久々の竜国24
ふぃー、ただいま~、お腹へったよぅ・・・
起きると、手にさわっと当たるもの
んー、と手に握って目の前に持ってくると
数カ所から、ふわふわとしたものが種から出てる
あー、生えたー
「黴・・・じゃなかった
根っこでたよー」
生えろー生えろー、育てー育て~を
今回も寝る前にしてました
子竜ちゃんたちにも、生えろ育ての歌を
一緒に歌ってもらったりしてたら
2週間ぐらいで生えた、うん、そんなもんだよね
「黴っていったよな」
「言った、言った」
べにあかちゃんと、ときわちゃんの二人がくすくす笑う
うー、聞き逃してください
「黴、はない」
きっぱり言うのは、るりちゃんとたんぽぽちゃん
そう、タッグを組まれると、おかーさん、負けちゃいますよ
「根っこね」
くすり、と笑いながら、あやめちゃんが受け取ってくれる
「うん、そろそろ良いね
本当に早いなぁ、うーん」
さわさわと、白い毛を触りながら確認
「ま、生えたのは確かだし、いいや」
大事そうに、きゅっと持ち直して見つめてる
1つの木に1つの竜なら、また一人紫竜が増えることになる
感慨深いよね~
「今回は、みんなで行く?」
あやめちゃんがそう言うと、みんな思い思いのポーズで喜んでる
あれ、大丈夫なのかな
「人型の時は、そんなに場の影響受けないから
大丈夫だよ
逆に、受けないから困るって時もあるけどね」
そう説明してくれるのは、はくじちゃん
そんな感じでみんなでピクニックに行くことになりましたー
「毎度すみません・・・」
総勢8人、ヴェルデさんの上にちょこんと乗ってピクニック
ううう、ヴェルデさんはタクシーじゃありません
『そんなに、気するなよ』
頭の中に響く声が、笑いを含んでるけど
気になるものは、気になるんです
ついつい、ついちゃうため息
ぎゅっと抱き締められた、振り返ると
たんぽぽちゃんが大丈夫?という顔をして見るので
頷いて、撫でてあげる
くるくると、軽やかな声
そうだよ、みんなでピクニックしてるんだから
ため息なんてついちゃ駄目だよね!
『オレも、楽しいしさ』
気持ちを切り替えた時、ヴェルデさんの声
確かに、みんなでお出かけは楽しいよね
『あんたと、居られて、な』
一呼吸おいて、柔らかで、
ちょっと、照れが含まれてたような
そんな感じが、伝わって、私も照れちゃいます
「そ・・・それなら、良かったです」
『一緒にいられるって良いよな』
だーかーら、そういう事言わないで下さい
「ヴェルデ?何言った?」
ぴくりと反応したのは、ときわちゃん
同じ種族だから、通じるものがあるのかなぁ
「ん、気にしないで、乗ってって・・・」
嘘じゃぁないよね、嘘じゃ
ふーんと、納得できないような声で、ときわちゃん
なんか、本当のこというと、身の危険を感じるんだもん
「だったら、いいけどね」
そう言って、ぽすり、と膝枕
たしかに、転がっても大丈夫なぐらい広いヴェルデさん
ブロージュさんよりは小さいけどね
気が遠くなるぐらい、竜って大きい・・・
みんな、どこまで成長するのかなぁ
今の竜体ってどれぐらい大きくなってるのかなぁ~
変態期の時、長とか、殆ど頭しか見てなかったしね~
頭と会話してます
しっぽと会話してます・・・そんな感じで
部分しか見えないって感じ
地球だと・・・鯨ぐらい?
ううん、きっともっと大きいんだろうなぁ
そう考えると、竜の国ってホントに広いよね
「見えてきたよ」
あやめちゃんが、前方を指さす
遠くに、薄紫と、緑のもこもことした山が見える
「育てたの、ずっと紫だよ」
にっこり笑って言う
それって、昔みたいに?
暗黒時代前、紫の木は、新しい新芽を出すたび
紫色で、今みたいに、春の季節だけじゃなかった
「強い、つよい、想い」
あやめちゃんが歌うように語る
「ありがとう」
ふわり、と花が咲くような笑顔
うん、
頷くことしか、今は出来ないけど
涙がにじんで、景色も滲んでくる
ぎゅっとたんぽぽちゃんが抱き締めてくれた
「綺麗だね、この子も大きく育つといいね」
紫の種をそっと、袋の上から抱き締める
「みんな、願った、きっと大丈夫」
目を細めて、こくたんちゃんが力強く言ってくれた
「うん、そうだね」
たくさんの竜、いろとりどりの竜が飛翔する空
いつかきっと・・・
さて、ピクニック編です、今日は寒いですねぇ・・・風邪引かないようショウガ汁でもすするか・・・いや、ご飯が先だーーっ