世界の階(きざはし)10
「あ、先生っ」
がたんっと、椅子から立ち上がって
出迎えてくれたのは、三木さん
そう、ここは、三木さんの所属する出版会社のオフィース
土曜なのに、お仕事お疲れさまです
「ほ・・・本当に来た」
そう、ざわっと周りが騒然として、かよ子さんを見つめる
「ほらね、言ったでしょうに
かよ子先生は、約束は守るって」
そう、窓を背に、広い机に肘をついて軽く組んだ手に顔を乗せた女性は
真っ直ぐに私を見て言った
「三木さん、貴方何言ったの」
かよ子さんは、ちょっと叱ってるような声で三木さんに言う
三木さんは、かよ子さんを慌てて出迎えて
近くの椅子に足を取られてころんじゃいました
「大丈夫ですか?」
そう言って、手を出すと、その手を取りながら
はいぃ、なんて、うわずった声
落ち着かなさそうな、三木さんの視線はかよ子さんから離れない
あれ?なんで???
「いえ、僕は、ただ、先生がこちらに来ますって
編集長に伝えただけで・・・」
おどおどという三木さんに、かよ子さんは、呆れたようにため息をつく
「まぁまぁ、二人ともこっちにいらっしゃい」
そう言って窓際の女性が立ち上がって手招きする
かよ子さんは、それに誘われるように私の手を取って進む
そして、彼女の前に立つと、かよ子さんは、
にっこり私をみて笑った
「紹介するわ、こちらは、佐藤 有紀ちゃん
この前見せた竜の絵を描いた方
ユキちゃん、こちらの方は、ここの編集長よ」
編集長さんって・・・えええ
私の絵本の事ですか?
あれ、まだ全然完成してないですよ
「こんにちは、佐藤さん
私の事、さすがに覚えてないわよね」
そう言って、ちょっと哀しそうに笑う
短く切りそろえられた髪に、黒目がちの瞳
そして、スッと筆で書かれたような眉
んんん・・・
なんか、覚えがあるかも・・・
「ま、松原さん?」
私は、思い当たる名前を言った
そうすると、目の前の女性の、少し哀しそうな顔は
次の瞬間、笑った
「そうよ、おっきくなったわねぇ」
にこにこと笑う松原さんに、つられて私も笑みがこぼれる
松原さんは、おばさんの編集さんだった人
あの時、新人さんって言葉を知った
新人さんって、どんな人なんだろうって思った記憶がある
あの時、私は、小学校に上がった頃だったかな
「お久しぶりです
おばさんの編集者で、私と一杯遊んでくれて
ありがとうございます」
「私も、あの時は、新人で
先生の邪魔は出来ても手伝えなかったから
ユキちゃんの存在って、嬉しかったわぁ
無条件に受け容れてくれて
それに、私が落ち込んでたら、なぐさめてくれて
あの時と変わらず、優しそうなこと
そして、あの優しい絵を描いてるのね」
「へ・・・編集長が人を褒めた」
ざわり、とまた周りが騒然となる
なんか、かよ子さんの時といい
松原さんの時といいここの人たち
なんか、変なリアクションだよね・・・
「まったく、失礼ね!
私だって、褒めることもあるわよ
あなた達も褒められるような事して頂戴!」
ぴしゃっと、むち打つような言葉が
鋭く飛んでいく
「俺達だって頑張ってますよー」
その鞭にへこたれずそう返す男の人を
睨め付けるように見ると、もう誰も何もいわない
「あ、そうそう、私、もう松原じゃないよ」
ん?んん・・・あ、ご結婚されたんですね!
「結婚して、塩屋になったの
ここは、外野が五月蠅いし
ちーーーっとも仕事にならないみたいだから
別室行きましょう
あ、悪いけど、珈琲3つもって来てね
第2ね」
そう言うと私たちを導くように案内する
んー、昔とそんなに変わってないと思うけどなぁ
皆さん、何がそなに怖いんだろう
かよ子さんといい、松原・・・ううん、塩屋さんといい
謎です・・・
ただいまー、質問タイム終了ですー
答えてくれた方有り難うございました
行き先正解者2名、理由は、半分正解が1名
理由は、また明日の会話になりそうですね
正解は、
行き先、出版社
理由は、編集長に会わせたい&出版業界を見せたいでした
では、また明日!
今日は、できあいスーパー寿司と、茶蕎麦と天麩羅
最近、スーパーのくせに、魚がうますぎるぞーっ!と文句をいう口調で
褒め称えてみる、はふーん、後でアイスたーべよっと(笑)