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嵐の後の世界12

「まぁ、ユキちゃんじゃないといけなかったとして

 何があったの?」

あ、主旨がずれちゃいましたね・・・


「あのね、子竜ちゃんたちと喧嘩しちゃったの

 喧嘩っていうのかな、売り言葉に買い言葉で

 世界がどんどん遠くなってはじき出されちゃった」


うん、その表現が一番正しい


「事の発端はね

 竜は戦いの種族なんだって

 私そういうの苦手で、子竜ちゃんたちは

 私に嫌な顔させたくないからって

 こっそり戦ってたの

 作った服はすぐにボロボロになるから

 何してるんだろう

 みんなで格闘技の練習してるからかなぁとか

 思ってたのよね」

こくりと頷くりっちゃん

ちょっと目を丸くしてるは、どうしてなんだろう


「子どもの時は竜の姿だけど

 変態っていって、人になって帰ってきたの

 もっと成長したら竜にも人にもなれるからって

 その人の姿の時も戦うからって

 格闘技の練習をルアンさんっていう

 かっこいい女性の竜が教えてくれてたけど

 毎日じゃなくて、毎日は走ったり

 子竜ちゃんたちお互いで頑張ってねと言ってたからね」


あれ、なんでメモ取り始めちゃうんですか

手握ってて欲しいなぁって

甘えたこと言いたいけど、キラキラ目を輝かした

りっちゃんにそんなことも言えるわけもなくて

続きを話しはじめた


「だけど、実は他の竜と戦ってたの

 それで強さを競い合ったり

 自分の力を強くするんだって

 ある日、大怪我して私にばれちゃったの

 ブロージュさんっていう人が白竜で

 白竜は他人の怪我を治せて

 だから怪我自体は問題ないし、

 これからは秘密にしないでね・・・って

 それで円満解決だと思ったの」


うん、ここからだよね

一番の問題は・・・

ふぅっとため息を吐くとりっちゃんが

よいこ、良い子という風に頭を撫でてくれた


「ありがと

 でね、次の日、その怪我の原因の大人の竜が

 こっちのお家に来て

 子竜ちゃんを挑発したの

 弱いとか、護られるだけの存在だって

 多分、竜にとって侮蔑なんだろうね

 子どもだから、護られて何が悪いんだだし

 怪我するのは見たくない

 そう思って、その竜抱えたら

 すっごく熱くてやけどして

 みんなに怒られて

 だけど、親として私はみんなを護りたくて

 喧嘩なんてしてほしくなくて

 だから・・・だから・・・」

そう思った瞬間ぼろぼろ涙がこぼれた


「ユキちゃん無鉄砲な所あるもんね

 でも・・・私でもそうしちゃうかな

 いくら戦うのが当たり前っていっても

 大人と子どもだし

 帰ってくださいって言うと思う」


うん、手を出したのは悪かったかもしれないけど

まさか熱いとは思わなかったもん


「それで、言われたのは

 竜には竜のしきたりがあるってこと

 いつも優しいあやめちゃんが

 凄く苛立って私にそう言ったの」

今思い出しても、ずきりと心が痛む


「だから、売り買い言葉

 竜のしきたりなんてわからないって

 私は人間だよーって・・・

 色んな人に相談して、不安ながらも

 頑張って来た全てが否定されて

 そこにいる理由や、存在価値まで否定されて

 凄く凄くショックで

 つい言っちゃったの」

そう言ってりっちゃんを見ると

小首を傾げて聞いてくれた


「なんて?」

「みんな、嫌いよって」

うん、全部嫌だって思っちゃったんだよね

ホントに感情だけで言っちゃった

そして、今凄く後悔してる


「気持ち、解るよ

 私も、アクセサリー作ってるって言ったら

 見せてほしいなぁって言われて

 いざ見せたら、

 なにそれー変なのーなんて言われたら

 好きじゃないんだよね

 だけじゃ終わらないもん

 頑張ったのも、ぜーんぶ何もかもひっくるめて

 否定された気分になっちゃう

 じゃぁ見たいなんて言わないでよって

 言っちゃいそうになる」

うん、それ解る

イベント会場で見てる人の半数は好きな人

一見さんや、なんとなく見てる人もいるし

ついて来ただけの人もいて

りっちゃんの作品をひょいって見て

ぽいって投げて置く人がいて、

かなりむっとした

つい、文句言っちゃいそうになったけど

りっちゃんが駄目って首を振ったから

何にも出来なくて凄く悔しかった


やっぱり、りっちゃんも悔しくて

嫌だったよね


「前、怒ってくれようとしたでしょ?」

同じことを思い出してたみたいで

ちょっと嬉しい

こくりと頷くと


「実は、嬉しかったんだ

 何か言いたくて仕方なかったけど、

 やっぱり、そういう事って言えないじゃない

 ユキちゃんが、共感してくれて

 私には、ユキちゃんっていう強い味方がいて

 好きって言ってくれる大事な人がいるんだから

 良いじゃないって思えたの」

そういって、ぎゅっと私を抱き締めてくれた


「いろんな事いっぱいいっぱいして

 よく頑張りました

 お帰りなさい、地球に」

予約20時でーす

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