それぞれの夢に向かって15
課長を伴って、朝から3人で出かけて
私は、留守番
こんな時に限って、電話もないし
話し相手の岡崎先輩も居ない
部屋にひとりぼっちってちょっと寂しいかも
仕事は、終わらせて
ついでに掃除も終わらせた
10時にお菓子を配って
ついでに、珈琲サービスして来てなんてこともして
ちょっと工房の人たちと、岡崎先輩の結婚式の招待状の話もした
生き生きと、あれがどうでこうで
ってことを話してくれて、やっぱり、楽しく仕事して
夢がある人はいいなぁって思った
工房のあちこちにあるお人形さんは
売り物がほとんどだけど
皆さんの好きなキャラクターなんだって
私、ちっちゃな子いるから
特撮とか、アニメとかもまぁまぁ見てたほうだけど
まったく解らないんですけど・・・
キャラクターは、すっごく可愛いのでそう褒めると
シールを1セット貰っちゃった
手紙の片隅とかに貼ると可愛いかも~
緑の子以外にも、黄色、赤、青の子たちがいる
可愛いなぁ~
赤のおねーさんっぽい人が、飲酒禁止とか言いながら
ワンカップ持ってるのが可愛い
あ、お客さんだ
誰だろう
はいはーい、今行きますよー
「あら、ユキちゃん」
会社の玄関に行くと、そう言って三木さんを連れて
着物姿のかよ子さんが居た
白いレースで縁取られた日傘が可愛い
「かよ子さん、こんにちは」
そう言うと、にっこり笑って二人が挨拶してくれた
「お二人が居ないのは知ってるわ
でも、ユキちゃんはきっといるって思って」
はい、私は、そうそうお出かけしませんもん
会いに来てくれて嬉しいです
それに、お伺いしたいこともありましたし
「どうぞ、入って下さい」
そう言ってスリッパを並べて応接室にご案内した
「涼しいわぁ」
そう言って、軽く入れたエアコンに目を細める
珈琲をお出してして褒められて
かよ子さんってほんと、褒め上手
「貴女やっぱりいいわぁ」
そう言って、私をじっと見る
「貴女の物語は、まだまだ不安定ねぇ
だから、それもいいのよねぇ」
そう言って、かよ子さんは、笑う
「不安定・・・ですよね」
自覚は、ある
今日も、ふわふわぐらぐら
でも、少しずつ頑張ってはいるんだけど
まだまだ、自分に自信が持てない
これでいいのかっていう確証っていつ持つんだろう?
「かよ子さん、物語ってどうやって書くんですか?」
私の口から、ぽろりとこぼれた言葉はそれだった
「物語はねぇ、描くんじゃないのよ
溢れるの」
そう言ってくすくす笑うけど
それは、決して嫌味な笑い方じゃなかった
「じっとしてたり
森の中を散策してるでしょう?
そうしたら、誰かが語りかけて来るの
私は、それを絵にして
ちょっと言葉を足してるだけなの」
あ、そっか、絵本だもんね
小説と違って、絵が主体だもん
絵があって、その次に言葉
むかーし、絵本を読んでて思ったのは
絵本って凄く読みやすいの
ぽんっててててん
まりが転がった
そんな感じで擬音語とか、表現言葉が多いんだけど
それが絵本にはぴったり
もし、これで、挿し絵みたいな感じだと
また使われる言葉って違ってくるよね
「確かにそうですよね
絵本の言葉は、絵本のものですものね」
そう言うと、解ってるわねとにっこり頷いてくれた
「私にも、描けますか?」
そう、聞くと、かよ子さんは、また頷いた
「貴女の周りの物語は、貴女に語りかけてるから
きっと描けるわ」
そう言われて、私は、ほっとした
駄目だって言われても
書く人は書くんだろうけど
私は、言い訳と逃げ道探しちゃってるから
きっと無理って言われたら描かなかったんだろう
「描き方・・・教えて下さい」
贅沢なお願いだと思う
だけど、教えてほしいと思う
「いいわよぉ、貴女もう一度お家いらっしゃい
次はお泊まりしてってちょうだいね」
「先生!」
三木さんが鋭い声を上げて阻止したがってる
そりゃそうよね・・・
馬の骨だもん、私って・・・
「三木さん、私は未来ある若者も育てたいのよ
それで、私の仕事が疎かになるなら
私の力量はそれだけのこと
それに、きっといい結果がでるわ」
そう、三木さんを説得し
最後は、何か確信を持って、にっこり笑った
「は・・・はぁ・・・」
曖昧に頷く三木さん
でも、その確信を持って言ってくれたのが
私は嬉しかった
「あの男の子といらっしゃい
でも、彼のお泊まりは駄目よ
ふふふふ」
そう言って、手で口を隠して笑うかよ子さんは
何だか少女のようで可愛かった
私も、三木さんもつられたように笑った
みんなのこと・・・物語にしてもいいかな?
たっだーいまー♪帰ったと同時に風呂入って気分のいい私です
寝る前にもう一回入るけどね
さぱーりさぱり!
みんなも顔洗ったり、風呂入ったりして
汗疹+いじりがゆさ対策だーっ