327 竜の契約3 選択1
「竜の国に残ります」
そう、言った途端、みんなから歓声と
津波のような感情がなだれ込んできた
「すげぇ嬉しい、ありがとう」
そう言って、抱きしめられた
ぎゅうぎゅうと、いろんな人に抱きしめられ
最後は、ルアンさんだった
きれいな澄んだ目が、いつもよりきらきら輝いている
顔からこぼれそうなぐらい嬉しそうな表情で、私をじっと見た
「私は、ずっとずっと護るからね、あんたを」
両手で挟まれたほっぺの熱さより
その真剣だけど、優しい瞳に、顔が火照る
ルアンさん男前過ぎます
そう思った瞬間、ルアンさんにちゅっと音を立ててキスされて
ぺろりとなめられた
「えええ?!」
な・・・何ですか?今のええええー?
「あはは、驚かしちゃったねぇ
私の匂いもつけておいてちょーだいねぇ」
そう言って、ぎゅっと抱きしめて、すりすりされた
でも、すりすりじゃない
ばいーんばいんって感じです
うう、なんだろう、この敗北感
なんか、うん、見ただけでわかってるけど
こう体感しちゃうとね、なんとも言えないです
心の中で涙を流しちゃうけど
嬉しそうな、ルアンさんの様子に、駄目ともいやとも言えない
匂いつけてっていったもんね
ルアンさん
竜のマーキングだよね
「あ、俺らも付け直ししよう
匂いも変わってるし
それに・・・ほとんど残ってないね」
ふんふんと、匂いをかがれる
青年姿でされると、ちょっとどこじゃなく困る
「その前にすることがあるでしょう?」
そう、言ったのは一番遠くにいるブロージュさんだった
すること?って何?
ああ、紫の木かな、あの子たちも里に連れて行ってあげないとね
「うん、そうだね」
にこり、と笑ってはくちゃんが近付いて来た
白い細い髪がさらりとゆれる
きれいなのに、男の子、ううん、男の人
「あのね」
そういって私をみる顔は、昔と変わらない
楽しいこと伝えていい?
って、表情
「なぁに?」
つい、こんな風に聞きたくなって聞いたら
はくちゃんは目をみひらいたあと、とびきり素敵な笑顔で
笑った
いやーーんっ心臓止まりそう
なんで、こんなに綺麗でかわいいのこの子
「嬉しい、変わってない」
すりっと、すり寄ってくるはくちゃんを昔と変わらず
抱きしめちゃう
大きくなって抱きしめにくくなったけど細い体だから
あんまり違和感がない
「あのね、こっちで住むから名前をつけてもいい?」
そう言われて、思い出した
そうだった、私、こっちでは名無しの権兵衛さんでした
ただいま・・・やっと、結果がきまったね
ではおやすみ