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318 世界の境界線4

「おねー・・・ちゃ・・・どうして」

膝を抱えて、泣きながらくぐもった声


「あのね、大事な人がいるの

 もちろん芙遊も大事よ

 だけどね、私にもう一人家族ができちゃったの

 ある意味結婚しちゃった感じかな


 だから、その家族の所に行きたいって

 その夢も捨て無くないって

 いっぱい、いっぱい悩んだの

 もう一度だけね、あっちの世界に行って

 残るか、さよならするか、その時にきめようと思ってるの

 もし、残ると決めたら、その時は、もう一度こっちに帰って来て

 みんなにさよならいうつもりなの


 まだ、私にもわからない

 どうして、今のままじゃ駄目なのかなって

 いっぱい、いっぱい悩んだの」


そう、独り言のように言っていたら

芙遊はいつの間にか、私を見ていた

私は、暗くて見えないかな、と思いつつ、芙遊に笑いかけると

芙遊がふわりと笑った気配がした


「突然さよならだけは、したくなくて

 だから、ちゃんと話がしたくて

 みんなの所にきたの

 おとーさんにも言いたかったけど今日は帰らないみたいだから

 おかーさん経由になるけど

 みんなにはね、伝えたかったの

 ちゃんと、私が作った絵本を読んで、その後言うつもりだったのよ

 でもね、びっくりさせてごめん

 それと、ありがと

 離れたくないって思ってくれて

 私も、私も、できるなら離れたくないよ

 みんなが、別々の暮らしをしてても兄弟だし

 どんな人と結婚するのとかみたいもん


 でもね、そうすると、あっちの家族と永遠にお別れなの


 どっちかって・・・すごく、辛いよ」


ぽろり、とこぼれた涙を皮切りに

ぽろぽろと頬をつたる


「おねーちゃん、ごめん

 言ってくれてありがとう」

ぎゅっと芙遊が抱きついてきて

私たちは、わんわん泣き始めた


いつか結婚する、会えにくくなる日は、来る

それは、今以上に・・・

だけど、突然の別れ、それも、絶対的な別れを受け入れないのは

私も同じ


わんわん泣いてたら、その声を聞きつけて、

二人がやってきた

帰るぞ


そう言われて、泣きながら、手をつないだ私たちを

弟たちは、しゃーねぇの、という顔をしつつ

どこかほっとした顔をしていた


さよなら、その響きの辛さを身に染みて覚えた

そんな日だった


遅くなりましたーーー

すいませーーーんっ


でも21日分ですからねーーーっ

では、おやすみなさい

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