表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/54

第34話: 沼から見上げた夜空

僕には糖質が足りなかった。


糖質を制限しておいて、糖質が足りないと嘆くなんて滑稽だと思われるかもしれない。

でも、もともと僕は原因不明の体調不良で、脳に霧がかかったような症状があるんだ。


そしてインターネット上に存在する怪しげな治療法に手を出すくらいには、身も心も追い詰められていた。


このまま治らなかったらどうしよう。

そんな気持ちが湧いてきては、頭の中で膨らんでゆく。


糖質が足りないだけじゃない。

ココナッツオイル療法が上手くいかなかった時点で、僕はもう焦っていたんだ。

焦っていたし、思考は霞んでいたし、身体は苦しかった。


人間には糖質が必要だ。

そんな当たり前のことも一旦置いておくくらいには、僕は錯乱していたんだ。


ココナッツオイルによるダイオフ症状、糖質制限と絶食療法による低血糖で、僕は次第に衰弱していった。



濃い霧の中をよろめきながら進み、僕は4年生の講義や小テストをやっとのことで通過していった。



そして、毎夜毎夜、やることは決まっている。

インターネットだ。

インターネットに僕を楽にしてくれる魔法の知識が落ちていないか、ひたすら漁っていた。


ベッドにうなだれ、右手と頭だけを布団から出してスマートフォンをいじる姿は、さながら、沼地に沈み、息絶えようとしている草食動物のようだった。


その時だった。

沼から見上げた真っ暗な夜空に、ようやくひとつだけ、星を見つけたんだ。



(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ