世界の階(きざはし)8
「随分と、楽しそうな話しをしてるな」
ぎゅっと抱き締められたまま、社長の声が降ってきたけど
行き先は私じゃない
倒れそうな姿勢のまま、頭上を見上げると、社長は思ったとおり
篠山さんをじっと見てる
「そりゃぁね、未来のお嫁さんにしたいからねぇ~」
なんて、のんきな声を出してる篠山さん
ただ、視線だけは、社長から目を離さない
え・・・何・・・
二人とも怖いんですけど・・・
「まだ、お前のと決まった訳じゃない」
「そりゃぁね、だから、今の内だろ?
寛人、お前のでもないからね」
そう言って、私の手を取る
いや、私を巻き込まないで・・・って思ったけど
あれ・・・これって、渦中の人物って私?!
私だよ・・・
何このドラマみたいな展開
いやぁぁぁぁ、本人になると、こんなにおろおろしなきゃいけないもんなの?
け・・・喧嘩反対ー
ちゃんと決められない私が悪いのかな・・・
ごめんなさい、だから、仲良しさんなんだから喧嘩しないでください
ばちばちと火花が散りそうで、
とげとげしい口調で二人が言い争ってる
「け・・・喧嘩はんたーい・・・」
おそるおそるそう言うと、社長と篠山さんの目が私に集まる
いやぁぁぁ、その人を食っちゃいそうな凶悪な雰囲気の目で
こっち見ないで下さい
怖いです、ものすごーーーく、怖いです
弟とか比じゃないんですけど・・・
「「なんてな」」
そう言って、にこっと二人して、笑って
社長は、後ろから、首筋、そして頬にちゅっとキスをして
「早く、俺の物になりなさい」
なんて、囁いて離れた
耳から脳内、そして、背筋にその言葉が浸透していく
ぞくっとするような感覚が、まだ体に残ってる
社長が離れて行くのをそっと目で追う
「いい表情だ
それを忘れるな、こっちに来い、最後にはな」
そう言って、軽く両手を広げた
私は、その声に、瞳に吸い付くように、ふらふらと寄っていきそうになる
その声を聞きたい
そして、次に何をしてくれるか知りたい
そう、考えるでもなく、考えてた
「今は、まだ、駄目」
そう言って、そっと、手を引かれた
「あっ・・・」
熱い手、そして、私を見つめる瞳
だけど、その視線だけじゃない
もう1人、そう社長から、注がれる視線が
私の周りで複雑な糸の絡まりのようで
私は二人の視線と意識の繭の中に居るようだった
その繭を抜けて、私は、どちらに羽ばたいていくの?
ただいまぁ・・・最近遅め更新ですね
もう、21時にしとこう・・・
20時予定だったんだけどね、しゃーないわな!
ふと思ったんですが、起承転結の結に向かってますよね?
早く竜の国の方書き終わらないと・・・
その前にであっちゃいそうだね、汗
でも、まだ書けてないですねぇ