それぞれの夢に向かって16
「じゃ、行くか」
ガチンと音をさせながら
会社のドアの鍵が閉まる
確認するように社長は、ドアノブを回して
私たちを振りかえってそう言った
「二人きりじゃないけどね」
と、間髪入れず、私をきゅっと抱き締めた
なんか、今日の篠山さんは子どもっぽいなぁ
捨てていきませんよ~
一緒に行こうっていうお話になったんですから
現在時刻は19時半
暗くなった外に明るかった会社の室内から出て
暗くなったことに気付いた時ちょっとびっくりした
最初は、慣れない社長室にいたせいか
物音一つですらちょっと怖かったけど
やりたい事少しはできたかなぁって思う
かよ子さんに会って
物語を無理矢理描くんじゃなくて
描けるようにもっていくのが大事なのかなぁっておもった
かよ子さんは、お料理したり
お散歩したりそういう風に物語に入るための準備をしてるんだと思う
そして、その物語が自分に語りかけて来たら
それを絵にしてるんだ、
説明されたことを私はそう解釈した
だから、折角の時間だし
あの子たちの事描きたいなぁって思ってるその時に
描くのが一番って思って
二人を待つ時間を使ってこりこり絵を描いてた
卵はあんまり覚えてないけど
ぽんぽんとストーンヘンジみたいに
円形に並んでて
暫くしたら、ごりごり音がして
出るよって一生懸命だった
出てきたみんなは、ホントころころ丸くて可愛くて
ぱっちりしたお目目が私を不思議そうに見てた
だけど、すぐにきゅぅって鳴いて
私に近付いて来た
抱き上げると思った以上に軽くて
だけど、私は、夢じゃないことにびっくりしてて
騒いじゃったんだよね~
一緒になってきゅわきゃわ鳴いてくれたけど
実際なんで鳴いてたかは今もわからないけど
可愛かったよね
「ふふっ」
「あれ?何思い出し笑い?」
私に抱き付いたままの篠山さんが聞いた
「ちょっと昔の事を・・・」
そう言うと、篠山さんが後ろで首を傾げた感じに体重が移動した
「こら、そろそろ離れろ
移動するぞ」
ぽんっという小気味よい音がして、前を見ると
社長が、書類を丸めて篠山さんの頭を叩いてた
うん、いい音しましたね
「んー、名残惜しいけど離れるか」
そう言って、篠山さんが離れていく
名残惜しい・・って?とか思ったけど
離れた途端、体温が1度か2度下がって
確かに、寂しい・・・って感じちゃった
人の温もりって安心する
ふぅ・・・なんか・・・
ずっと抱き締めてほしい・・って思ってるの?
ねぇ、その気持ちが恋ですか?
「そんな顔してると、襲うぞ」
くすり、と社長が笑う
いつもと違う笑顔で、ちょっと夜の中にいるのが
ふさわしそうな顔
「ホントに・・・困ったお姫さま」
ちょっと目を細めた篠山さんが、
さらりと、私の髪を掬うように撫でる
その撫で方が妙にゆっくりで
私は、髪の先まで撫でて
さらさらと落ちていく様子を見てた
「困ったね」
「困ったな」
そう言った二人の声が、近くて
はっと顔を上げると
頬に柔らかい感触がして
耳に息がかかった
「食べられちゃうぞ、俺達に」
「食べられちゃうよ、僕達に」
昨日書いたばかりのほやほやですが、
いやぁ結構いいんじゃないかなぁと自画自賛
次の繋がりもなかなかだし、うんうん(賛美中)
じゃ、寝ます
0時ぐらいに起きます
では・・・
きょ・・・うは・・・うどんだった・・・ぱたり(家人が持って帰ったのでメニューが変わったの図)