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それぞれの道3

「帰れないね」

そう言って、私は、紫の木に触れる

種から、すっかり育って今は幹が5㎝以上になって

ちょっと紫の木のブロッコリーっぷりが出てきたかも

そのこんもり茂った葉っぱに手を触れる


柔らかで確かな温もりは、この木らしさ

そっと耳を寄せるととくんとくんと優しい鼓動


「私ね

 みんなのこと、大好きだよ

 絵本の登場人物になるんだよ~

 かわいくて、かっこよくてね

 不思議で楽しい竜の国の物語

 そこに迷い込む女の子の話なんだよ」


囁くように、歌うように語ってる

この木からだと、あの世界に届きそうで

だから、せめて、今の私の状態を伝えたくて


自己満足でもいい、

それでも、みんなのことが大好きで、大好きで

もう一度会いたいっていう気持ちを伝えたい


だって、やっぱり好きなんだもん


「大きな竜も小さな竜もいて

その世界で私たち人間と同じように

 日々を生きてるの


 女の子は、それが不思議だけど

 竜たちは当たり前で、不思議に思うことが不思議なの


 女の子が一番不思議なのはね


 竜は世界を作ってるってこと

 世界は、みんなで作るって聞いて

 世界はもともとあるって答えるの

 

 7色の竜は、みんな首を振る

 緑の竜は、風で世界を見守って

 黄色の竜は、大地を作ってるの

 そんな風に、みんなの所を見て女の子は

 竜ってすごいって思うの


 私も世界もそんな風に作られてるの?って


 君の世界の事は知らないけど

 ただ、僕らも、この世界が無くなったら

 世界を作ることは出来ないよ

 って、世界を作ってるはずの竜が言うの

 女の子はやっぱり不思議で首を傾げるの」


どうしてだろうってね・・・

蕩々と話しをしていると、その世界の絵が私の中にどんどん溢れてくる

それを忘れちゃいそうで怖いけど

今、話を止めるのも怖い


だから、私は、話し続けた


「仲良くなった竜たちが、みんなで輪になった

 手と手をつなぐではなく、尻尾と尻尾

 頭と頭、そんな風して輪になって

 女の子に聞いた

 

 僕たちのうち誰かが欠けたら輪になれる?

 って、ううんって答えて

 そして、うんって答えた


 小さい輪ならできるって

 竜たちは、頷いた


 無くなったものは、取り戻せないんだ

 だから、大事にしなきゃね


 そう言って、お互いの頭をこつりと優しくぶつけ

 尻尾を絡ませた

 それをみて女の子は、にこにこ笑った

 大事にするって大事だね!って」


かよ子さんが言ってた

物語が溢れるってこんな感覚なのかな


ね、紫の木ちゃん

そう言うと、ふるるっと幹が振動した気がする


大好きだよ

いつか、絶対帰ろうね!


今日は30分遅れでまたまた運航中

次、22時頃かも・・・今から鍋たべます


ではー♪

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