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第19話: 苦しみの波

変化があったのは、3-4時間後だった。


苦しみの波は唐突に訪れた。

身体の芯を掴まれているかのような、苦痛があった。

息苦しさ、いらいら、抑うつ症状、倦怠感、何とも言えない不快感に襲われた。


僕は机に肘をついて、うなだれた頭を掻きむしりながら、それらの苦痛に耐えた。

どのくらいの時間、そうしていたか、今となっては思い出せない。


場所が大学の近くの一人暮らしの部屋ではなく、実家のリビングであったことは明確に覚えている。

春休みで帰省していたのかな。

リビングのテーブルで涙ぐみながら苦しむ僕を、心配そうに母が眺めていた。

母には気の毒なことをしてしまった。


苦しかった。

とりあえず、それしか言えない。

症状もどこか掴みどころがないものが多い。

実際、表現するのは難しいんだ。

極論、経験しないと分からないようなものだと思う。


ココナッツオイル実験は、ひとまず「成功」であった。

具体的には以下のようなことが判明した。


・僕のうつ病は、ニンニクだけではなく、ココナッツオイルにも反応する。

・ニンニクだけではなく、ココナッツオイルによってもダイオフ症状が出現する。


我に返った僕はそう総括した。

本来の僕だったら喜ぶところなのかもしれないが、ココナッツオイルによるあまりに激烈なダイオフ症状を経験したためか、その時は喜びよりも恐怖の方が大きかった。




(つづく)

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