第7話: 焼き肉のたれ実験
何はともあれ、後期試験は乗り越えた。
僕は無事に医学部4年生へと進級することができた。
嬉しかった、とりあえず乗り越えられて。
3年生から4年生への進級が難関であると聞いていたため、最難関の試験を何とか突破できてほっとしていた。
さぁ、進級に向けた状況は一旦緩んだんだ。
次は何をすべきか分かるだろ。
そう、このデバフの正体を解き明かさないといけない。
後期試験前は、試験が終わったら心療内科に通院しようと考えていた。
しかし、試験勉強中に起こった小さな発見に好奇心を刺激された僕は、心療内科への通院を後回しにした。
やるべきは、実験だ。
当たり前だろ、難しいことなんてなんにもない。
キャベツと豚肉を炒めて、焼き肉のたれをかけて食べるだけだ。
なーんにもリスクも問題も感じられない。
どんなに厳しい倫理委員会も即決でOKを出すような安全性の高い人体実験だ。
そう、これが記念すべき僕の第1発目の人体実験となる、
名付けて、「〇・〇・〇・焼き肉のたれ♪ 実験(Y実験)」である。
本当は使いたいアルファベットが違うが、大人の事情でここはY実験と呼ぼう。
さぁ、実験内容を解説しよう。
といっても、それは極めて単純なものだ。
<実験内容>
①しばらく焼き肉のたれを食べるのを控える。
②できるだけ症状が落ち着いている時に、焼き肉のたれを食べる。
③その後の体調を観察する。
どうだい、皆が想像していた通りの内容だろ。
そうさ、何のひねりもない。
何なら普通にいつもの食事をしただけさ。
結果が気になるかい?
この実験の結果分かったことはね、――――――
(つづく)