第28話: 糖質を奪え
「糖質を奪え」
僕は炭水化物の摂取を控えるようになった。
それに加え、できるだけ長時間の絶食を試みた。
「大腸粘膜上のカンジダ菌は、人間が摂取した糖質をエネルギー源として活動している。
したがって、カンジダ菌を大腸粘膜上に多く持つ患者は、彼が摂取する糖質の量を減少させることで、カンジダ菌の数を減らすことができる。
さらに、時折、半日から1日ほどの時間、絶食する時間帯を作ることで、体内に入ってくる糖質を減らし、カンジダ菌の勢力を弱めることができる。」
これらもまたインターネット上に記述されている、「カンジダ菌」への対処方法だ。
先述の「ココナッツオイル療法」に比較して、この「糖質制限療法」には、当初から僕は懐疑的だった。
仮にカンジダ菌が実際に糖質をエネルギー源として利用していたとしても、それは人間にとっても同じだ。
糖質は人間にとって、非常に大事なエネルギー源だ。
糖質を制限することで、宿主それ自身が弱ってしまっては元も子もない。
だからこそ、カンジダ菌へ対処するにあたり、僕はココナッツオイル療法を最初に選択し、糖質制限療法や絶食療法には手を出さなかった。
しかし、ココナッツオイル療法による改善が見られない状況の中で、半ば泣き縋るような気持ちで、これらの「眉唾ものな」治療方法へ手を出したのだった。
(つづく)