第44話:乳酸菌実験
ドクターAは僕に乳酸菌サプリメントを飲むように勧めた。
前述したように、乳酸菌サプリメントにもまたカンジダ菌を殺菌する作用があるらしい。
ドクターAはナイスタチンによる殺菌作用が強すぎると考えたんだ。
だから、よりマイルドな殺菌作用を持つ乳酸菌サプリメントを用いて、ゆっくりと治療すれば僕をあまり苦しめずに治すことができるんじゃないかと考えたんだ。
ナイスタチン実験とは対照的に、乳酸菌実験に関してあまり僕は関心がなかった。
もう既に散々実験していたからだ。
ヨーグルト、ヤクルト、キムチ。
これらの乳酸菌を含む食品でダイオフ症状は十分に確認していた。
その上、実は乳酸菌サプリメントも既に試したことがあったからだ。
だから、結論は明らかだった。
ドクターAが与えた乳酸菌サプリメントでももちろんダイオフ症状は出現した。
それから、1年弱程だろうか。
僕は乳酸菌サプリメントを服用しながら治療を継続した。
乳酸菌サプリメントによるダイオフ症状は、ナイスタチンよりもずっとマイルドではあったが、それでも学生生活には大きな影響があった。
頭は霞み、身体は重かった。
誰かの一言に傷つきやすくなったり、幸福感が感じられなくて、生きる意味を自問自答するような日々だった。
日々の試験の重圧と、ダイオフ症状に苦しみながら、僕はさらに弱っていった。
(つづく)