第46話:支え
でも、僕はまだ諦めていなかった。
体調はものすごく悪かった。
毎日の生活は本当に苦しかった。
でも、僕には希望があったんだ。
それはナイスタチン実験の成功だった。
ナイスタチン実験の結果を元に、「大腸内の真菌」が僕の病態に大きく関わっていると信じていた。
つまり、この体調不良の原因は感染症だ。
感染症の原因微生物は大きく次の3つに大別される。
細菌、真菌、ウイルスである。
このうち、ウイルスは一度かかると生涯、完全に排除できないものも多く含まれる。
それに比べて、細菌や真菌に対しては治療薬の開発が進んでいる。
優秀な抗菌薬、抗真菌薬の登場で、体内から細菌や真菌を排除することは比較的容易い( たやすい)。
相手が真菌なら治せるはずだ。
比較的簡単に。
ダイオフ症状は辛くとも、ダイオフ症状が起こるということはカンジダ菌は確実に死滅しているはずなんだ。
つまり、いずれダイオフ症状は消えてなくなるはず。
治るはずだ。
そう時間は必要ないだろう。
一人になった僕は、いかにダイオフ症状を起こさずにカンジダ菌を死滅させることができるかについて、日夜霞んだ頭で考えるようになった。
(つづく)