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私と私の原点8

「ユキねぇちゃん図書館行こうぜ」

そう言って、夏休みの宿題を抱えたね

もー、やっぱり、読書感想文の人材にする気ですね


「いいけど・・・」

そう言ったら、若干不服そうなのが伝わったのか

頼むって拝まれちゃった

しょうがないなぁ


朝の涼しい時間なのに

やっぱり7月、ラジオ体操して、起きてる小学生組は

元気そのものだし

蝉も鳴き始めて、暑さ倍増


それに、暑いのにちびちゃん組がくっついてくるー

そういえば、そうだったよね~

いつもぺったりだもんね

この時期は、家族がずっと一緒にいられる時間だもん


顔を見ると、にこーって笑うから、文句は言えないし

玉の様な汗が出てるから本人が暑くないわけじゃない

濡れタオルで、きゅっと顔を拭いて

帽子をかぶせなおす

熱中症とか日射病は怖いもんね

水筒とか、みんなの荷物で、久々にでかバック


なんか、一人のありがたさを再認識したけど

こういうのもやっぱり、好き

無条件の愛だよね


愛される事が当たり前で、愛する事が当たり前

それが、当たり前過ぎて気持ちいい関係


手で押す重いガラス扉を開けて

図書館に入ると

すぅっとエアコンの涼しさ


あー、涼しいーしあわせー

こういうのも良いよね

エアコン掛けっぱなしより、健康的って気分

でも、汗だくは気持ち悪いけどね


「こんにちは~、音読したいのでお部屋開いてますか?」

そう、司書さんに聞くと

あっという顔をして、隣りの人をひっぱった

隣りには、いつもいたおねーさん

うん、お互い覚えてますよ

夏って図書館、プール、スーパー率高いもん


「こんにちは、佐藤さん

 久しぶりですね」

そう言って、にこりと笑って、立ち上がった


「最近、お見かけして無かったので

 お話のおねーさんが居ないって

 常連さんたちが言ってましたよ」

あれ?お話おねーさんにいつの間になってるの?


「国分さん、ユキちゃん来てくれたわよ」

そう言って、新聞を広げて読んでいた白髪のご老人に声を掛ける司書さん

え?この方が待ってたの?

誰?


そう思ったけど、顔を上げて、にこりと

方向違いに微笑むその顔は、私の声が好きって言ってくれたあの人だった


「お久しぶりですね~

 ちょっと病気して帰ってきたら独立されたそうで、

お声が聞けなくて寂しい思いをしておりました

 今日は帰省されてるのですか?」

子どもの時から変わらない丁寧な口調

病気してたとのことで少し掠れた声で心配になる


「そうなんです、帰省中です

 今から、音読しますが、聞いていただけますか?」

「もちろんですとも

 夏休みに入って、図書館の雰囲気を楽しみに来てる

 私の楽しみですから」

そう言って、白い杖を持って、ゆっくり立ち上がる

そっと司書さんが手を出す


「もう、目が見えないんですよ」

え・・・

見えない・・・って今新聞読まれてましたよね

大きな字は見えるからって・・・前は・・・


「週に1回、ヘルパーさんに連れて来て貰うんですよ

 通い慣れた図書館です

 トイレの位置もばっちりですし

 ほら、こうやって親切な人がいるでしょう?」

「じーちゃん図書館の主だもんな」

そう言って、司書さんから奈津へ移って

進むおじーさん

「奈津さんは、親切な子ですからね」

にこりと、こんどは、顔を合わせて笑う

白く濁ってしまった瞳が

確かに、目が見えなくなってしまったことを物語ってる


「奈津は、気のつくいい子ですから」

そう言って、頭を撫でると、へへっと笑った

「ユキねーちゃんのフォローして身に付いた技だよ」

「酷いなぁ、そんな事無いはずよ~

 そういう事言う子の本は次にしちゃうよ~」

なんて、笑いながら、視聴覚室へ

かちりと司書さんが鍵を開けてくれて私は部屋に入る

むわりとした空気がせっかく引いた汗をまた誘発しそう

夏の部屋のこもった空気よね・・・


「クーラー入れますね~」

そう言って、ぴぴっと操作すると、すぅっと涼しい風が降りてくる

「お任せします、

 あとで、何人か行くかもしれませんが、聞かせてあげてくださいね」

そう言う司書さんに頷いて私はエアコンのリモコンを借りる


お話部屋として使われることの多いこの部屋は

床にそのまま座れるようにと柔らかいクッション素材が引いてある


「私はいつもの席に」

そう言って、ベンチタイプの椅子にゆっくりと腰掛ける


「まず、この本からね~」

そう言って、みんなが一斉に出す

まずは低学年の読み慣れたのがいいよね

でも、新しいのもいいなぁ

じゃぁ、これにしよう

やったー!と大きな声を出した次郎くんにみんなでしーっして

音読開始


司書さんが言うとおり、ぱらぱらと人数が入って来て

思い思いの場所に座る

初めての子、いつもの子

そして、大人の人も


有る程度そろったところで、音読開始


私は、読みながらその世界に没頭した

ともだちのしるしだよ(2010年夏課題図書より)

難民キャンプに暮らしてる女の子二人のお話

一杯いっぱい哀しいこともある

でも、どんなところでも幸せはある

そんな二人の友情を描いた物語です

20時予約


学生の頃音読は良くしましたよね~

結構得意だったんですが、今はさっぱり

といっても、昔から適当読みしちゃうのは今の誤字脱字から推測できると思います(笑)


では、ちょっと出かけてきます

21時は予約してないので、帰宅が遅くなったらごめんね

今日中にはもう一話更新します

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