世界に起きた嵐1
「ただいま、それと、ごめん」
飛びこんで来たときわちゃんにいきなり謝られた
あれ、今日の服は新品だったよね・・・
凄くボロボロ
その上、みんな怪我してる
「どうしたの?!」
「騒がしい、何事だ」
私の後ろで、諸悪の根元こと、竜の王さまが
本当に久々に目を覚ました
「起きてるのか・・・白竜のブロージュを呼んでくれ」
るりちゃんが珍しく慌ててる
え?何???どうしたの???
「ごめんね」
そう言って、あやめちゃんが目を逸らす
そして、すっと、体をずらすと
赤い髪、そして、服を染める赤い血・・・
「べにあかちゃん!」
慌てて駆け寄るけど私に出来ることはない
せめて、布で縛るべき?
どうしたら良いんだろう
「ブロージュ来たら、治るからそのままでいい」
慌ててる私にはくちゃんが言うけど
こくちゃんの後ろから出てこない
「ごめん」
こくちゃんも謝る
なんで?どうして、怪我してるの?
それも、切り傷とか、咬まれた痕つけてるの?
遊びに行ってたんじゃないの?
崖から落ちたとか、木から落ちちゃったじゃないよね
「姫さま、失礼します」
ブロージュさんが階段を駆け下りて
べにあかちゃんに手をかざす
ぽわっと、体を包み込む大きな光
2.3回閃光したかと思うとパッと散った
「ありがとう」
べにあかちゃんの声
疲れてるけど、さっきまでのぴくりともしなかった状態より
全然いい
「何してたの?」
聞くのが怖い気がする
でも、こんな怪我して帰ってくるのを
知らないって放置できない
「ブロージュ、ありがとう」
そう言って、さよならを言うはくちゃん
「いえ、お役に立てて良かったですよ
気をつけるんですよ」
そう言う、ブロージュさんは何もかもを解った顔している
知ってたのかな、みんなが何をしてるかって
私だけ知らなかった・・・ってことかな
「姫さま、聞いてやってくださいね
お休みなさい」
そう言って、ブロージュさんは、階段を上がっていく
うん、聞くしかないよね
「じゃぁ、話してくれる?」
そういって、久々に起きた諸悪の根元2人と
私、そして7人の子竜ちゃんたち
何をしてたか、教えてもらいましょう
「今まで言わなかったけど、
オレ達竜は、戦いに他の人の所に行く」
ああ・・・やっぱり・・・
そうかな、とは思ってた
だって、汚れ方とか、服の駄目になる具合が凄く早くて
何してるのかなぁーと思ってだけど
思い当たるのってそれしかないもんね
「この前、ちび竜が来ただろう
それも、たぶんそういう用事」
え・・・あの子も戦うの?
「逆に今日、行ったら返り討ちにあっただけ
ちょっと無茶した、ごめん」
しょんぼりとしたべにあかちゃんをはじめに
みんなしょぼんとする
「竜の本質が、戦いであることをまだ解ってないのか」
呆れたように、竜の王さまが言う
頭では解ってるけど、やっぱり解ってないのよね
「だって、こうやって怪我しちゃうんだよ
それを、はいそうですか、とは言えないよ」
今回、ブロージュさんが居なかったらどうなったんだろう
そんな事、考えたくないのに
ぐるぐる頭の中を最悪な想像が駆けめぐっちゃう
「戦いの無い世界で育ち、こちらで過ごす時間も短いのですから・・・」
そう言う優しい声は、森の王さま
ちょっと渋みのある声に変わってるのは年をとったせいかな
「逆もまた然り、戦いをしないのがわからん」
だよね、当たり前が当たり前じゃないんだもん
「解らなくていいよ」
ぎゅっと抱き締めてくれるのははくちゃん
「うん」
そう頷いて、抱き締めるのはこくちゃん
「そのままでいい、でも、戦うのはやめない」
私をじっと見て、みんながそう言う
「でも、秘密にはされたくないよ」
こうやって、怪我したり、何かあったとき
心配だもん
知ってても、心配かもしれないけど、それは隠されたくない
「うん、だから、ごめん」
こつんと額を合わせて、目を瞑るべにあかちゃん
「うん、無茶だけはしないでね
強くはなってほしいの
私は、弱いけど、みんなは強くてかっこ良くて
綺麗で可愛い竜になってほしいから」
それだけは、本当
「うん、約束する」
ぎゅっと前から後ろから、重みがかかる竜団子
その内、ずるずると落ちていくのは
眠りについちゃった所為、
それをみてくすりと笑いがこぼれる
みんな疲れちゃってたよね
「まったく甘い、甘すぎる」
ふんっと鼻で笑ってるけど、やっぱりどこか優しい声
「ありがとうございます」
この世界の始まりは、あなた達が選んでくれたから
もう2人しか残ってないけど
私は、言いたくなった、ありがとうって・・・
そろそろ不穏な気配が漂いはじめましたので、起承転結の「転」であることは気付いてくれてると思いますが、糖度、ほのぼのが絶賛低下中です、物語的に避けて通れませんので、ご了承下さいな・・・ということで、献立、暑いのにすきやきだぜっいぇぃ!とあっさり酢の物だけですー、今日はシンプルシンプル、でも食べ過ぎました(笑)ではまた明日