嵐の後の世界10
篠山さんと、りっちゃんはあの後
意気投合したようで、ユキちゃんはーなんて会話してたけど
私はくらくらし始めた視界と
揺れている意識を見抜かれて
ベットに入れられた
「お姫様抱っこ・・・」
と、りっちゃんに呟かれて
ちょっと恥ずかしい思いはしたし
重たいのにごめんなさいとか思ったけど
抱き上げられた瞬間と、横たわったことは覚えてるのに
それ以上の意識は無かった
気がついた時には、真っ暗で
ベットの下で、すぅーすぅーという
規則正しい寝息
りっちゃん用のお布団セットを出してくれたみたい
来客者用布団なんだけど、殆どりっちゃん専用
まぁ、篠山さんみたいに、
みんな、このマンションにびっくりしちゃうもんね
ぎしっとベットを軋ませながら
りっちゃんを踏まないように足を下ろす
寝てる人をまたぐのは行儀悪いけど
この配置だとそうするしかない
いつも、心の中でごめんねと謝りながら通るけど
りっちゃんがベットの時は、私もまたがれてるらしくて
同罪だよーなんて笑ってくれた
ほんと、良い友達持って良かったかも・・・
居るだけで安心できて、何かあったら駆けつけてくれて
同じ方、向けて
今さらだけど、私が服飾に目覚めて
りっちゃんは、もの凄く嬉しかったんだって解った
あれよという間に、ネットショップは作るし
オークションには登録するし
私が驚いて、状況把握するより早く何もかもが整った
そんなことする理由と
にこにこと笑顔で、嬉しそうな声
いつも以上に頻繁なメール
その全てが、同じ夢を見られて嬉しいの気持ちだったんだよね
同じ方、向いて、夢見られるっていいよね
いつからだろう、子竜ちゃんたちと私の方向がずれちゃったのは
最初からなのかな・・・
そういえば、親子関係がほとんどないからって
言ってたよね・・・
育てる人は親じゃない場合もあるし、
好きになって子作りしても構わないって
馬鹿だね、一人でおかーさんおかーさんとか思って
浮かれて、必死になって
好きって言われたからって、そういう関係だって言われてないもんね
洗面台について、蛇口をひねり
ばしゃりと冷たい水で顔を洗い流した
泣いても仕方ないのに、涙が出て、
腫れて赤くなって醜い顔
もう、2年ぐらい経ってるから
私のことなんてもう吹っ切っちゃって
竜の戦いとか一杯して強くなってるはずだよ
そう思って顔を上げた瞬間
鏡に映し出されてのは竜の国
あれ・・・繋がってるの?
大きな紫の木がいっぱいあるから紫竜のところかな
だけど、竜はおろか精霊も見えない
さわさわと、紫の木が揺れる様子だけが見える
もう懐かしいって思ってる自分がいて
ちょっとびっくりした
2日や3日で、懐かしいになっちゃうの?
それとも、それくらい濃くて日常だったのかなぁ
全然違いすぎる日常だから、
体が順応した時に、懐かしいって思うのかな
そう言えば、向こうで地球のこういうところが
懐かしいかもーとかそんな風に思ってたもんね
そう考えるとしかたないのかな
そういうものなのかもしれない・・・
さわさわと揺れる梢と
波のような葉っぱ
その葉擦れが聞こえて来るような気がする
種、最後まで育てて上げられなかったな
みんなが、育てーってしてくれるか
紫の巣に返してくれたかなぁー
そう考えちゃうのは、まだ気持ちが向こうに残ってるからかな
いつか、帰れたらちゃんと話して
お別れしよう
私は人間、あの子たちは竜
そして、あそこは竜の国の世界だもんね
ただいまー、暑くなってきたねぇ~、今車通勤してるけど、クーラーなしでは辛くなってきはじめました(クーラー苦手)そして、長袖着てるけど、顔と手だけが、こげてきました(焦)こまったねぇ~笑