黄竜の里5
あれから暫く経ちました
珍しいことといえば、他では感じなかった
地震が何度かあったことぐらいかな
「あ、揺れた」
ぐらいで、済むのは、地震大国日本だからかしら
ここに住んでいる人の殆どが、地震経験なしとのことで
姫は根性あるねぇ、と言われたけど
こういうのって慣れですよね
ただ、もし、この水晶たちが、降り注いできたら
私は、ひぃぃぃぃぃって、真っ青になりますよ
ルアンさんと2人部屋のこの命名水晶の間は
地面だけじゃなく、鍾乳洞のように上下左右
部屋の全てが水晶でできてる
場所によっては、小さくて細かい柱があるけど
だいたいは、大きくてふっとい柱
むしろ、地面はないよ、の方が正しいかも
温い場所があるので、私は、岩盤浴~とか言いながら寝てたら
そこが寝床に決まっちゃった
岩盤浴ほど温くはないから、いいけど、
脱水症状にならないか、ちょっとだけ心配だったり
ルアンさんが、くれた言葉と優しさは、
私に、じんわりとしみこんで、
ああ、ここにいてもいいんだなぁって、再度思った
いろいろあって、不安だった心も、
すっきり晴れて、あとは、たんぽぽちゃんが
元気になるだけ
その間は、ほんとーに、のんびり生活
紫の木の種と、服作り
ルアンさんにもー、と思ったけど、
駄目っていうみんなの声と
ルアンさん自身にも止められちゃった
別に良いと思うのにねぇ
「おはよ」
うんうん、おはよ・・・ってこの声は
その存在をみる前に、ぺったりと私に抱き付いてきた
ふわふわの髪の毛が顔にあたってくすぐったい
「たんぽぽちゃん・・・」
ぶわり、と涙が溢れてくる
元気になったんだ
「ありがとう、居てくれたの解った、嬉しかった」
ぎゅっと、抱き付くたんぽぽちゃんに
私も、ぎゅっと抱きかえす
「僕も大好きだよ」
囁くようにたんぽぽちゃんが言う
・・・聞こえてたんだね
改めて言われると、ちょっと恥ずかしいかも
「起きたのかぃ」
ルアンさんが、たんぽぽちゃんを見つけて声をかけた
「起きたよ、何時までも寝てられない、でしょ?」
あれ、なんか、可愛くない態度
「あらあら、邪魔したから、ご機嫌斜めだねぇ」
くすくすと、笑うルアンさん
ああ、感動の再会中は邪魔して欲しくないってことね
大丈夫だよー、おかーさんは、たんぽぽちゃんが
帰ってきてくれて嬉しいから
「おかえり、たんぽぽちゃん」
ゆるんだ手で、ぎゅっともう一回抱き締める
「うん!」
すーりすりと、頭をすり寄せて、たんぽぽちゃんが
懐いてくる
可愛いなぁ~
でも、ちょっとだけ大きくなったのかな
成長期だもんね、大きくならないとそれはそれで
問題なのかもしれないけど
1カ月ぐらいで、そんなに変わるものかな
うん、変わるものだった
弟の成長期、あれは、見てる方が痛かった
ねぇちゃんいてぇって言われても、なんもできないわよ
さするぐらいしか・・・
骨と骨が軋む音が聞こえるってどんなホラーなんですか
まぁ、本人がそういうんだから
聞こえてるのかもしれないけど、
その後、ぐんぐん伸びて、私をあっさり見下ろして来た
他の弟たちは、うわぁにいちゃんがのびたー
俺らも、伸びたい!とかいってたわよね
まぁ、男の子としては、身長ほしいよね
「お家かえろ、みんな待ってるよね?」
小首を傾げて聞く、たんぽぽちゃんに
ルアンさんが答える
「全員、長の場所戻りさ」
「そっか・・・さすがに、あれはきつかったもんなぁ」
しみじみいうたんぽぽちゃん、
そっか、きつかったのか
「と、いうことで、私は提案するよ
起きたこと黙って、各地の長のところに行かないかぃ?」
くすくすと笑うルアンさん
「わかりました!びっくり作戦ですね」
そういうと、こくりと頷く
「やりましょう是非!
お迎えびっくり作成実行しましょう!」
私がそういうと、2人とも満面の笑みで
おー!って片手を上げて賛同してくれた
おはよー、ございま・・・す、たんぽぽちゃんおきましたー、私も起きましたー、どっちが、可愛い?え、たんぽぽちゃん、当然ですね(むしろ、私が、可愛いいなら、びっくりするよね!)では、お風呂行ってきます