嵐の後の世界9
「ユキちゃん」
ぎゅっと抱き締める柔らかで小さな感覚
鈴を転がしたような声が私の意識に飛び込んできた
「りっ・・・ちゃん?」
目の前にいるのはりっちゃん
「うん、私だよ
あの人が呼んでくれたの」
示す方向には篠山さん
「ありがとうございます」
そう言うと、ぽすぽすと頭を撫でてくれた
「親友の八重坂 葎です
高校生の同級生で、今は服飾関係の趣味で
一緒にいろいろ頑張ってます」
りっちゃんがそういうと
篠山さんは名刺を差し出して
「篠山 肇です
同じ職場で働く同僚で、
ユキちゃんに恋している男の一人です」
・・・なんて説明するんですか
そして、同僚じゃなく上司ですよー
「あはは、面白い方ですね
でも、助かりました
ユキちゃん、ホントに我慢したがりだから
誰かが居ないと、もっとボロボロだったかも」
と言うぐらいだから、少し話したんだよね
でも、お互い名乗る暇はなかったのね
それぐらい心配してくれたんだよね・・・
本当にありがとう
「ユキちゃん、この合い鍵って持ってていい?」
大家さんに借りた合い鍵
「せめて、元気になるまで、というか
6月1日の会社で返すよ」
「私も欲しい」
そう言ってりっちゃんも手を出した
「オートロック番号は知ってるけど
合い鍵は持ってないから、ユキちゃん毎回起こすの
嫌だもの」
あ・・・2人してお見舞いに来てくれようとしてくれてるのよね
「大丈夫だよー、一人で何とかなるって」
そう言うと、二人して笑って
「本当に言いましたね」
「うん、ユキちゃんのお母さんはよく解ってるね」
二人して嫌な感じで笑ってこっちをみてる
そういえば、電話で、おかーさんが、
大丈夫って言葉は信用するな、とかなんか言ってたって
篠山さんが言ってたし
いや、ホントに大丈夫ですからー
私がそう口を開こうとした瞬間
「「と、いうことで鍵」」
篠山さんは、ちゃらっと鍵をならし
りっちゃんは手を差し出した
もう、解ったわよ
・・・強引だけど、優しさが嬉しいですよーだっ
本日2本目、そして皆さんに感謝とお詫びを本来なら感謝増量投稿のある時期なのですが、今は出来ないので、いつか・・・ということでお許しくださいな、今日の夕食、キュウリがたわわになったよ、ということで、ブロック肉の甘辛炒めとキュウリひいてどんぶりと酢の物とあとは残り物を食べましたー、さくさくあまからー、時間が経つとまずくなるよ★キュウリはしゃきしゃきが命です!