い上服だけ縫いで、
べにあかちゃんの後に続く
とすとすと、軽やかにいくのはいいけど
昔と違って大きいんだから歩幅を考えてほしい
「まって~べにあかちゃん」
そう言うと、くるりと立ち止まって
えへへと笑ってる
べにあかちゃんの向かう先には
ぽっかりと穴が開いてる
洞窟なのかな?
「大きくなったの忘れてた」
見下ろしながらそう言われると
なんだか寂しいけど、
いっぱいいっぱい大きくなっちゃったんです
「あそこいったら、待ってるから行こう」
うきうき気分のべにあかちゃん
足場は、悪いし
冬用の室内履き、そこは十分に厚いとはいえ
歩きにくい・・・
「乗る?」
心配そうに聞くので、乗せて貰ったけど
べにあかちゃんは、揺れる
洞窟につく頃に、酔う寸前だったわよ
うう、よかった吐かなくて
「ごめん」
きゅうきゅぅと鳴きながら、座り込んだ私にすり寄ってくる
「もう大丈夫だよ
次はもう少し静かに歩いてね~」
締める時には、締めとかないと、次回が困る・・・
「またアンタか」
棘のある声が上から振ってきた
前のむかつく竜だよね
返事をせずにいると
「竜の巣になんのようだ、人間は帰れ」
そう言ったとたん
べにあかちゃんが羽を広げて怒った
「護り人、はいる出来る!
竜、失礼なこと言わない」
日頃の教育って大事だなぁとしみじみしちゃった
手を出すじゃなく、相手の間違いを正す
これは大事よね
うんうん、と頷いてると
「ふんっ」
と、鼻で笑って
「そりゃぁ、失礼したな
オレは、赤竜のロートリアス
ここは竜の巣だ
しかるべき用件を述べろ」
見下ろす赤い目
明らかに怒ってる、この人ほんっと大人げない
それに対して、うちのべにあかちゃんは
オレンジ色の綺麗な目で、ロートリアスを見つめてる
あれ?見つめて大丈夫なのかな?
「赤竜のべにあか
眠りの時期、長に会う
安らげる場所探す為来た」
言葉はつたないけど、ちゃんとした説明だったのだろう
ロートリアスは、中へと首を振り歩き始めた
「行こう」
そう言った、べにあかちゃん、若干怒った声
「頑張ったね」
撫でると、くるくると鳴いて
「ちゃんと護れた?」
と、小首を傾げる
ああ、怒ったのは、私を護る為だったんだ
ロートリアスの失礼さにだけ怒った訳じゃないんだね
「うん、ありがとう、嬉しかったよ」
頬にちゅっとキスをすると
尻尾をまぁるく描くように振る
うーん照れてる、照れてる可愛いなぁ
「早くこい」
そんなことをやってる私たちに、ケチなロートリアスが
遠くから声を掛けてきた
羨ましくても、してあげないよーだっ
竜の間とでもよべばいいのか、たくさんの竜が思い思いの場所で
腹這いになってる
好奇心と疑心が入り交じったような視線を感じるけど
まぁ、竜は総じてそういう生き物っぽい
ルアンさんも、これは何、あれは何?と興味津々だったもの
のほほんとしてると、ひときわ大きな竜の目の前に連れて行かれた
「長、変態期の子どもだ」
そう言って、ふいっと、去ろうとするロートリアスに
ちらりと視線を向ける
その途端、ロートリアスは火に包まれた
「きゃぁ、何?!」
すかさず、べにあかちゃんを抱き締めようとおもったけど
大きなべにあかちゃんだから、抱き付いたという感じ
頭が、キンキンとするうよな声が飛び交い
ロートリアスは、火だるまのまま飛び出していった
「失礼した、竜の護り人よ
そして、べにあか」
よっこいしょといわんばかりの動作で
手を交差して頭をのせて寝ころんだ長はそう言った
「だ・・・大丈夫なんですか?アレ」
ロートリアスは、嫌いだけど、ああいうのをみて
心配しないほど、非情にはなれない
「大丈夫じゃが、お主はアレを許せるのか」
どこか楽しげな声
ほんっと、竜って・・・と言いたくなる
「許す許さないという話は、おいときましても
怪我などをしてる現場をみて
何もないようには出来ないです
たとえ、それが嫌いな人であってもね」
そういうと、ふむふむと軽く頷く
「ロートリアスの負けじゃな
お主の方が懐が深い」
そう言って木の鈴がなるようなころころという音を立てると
じっとべにあかちゃんを見つめる
べにあかちゃんも、じっと長を見つめてる
見つめ合っても大丈夫な時と駄目な時があるのね
おかーさんにはわかりません
「ふーむ、まだ早い気もするが
探せ、お主の必要な場所を」
そう言うと、べにあかちゃんは、ぺこりとおじぎをする
それをみて、また長は面白そうな顔
「ありがとう、じゃぁ探す」
手をとって行こうとするので
「長、ありがとうございます、
べにあかちゃんをお願いします」
そう言って、お辞儀をすると
回りから笑い声
お辞儀という仕草って、ほんとないのね
そのあと、いろんな所をちらりちらりと覗くべにあかちゃん
気に入る所がないのか
また竜の間にもどってきて、
よじよじと長の台座に登る
い・・・いいのかな
「のぼっていいんですか?」
なわばりとか、長継承者しか駄目とかってないのかな
「かまわんぞ、必要な場所ならな」
そういって、べにあかちゃんが、しっぽじゃまーというように
押しやるのをみてひやひやしたけど
長は、くいっとしっぽを逆方向に動かしただけだった
竜が寛大なのか、ずぼらなのかよく分からなくなる
「ここにする」
そう言って指したのは、目が眩むような赤い穴
いやいや、冗談は止めて下さい、べにあかちゃん
それ、溶岩だから
溶岩の温度が何度かしらないけど
溶けちゃうよ
「そこは・・・ちょっと」
といった途端
「じゃ、また迎えにきてねー」
そう言って、べにあかちゃんが
ぽーんと、溶岩の穴に飛びこんでった
「きゃーーーーーーーーーーーーっ!!!」
手を伸ばしたとたん、
後ろから抱き締められる
「アンタまで落ちる気か
アンタは死ぬぞ」
この声は、ロートリアス
「だって、べにあかちゃんがっ」
もがいて、腕から逃れようとしても
がっしりとした腕から逃れる所か
さらに抱き締められる
「時がくるまで大丈夫だから
なっ」
そうって、痛いぐらい抱き締められた体勢で
耳元で必死に言うロートリアスの言葉が
すとん、と私の心に入ってきた
今のロートリアスの言葉に嘘はないって
「火山の中は、火の力や土の力が強い
強い竜になって戻ってくるから
その時、来い」
力が抜けた私を、気遣ってか
囁くように言う
何よ、なんなのよ、心配するぐらいなら
最初から優しくしてよ
そう思うと、ぽろぽろと涙がでてきた
最初から信じてる人だったら
信用するのだって早い
こんな風に、暴れたりしない
「い、痛かったか?」
腕を解いて、顔をみたロートリアスが
ぎょっとした顔でこちらを見る
首を振るとほっとしたような顔をしたかと思うと
「別にお前の為じゃなくて・・・」
そう言おうとしたら、ぶんっと目の前に壁が出来て
ロートリアスは吹っ飛んでいった
「ふんっ、まったくなっとらん」
ゆっくりと壁は移動し、その先を辿ると長の尻尾
「あ・・・ありがとうございます」
なんとなくお礼
そんなこんなで、赤竜べにあかちゃん
最初に変態開始です
はーい、ロートリアスファンの方おまたせしましたーって言ってみる、ツンデレってなんでしようね、おいしいのかな?美味しいとおもいますよ さてさて、今日はおしまいです、まったあっしたー