世界の階(きざはし)9
「今、電話大丈夫?」
そう言って、柔らかな声で電話を掛けて来たのは
かよ子さんだった
「はい、大丈夫です、お夕飯食べて、お腹一杯ってのんびりしてた所です」
そう言うと、電話の向こうで、くすくすと可愛い声で笑ってくれた
「明日ね、土曜でしょ」
「はい」
「私とデートしましょ」
かよ子さんとデートですか?
まぁ予定はないし、むしろ連れていってくれる所に興味があるし
うん、是非行きましょう
「はい、是非!」
そう言うと、かよ子さんは嬉しそうに喜んで
待ち合わせの場所を決めて電話を切った
その時間、実は5分・・・というのは言い過ぎでも
10分は経ってない
かよ子さんの電話は、いつもこんな感じ
基本は、メールが、ぽんぽん飛んで来て
返事をしたら、いつの間にかに帰ってきてる
新しい絵のラフです
庭の花で戯れてる蜂を見て思いつきました
そんな短いメールに添付されてる数々の絵が
それだけで物語になりそうで
私は、ホントにかよ子さんのファンになっちゃった
そして、それを身近にさせてくれる優しさに
人として、かよ子さんのことがもっと好きになった
メールも電話も簡潔
でも、事務的でも業務的でもなくて、
いつも、誰かと楽しい会話をしていて、その一コマを抜き取ったような
雰囲気を崩さない
私も、ついついおしゃべりになっちゃうけど
かよ子さんは、それをそっと窘めるように
話がながれないように軌道修正してくれる
ホントに大事な事だけはきちんと、でも、人生はたのしみましょう
そんなかよ子さんの声が聞こえそう
でも、こういう風にお会いするのは初めてかも
どうしたんだろう???
翌朝、かよ子さんと待ち合わせの駅で
私が待っていると、着物であの可愛らしいコットンレースの日傘をさして
向こうから歩いてくる
その空間だけが、別空間のようで
ああ、これが物語が見える人の空間なんだって思った
「お待たせしちゃったかしら?」
そう言うと、ぱちんと傘をたたむと、私を見た
うっすらと化粧をして、一段と華やかさが増してる
なんか、すっごく幸せそう
なんかいいことあったのかなぁ
「そんなに待ってないです
それより、かよ子さん、良いことでも?」
「ふふふ、解る~?でも、お楽しみは今からよ
さ、行きましょ」
そう言うと、かよ子さんは、滑るように駅の切符売り場に向かった
2枚差し出された切符
「あ、払います」
そう言っても、受け取ってくれず
640円の切符
どこに行くのかも教えてくれないミステリーツアー
「一杯どきどきして貰うけど
一番ドキドキするのは、ついてからよ」
そう言うかよ子さんは、幸せそうで、楽しそう
せめて何をしにいくか、教えてほしいなぁ・・・
私はそう思いながら電車に揺られる
周りには背の高いビル
あれ?都心部に向かってるの???
ホントにどこに行くのか、そして何しに行くのか解らない
ミステリーツアーって、落ち着かないよ~
ただいまー、少しまともな時間に帰れましたー
と言うことで、ちょっと寝ます!そして、幸せになって来ます
突然のデート、行き先も目的もミステリー
さて、どこに行くと思いますー?
答えは、明日だけど、ここで、ファンサービス(こら!自意識過剰)
正解者が居ましたら、サイトの竜の国2話目アップします
ただし、サイトを直さないので、トップ+各小説の所しか直しませんが・・・
http://enq-maker.com/abOAauSからどーぞー
答え非公開なので、日頃言えないことでもどぞー
ただし、しょんぼりさせすぎないでね、一応