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世界の階(きざはし)11

三木さんもついて来たがってたけど

貴方は貴方の仕事をなさいって言われて、名残惜しそうな三木さん

それもそうだよね~、担当作家がいるのに・・・


「はい、ユキちゃん

 新しい名刺もらって頂戴」

そう言って、塩屋さんは、私に名刺を差し出した

私は、それを受け取って、読む

シンプルで、うっすらと型押しされた名刺

奇をてらうではなく、あくまで、添え物であるという雰囲気が

出版社であり、そして、塩屋さんらしくて素敵だった


「それと、はい」

大きな封筒を渡された

ん?固い、何だろう

あ!かよ子さんの新作かな???


かさりと出すと、そこにあるのは私の絵だった


「かよ子先生が送ってくれた写真をね

 無理矢理加工してみちゃった

 我ながら、親バカっていうか、おばバカっていうか・・

 可愛い親戚の子どもがって気分よ」

そう、照れたように、目の端を赤く染めて

片肘をついてそっぽを向く


おばさんが、駄目、できないっていった時の表情に似てて

よしよしって慰めたくなるけど

この手元にあるものの存在感が大きいんですけど


絵本らしく、表紙は、固い

ぱらりとめくると、私の描いた絵と物語

まだまだラフだし、文章もまとまりがない

だけど・・・

だけど、こうやって本になると

愛おしさが増した


「あ・・・有り難うございますっ」

そう言って、ぎゅっと抱き締めてぺこりとお辞儀をすると

膝の上に、涙がこぼれた


「相変わらず泣き虫ね」

そう言って、よしよしと、力強く撫でられた

「もうチョット泣かそうかな」

そう言って、ぽんぽんと私の頭を撫でながら叩く

顔を上げて目をあわせると

塩屋さんも涙が浮かんでた


「貴方の本当のおばさんからの私宛の遺言ね


 貴方には、とてもとても、お世話になったし

 お世話をしたわ

 どちらが子どもか解らないぐらい、ユキと仲良しで

 それをみて、私は楽しかった

 ユキに読む私の本、ユキが貴方に読む私の本

 どちらが欠けても、私の本は生まれなかったし

 貴方の編集者としての才能も開花しなかったでしょう


 だから、私たちはみんなで育って行きました

 貴方は、もう子どもでもないし

 編集者として、いろんな作家さんに出会い

 随分と成長しました


 私には、もう、その成長を見ることはできませんが

 それでも、貴方が、一番えらい席でふんぞり返るのではなく

 みんなを見ている姿が目に浮かびます」


そこで一旦、塩屋さんは区切り、珈琲を飲んだ


「まぁ、私は今も昔も野心家だったから

 いつかは、編集長になりたかった

 先生に言ったこと無いし、あの時はまだ先輩に連れられた新人だったのにね」

そう、自嘲気味に笑うけど、

それは、自嘲気味というより、悪戯がばれた子どもみたいな表情


「あら、隠してるつもりだったの?」

そう、かよ子さんが言ったので、私たちふたりは、顔を見合わせて

かよ子さんを見た


「全然、隠れてないわ

 ユキちゃんのまわりには、穏やかで愛に溢れた世界が溢れてるのに

 貴方の周りには、戦いの気配がいつだって漂ってたわ

 いつ、噛みつかれるのかしらと心配したことも有ったけど

 貴方の場合は、世界に噛みついてるのよね

 物語を作る私たちじゃなくて、その世界、そして、それを出版する

 この世界に」

かよ子さんが、蕩々と語ると、塩屋さんは、片頬だけで笑った


「あー、もー、作家ってだから嫌いなんだよね

 なんでも解ってます、知ってますって

 それが当たってるのが悔しいわ」

がりがりと頭をかき乱しつつ、かよ子さんを見る


「あはは、昔と変わらないですね」

「そうね、まさかユキちゃんにもばれてたとか?」

そう聞かれて、私は首を振った


「私にとっては、がんばり屋さんで

 ちょっと頑固で、でも優しいおねーさんでした」

そう、言うと、ほっと息をもらす

「あー、もー可愛い

 可愛くてたまらない、これが愛に溢れた世界なら

 私は飛び込むわ

 男共の尻ひっぱたいてるよりよっぽど幸せだわ」

そう言って、にこりと笑った

 

「で、続きね

 ここから、貴方が関わる事


 もし、ユキちゃんが、貴方の元を訪れたら

 良くして下さい

 ただ、甘やかすではなく、本人の意思

 そして、編集者として、しっかりとユキの才能を見極め

 開花させてください

 貴方なら、できるわ

 そして、ユキはきっと来る


 以上」

塩屋さんはそう言って、私をじっとみる


「そして、貴方は来た

 人に連れられてだけど、名刺なんてもう無いでしょうし

 どんな方法でもいい、私の元に来た

 それだけで十分

 

 さぁ、ユキちゃん

 私のおばバカもここまで

 ここからビジネスの話をしましょう


 かよ子先生も、有り難うございます

 卵の紹介と、そして、来てくれて

 久しくお会いしてなくて、やはり、会えて嬉しいです」

そう言って深々とお辞儀をした


「そうね、私も嬉しいわ

 さぁ、あとは二人でやって頂戴

 私も、ここからはお手伝いはしないわ

 三木さんとお話してるから、頑張りなさい

 自分の道は、自分で作るの

 物語のようにね、世界が見えたら

 それを書き綴らないと繋ぎ留められないわ

 貴方次第よ」

そう言って、かよ子さんは、席を立った

そして、残されたのは、ぴりっとする気配を放つ塩屋さんと私

確かに、やりたいことは自分でしないとね!

では、ビジネス!させて頂きます!

20時予約です

さくっと書けるのは嬉しいですね、またもや新キャラ?も出て、

主人公と関わり合いのある人、死してもなお心に留まる人っていのはいいですね、終わってもなおあの小説・・・と言われる書き手になりたひ

なんて、夢みてしまいますね


では、また明日!

たぶん、うどんかお好み焼きたべてます

うまー♪

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