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世界に起きた嵐3

「おはよう」

そう言った声で目が覚めたけど

その声は固くて誰の声か解らない


「ど・・・うしたの?」

起きたばかりで、ちょっと枯れた喉に引っかかった感じがして、

こふり、と咳き込んじゃう

目を開けたら、ぶわりと舞っている白い砂に

みんなが慌てて立ち上がったことを知った

どうしたんだろう、なんかぴりぴりしてる


「あいつが・・・、ちび竜が来る」

外をじっと見るべにあかちゃん


「え?」

昨日怪我した原因の竜・・・

そして、前回来てたのは、戦いに来てたということ

今回も?

昨日の今日で?


「屋上行こう」

室内に入れたくないのか、ひょいっと

こくちゃんに抱き上げられた


眩しい太陽が目に痛い

下を見ると影が長いから、まだ朝なはず


「来た」

遠くから、赤い塊

あれ?大きい?


「成竜って言ったでしょ?」

そうあやめちゃんが言う

ヴェルデさんよりは小さいかもだけど、結構大きい


「え、ホントに同じ竜なの?」

犬の大型・中型・小型とかそんな感じだと思ってたんだけど

ほんとにほんとに、みんなと同じ種類の竜なんだ


「うん、力のある竜ってこと

 あそこまで小さくなれるんだからね」

あ、そっか、そんなこと言ってましたよね・・・

なのに、なんでみんなと喧嘩・・・ううん、戦うんだろう


「僕らと戦うのは、年が近いからだよ

 あいつはまだ未分化、ロートリアスと

 同じ時に生まれたやつだから」


表情を読みとったのか、ときわちゃんが説明してくれる

あれ、ロートリアスは、雄じゃないの?

やっぱり、だんだん難しくなっていく

とりあえず、今の事だけでいいや


もう、目の前まで迫って来た赤い竜

それが見る間に小さくなっていく


「こんにちは、姫」

くるるっと鳴いて前回同様、腕に飛び込んで来ようとするけど

がしっと、尻尾を掴んだたんぽぽちゃんが

「駄目」

と呟いて、ぽいっと投げた


「ああ、見えなかったよ、こんにちは」

屋上の縁にぱさりと留まって小竜はそう言った

あれ・・・いつもと様子が違う


「言ってろ」

そう吐き捨てるように言うのはべにあかちゃん

みんなの雰囲気もいつもと違う

ぴりぴりというより、固まった気配

何もない空間に透明な何かがあるみたいで

気持ち悪い


「死ななくて良かったな、子どもでよかったなぁ」

くすくすと笑いながらそう言うのは

昨日の事、べにあかちゃんの怪我は

やっぱりこの竜が原因なのね・・・


信じたくなかった事が、次々と湧いてくる

でも、みんなが嘘を吐くわけないから

それが真実なんだけど、信じたくなかった

だって、あんなに可愛かった小竜なのに

甘えて、マッサージが好きで、くふくふ言ってたのに


「竜は殺し合いはしないって、言ったのに・・・」

私がそう呟くと

「しないよ?姫、

 ただ、こいつらが弱すぎただけ、

 なのに向かってきたから怪我の1つや2つはできるな」

くすりと、笑う小竜

「子どもだろうと、大人だろうと

 戦いを挑まれた時点で、変わらないんだよ

 竜にはね

 どちらが、勝つか負けるか、自分で決めるだけさ」

綺麗な赤い瞳の中、きゅっと縦に絞られた黒い瞳孔が

底知れぬものに見えて、何もかもが落ちていくような感覚になった


「竜の瞳の奥は見ちゃだめだよ」

そう、いったルアンさんの言葉が思い出してるのに

私は目を逸らせなかった


「お前には、あげないよ」

すっと私の目ふさいでくれた

それにほっとしたのと同時に

力が抜けた


「危ない」

そう言って、ぎゅっと抱き締められた

その暖かさが、私に染みて気力が湧き上がってくる


「うん、もう平気、ありがとう」

そう言うと、にこりと笑うはくちゃん


「もったいないよなぁ、お前らには」

そう言う小竜だけど、

もったいない、の主語が解らない


「お前には、やらないよ」

私の前に、すっとべにあかちゃん、

るりちゃん、そしてこくちゃんが立つ


「今のお前らに勝ち目はないけどな」

主語は、もしかして、私なの?

私をいるって理由が解らないんだけど

子どもがいるわけじゃないし

紫の木のようにお役に立てることはあるの?


「勝てないやつが、言う言葉はない」

そう言って、ぼうっと炎を吐き出した

ごうっとかすめるように飛ぶ炎の熱が、真横を通り抜ける

このままじゃ、また昨日みたいに怪我しちゃうんだ


「駄目」

両手を広げて、前に立つと、くすくすと小竜が笑った

その笑い方は、楽しくて笑うじゃなく

明かに挑発的


そして、にぃっと笑うとこう言った

「弱い竜は、庇われるしかないよなぁ」

怒濤の展開中、ストック減り中・・・てへっ、まぁ、大丈夫なはず、恒例の今日の夕飯!生姜ご飯、かぼちゃと椎茸の煮物、焼き魚・鰆、もやし・人参ピーマンを炒めを添えて、あと小エビの姿揚げでしたーうまうまvまた、明日!

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