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広がる世界2

「こんにちは」

「あら、ユキちゃん、今日はお休みなの?」

「そうなんです

 今日って、いらっしゃいます?」

そう聞くと、こくりと頷いて、トイレの方向を指さした

そっか・・・お手洗い中ね


今日は、平日だけど、半休貰って、

地元の図書館に来てます

その理由は、国分さんに会いたいから

なんか、ホントに私事でお休みとか貰っちゃって

大丈夫なのかな・・・と心配になるし

仕事人として、どうなのかと思うけど

ちょっと甘えていよう・・・


「でも、こんなことじゃだめだよね」

ふぅ、とため息ついちゃうのは

甘えすぎてるっていう自覚もあるし

それが、自分自身でもいやだってことなんだよね・・・


「何が、駄目なのですか?」

「え・・?

 あ、こんにちは、国分さん」

後ろからの声にびくっとなって振り返ると

いたのは国分さん

待ってる人に、驚いちゃだめだよね


「こんにちは、有紀さん」

にこりと笑って軽く頭を下げる

白い杖をついて、背筋をしゃんと伸ばしてるので

なんか、イギリスの紳士みたいに見える

ホントは、目が見えませんよっ、危険を棒で計ってますよという

杖なんだけど、国分さんが持つとおしゃれな感じになっちゃう


「こちらに戻ってこられた訳ではないですよね?

 今日は、どうされたのですか?」

そうですよね・・・この時期のこの時間帯にいるのはおかしいもんね


「半休を頂いて、国分さんに会いにきました」

私が、そう言うと、国分さんは大げさに驚いて

「私に・・・ですか?」

と呟いた


「ご相談させて頂いても良いですか?」

そう言うと、こくりと頷いて、国分さんは、外に行きませんか?と仰った

確かに、図書館の中で、話し続けるのは

周りの方に申し訳ないし

お部屋を借りるわけにもいけないし

外が一番だけよね

でも、暑くないかな・・・


「私なら大丈夫ですよ」

「じゃぁ、お言葉に甘えて・・・」

そう良いながら、外に行き、木陰のベンチに腰をおろした

手には、冷たいペットボトルのお茶


「それで、どうなさったのですか?

 私で相談相手になるのでしょうか?」

2、3口お茶を飲むと、国分さんは、呟くように私に言う


「むしろ、私の方が申し訳ないです

 でも、相談させて頂きたいたいんです」

そう言うと、にこりと、優しく

そう、それは可愛がっている孫に微笑むような

柔らかで何もかも許してくれそうな、微笑みだった


「では、お伺い致しましょう」

そう言って、すっと居住まいを正して私の方を向いてくれた

視線は合わない

でも、私たちの心はしっかりと向き合った


「将来の事について悩んでるんです

 今、趣味から始めたこと

 突然したくなったこと

 そして、転居してできる事があるんです

 将来的に、併用はできないこと柄なので

 もう、それを選ぶ時期が来ているのかなと感じてます


 でも・・・どれも選べないんです」


曖昧な説明しか出来ないけど、国分さんは促すように

促して私の話を聞いてくれる


「そうですか今、有紀さんの転機の時なのですね

 長い事生きておりますので、少しはお役に立てるかもしれませんね」

そう、前置きのように、国分さんが言って

話を続けてくれた


「私たち世代は、戦争や復興の時代を生きてきました

 それでも、夢や将来の希望を持って頑張って参りました

 ああいう時代だからこそ、かもしれませんが

 その夢は、今も思い浮かべることが出来ます


 有紀さんの時代は、豊かではありますが

 将来について、考える事が少し遅れがちに思えます

 それは、渇望しなくていいからなのか

 それとも、護られ過ぎているからか

 親や周りにルートを決められてるいからか

 それはわかりません


 ただ、夢を持った人間の目の輝きは

 今も昔も変わらないことは確かです


 きっと、有紀さんもそういう目をして

 私に向き合ってくれているんでしょうね」

遠くに目を向けて、そして、私の方を見る

私には、自分がどんな目をしてるか分からないけど

夢を追っている人の輝きは知ってる

兎の穴の方たち

それに、りっちゃん


「先の大戦の時も、私は夢を忘れませんでした

 私の夢は、叶わないものもありましたが

 叶うものもありました


 有紀さんの夢は、今3つあるのですね」

「はい、正確にいうともう少しあるかもしれませんが

 お嫁さんは夢なのか、どうなのか・・・」

そう、私が言うと、くつくつと国分さんは笑った


「私の叶った夢は、私の好いた方と一緒になることでしたから

 立派な夢だと思いますよ

 彼女の方が先に言ってしまいましたが

 夢のような想い出に溢れております


 よい人がいらっしゃるのは

 とても良いことですね


 しかし、それとは別の夢がまだあるのですね」

ふーむ、と考え込む国分さん


「1つは、今の環境を離れなくてはならない

 1つは、昔から好きな事

 1つは、新しく好きになったことですか


 確かに選びがたい

 そして、今の環境も有るわけですね」


「はい、今日もお仕事半日お休み頂いて

 最近ちょっと多いのでこれでいいのかなって思います」

「仕事も好きということですか」

「はい」


そう、好きなんだよね

工房の皆さんも、仕事中心だけど

やっぱり物作りをする人たちで寡黙だったり、変わってたりするけど

楽しそうで、お手伝いして行きたいなぁって思ってる


ふぅ・・・困ったなぁ

一杯有りすぎるよ


「そうですね、私が1言だけいうとしたら

 どれを選ばなかったら後悔するか

 想像して見て下さい」

「選んだらどうなるか・・・ではなくて

 選ばなかったら、ですか」


それは、たしかに考えてなかったかも


「1つしか最終的に選べないと仮定するのは

 誰でもれてると思います

 しかし、これをしなかったらどうなるか

 と考える方は意外と少ないんですよ

 もし、したら、できたら、と考えることは多いです

 ただ、出来なくて、それを渇望する人の思い

 そしてそのを行う力は、とてもとても強いものです

 1度、考えて見て下さい

 よろしければ、その選んだ結果を教えて頂きたいですね」

そう言うと、国分さんは立ち上がった

そして、前を向くと、水色と白のストライプのエプロンをつけた

ヘルパーさん

あ、もう時間なんだ・・・

私も慌てて立ち上がり、国分さんの手を取って歩きだした


「今日は、相談に乗ってくれて有り難うございます

 もし、出来なかったら、そう考えてみます

 そいて、また相談させてください」

そう、言うと、是非にと囁くように呟いてくれた


「さようなら、有紀さん」

「さようなら、国分さん」


ヘルパーさんに手を取られて行く、国分さんの後ろ姿を追う

感謝を込めてその後ろ姿にぺこりと頭を下げる


うん、考えてみよう

無くなってホントに困るものを・・・


2日間、自動更新で感想やメッセージなどの対応が遅れちゃいまして

すいません

とりあえず、1つ片付きました

しかし、まだ忙しいので、更新ペースはこのまま1話で

その変わり、竜の国の方を内々ですが、書き綴ります

結局、3話移行まだ綴っておりませんから・・・


では、また明日!


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