324 ただいま、竜の国2
私は、泣いた
いっぱい泣いた
部屋の砂が涙の海になるんじゃないかってぐらい泣いた
竜の王さまは、何も言わず泣かせてくれた
泣き疲れて眠って、目を開けると、
世界は、ふわふわと小さな色とりどりの光で彩られていた
竜の国の精霊たち
子竜ちゃんたちがみれるようにしてくれた
「皆心配して、集まってる」
ぼそりと、竜の王さまの声
その声は、どこかかすれて、いつもより覇気がない
きっと、竜の王さまも泣いていたんだろう
「ありがとう」
そう言うと、近くにいた精霊たちがぴかりとひときわ強い光りを放って答えてくれた
「あ、竜の木たち・・・」
そう思って振り返ると、そこに、人が立っていた
「起きた」
そう、長い青い髪をした青年が言った
いろどりどりの髪の色の青年たち
「おかえりなさい、誰とかいわないでね」
白い長い髪の人が言う
その柔らかな口調は、はくちゃん?
「えっ・・・ええええ?!」
口から、出るのはそれだけ
7人いる、だから、この人たちは子竜ちゃん
今は、もう子竜ちゃんって言えなさそう
「おかえり~」
にこりと、赤い髪の人が笑う
ああ、この笑顔は覚えてる、べにあかちゃんだ
「みんな・・・みんな
だだいまーーーっ」
まずは、そう言いたい
そして
「嫌いっていって、ごめんねっ」
そう言うと、みんなの目が見開き
じわりと涙が浮かんだ
「俺たちこそ、ごめん
おかーさんじゃないって言って
大事にしてくれてありがとう
大好きだよ」
そう、言って、ぎゅっと私にだきついて来た
あとは、いつもの竜だんご
ただ、昔より大きくてたくましいみんな
・・・・ぎぶーあーーーっぷ
死にます、酸素ぷりーーーずっ
「・・・し・・・死ぬかとおもった」
とさりと、膝をつく、砂の上
ごめん、としきりに謝るのはときわちゃんかな
しかし・・・みんなかっこ良くなったなぁ
「あれ・・・みんな雄なの?」
「そうなんだよね~」
くすくすと笑う、うす紫の髪のあやめちゃん
美人サンは変わらずで、むしろこれで雌だったら
絶世の美女だよねぇ
はくちゃんも負けずと美人だけど
双子ちゃんだったのに、今では、こくちゃんとはくちゃんは双子に見えないぐらい
体格がちがうなぁ
「はいはい、やかましいのが来た来た」
そう、ショートカットというより
かなり短いカットの黄色い髪、たんぽぽちゃんが入り口を見る
そこには、4人の人影
「姫~っ私の可愛い姫」
そう言って、私をさらうように抱きしめたナイスバディ
みんなが大きくなるぐらいの月日が流れてるのに
変わらないルアンさん
ナイスバディも健在だし・・・
「ただいまです、ルアンさん」
「おかえり、やっぱり姫は特別だねぇ」
くすくすと笑いながら、私を高い高いするみたいに両手で持ち上げる
ちょっと怖いですよーー
ルアンさーん
「そろそろこちらによこしてくださいよ」
そう言って、私に手を伸ばしたのはブロージュさん
「ただいまです、ブロージュさん」
「おかえりなさい、姫さま」
にこりと、笑うやさしい笑顔
ふわふわと頭をなでてくれる
「帰ってきて、良かったよ」
そう、いったのは、なんと、ロートリアス
「う・・・うん、ありがとう」
何だろう、最後の方はたしかに仲良くなったけど
ロートリアスまでお出迎えしてくれるとは思わなかった
「あはは、そりゃぁびっくりするだろうな
いろいろあったのさ、姫さんのいない間にな
こいつらが、大人になるぐらいにはね」
そう言って、ウィンクを飛ばして、話かけてくれたのは
ヴェルデさん
みんなのおにーさんは健在なのかな
でも、その笑顔は、私にも伝染して
自然と笑い顔になっちゃう
なんか、ほんとに家族みたいだよね
あれから何年経ったのかしらないけど
それでもみんな仲良くしてくれて嬉しい
さて、帰ってきました
そして、話をしなきゃね
私がここにいていいのか
そして、いるとしたらどうしたらいいのか
せっかく、命をかけてまで私を喚んでくれた人に恥じることなく
私も後悔しないように
でも、まずは、ちゃんと挨拶しなきゃね
挨拶は基本だもん
「皆さん、ありがとうございますっ
やっと竜の国に帰ってこれました
水の王さまは、逝ってしまわれましたが、
それでも、戻ってこれて、嬉しいです」
そう言うと、みんなからも帰ってくれてよかった、や嬉しいとの声があがり
私の視界は涙でにじむ
でも、泣いてる場合じゃない
代償の竜の王さまは言った
1年経てば、もう帰れない
だから、決めろと
1年はどちらの・・・この世界の
それとも、地球の?
時間はどうなってるの???
すべてが分からない
だから、急ぐなきゃ
「私、決めなきゃいけないんです」
そう、言うと、みんなの目が集まった
その視線は、鋭く
なんでも見透かされそうだった
竜の目の奥はみてはならない
そう、教えられたのに
私は、はじかれるようにその瞳の奥を見てしまった
頭の中に、広がる感覚
それが途切れつながり
また途切れ
それは、ここにいる人数の数だけ繰り返しされた
「ああ、そうしよう、決めよう」
そう響いた声に私はくらりと、めまいを起こしそうになった
再開ですねー
明日も帰ってくるのが早ければ更新ありです
どーぞ、楽しんでねー
感想やアンケもお待ちしてまーす
ある意味活力ですよ♪