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当たり前の日常8

家の中に広がっていたのは、素敵な空間だった

吊されたキルト、擬人化された服を着て

いろんなポーズを取っているうさぎやくまの人形たち

薪ストーブと、奥には暖炉

その脇に積まれた不規則だけど整列してる薪の束


「貴方好きそうねぇ~」

そう言って、にこにこ笑う老婦人に

私は、はいっと答えたけど、夢のような空間にうっとりしてた


「あれ?ユキちゃん、それに先生も・・・」

篠山さんの声がしたのでそちらを向くと、

篠山さんと、もう一人スーツの男性


「先生ぃ~、どこ行っちゃってたんですか~」

そう言って、スーツの男性は、老婦人に駆け寄る


「あなたは、ホントに心配性ねぇ~

 森の中を歩いてただけよ」

「お約束の時間はとうに過ぎてますよ!」

「あらあら、そうだったかしらねぇ」

くすくす笑って、慌ててる男性を何とも思わず

さらり、と受け流して笑ってる


見てて気持ちいいぐらい自然体が

老婦人の雰囲気にぴったりで

彼女の方が、物語の中の住人の様だった


「あの方ね、恋のお相手は」

そう、ぽそりと耳打ちされたので、こくりと頷いて

一人じゃないんですと、こっそり告げた


「あらあら、欲張りさんなのかしら

 困ったお姫様

 二人同時には愛せなくてよ?」

そう言って、私をじっと見る

こくりと頷くと、にっこり笑ってくれた


その笑顔は、解ってるならいいのよ、と言ってるよう

うん、解ってます

だから、今だけなんです


竜の国を選ぶか、地球を選ぶか

その選択は、私に結局出来なかったけれど

恋のお相手はちゃんと選びたいです

だって、私のこれからの人生に関わってくるかもしれないし

そうじゃなくても、仕事上の関係者だしね


そう、考えるとリスクが大きいのかなぁ


「ユキちゃん、こちらは絵本作家の

 直島かよ子さん

 先生、こちらは、印刷会社の事務兼秘書の

 佐藤有紀さんです」

そう言って、篠山さんは、紹介してくれた


あわててぺこりと頭を下げるけど

彼女はにこにこ笑って、私と篠山さんを見る


「いい人ね」

私にそういって、すたすたと、布製のソファーにすっと座った


「ユキちゃんもこっちおいで」

呼ばれたので、私も篠山さんの隣りにとすんと座った


「この子、私、だぁい好きよ」

直島先生は、そう言った

「え?会ったばかりですよね?」

そう、男の人が聞くけと、こくりと頷いて

「そう言うのは、時間の問題じゃないのよ

 あなたって、解ってないわねぇ

 こういうのは、恋に落ちる時と一緒

 一目見て、お話して、解るものなのよ」

そう言って、ねぇと私に投げ掛けてきた


「はい、私も直島先生の事、好きになっちゃいました」

だって、とっても素敵な方

お話方も、絵本作家なことも

雰囲気も、みーんな好き


もっともっと知りたいな、一緒にいたいなって思える人です


「ほらね、わたくしたち両思いなの」

そう言って、そっと、私の手に手を重ねた


少しかさついた指先の丸い手

中指に、ペンだこがついた物書きの手

おばさまみたいね

母の遠縁の方らしいけど、

お家が近くて、その方が書いた童話が好きだった


私が飽きもせず、弟妹に読み聞かせてたら

だんだんみんな覚えて来て、

おばさまも、それだけ読んで貰えたら幸せだよ

って笑ってた


この人が書くお話はどんな話しなんだろう

読んでみたいな


予約20時、昨日今日とリアルタイム投稿ができない・・・ちょっと寂しいねぇ・・・

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