第18話: ココナッツオイル実験
「ココナッツオイルに含まれるカプリル酸には、カンジダ菌を死滅させる作用がある」
ココナッツオイルとカンジダ菌の関係をインターネット上で検索すると、確かにカンジダ菌の除菌に有効であるという記述が多く見つかった。
カプリル酸という成分がカンジダ菌の細胞壁や細胞膜に対してダメージを与えることで、カンジダ菌を死滅させることができるらしい。
この辺の記述は日本語より英語による発信の方が多かった。(*1)
具体的な成分名まで挙げられていたため、この情報には信ぴょう性がある程度あるのではないかと感じた。
僕はココナッツオイル実験に期待していた。
日々の症状は辛かったが、これらの言説が真実であるのならば、僕のうつ病が治るのは時間の問題に過ぎない。
これだけ多くのサイトにおいて、治療法までもが提示されているのだ。
全くの嘘ということもないのではないだろうか。
本当に僕のうつ病の原因が感染症であるのだとしたら、――――簡単に治るかもしれない。
僕は近所のドラッグストアで、瓶入りのココナッツオイルを購入してきた。
春休みで帰省していたのかな。場所は実家のリビングだった。
ココナッツオイルは常温でもぎりぎり白く固まったりするんだ。
白く固まったココナッツオイルは、スプーンで簡単にすくうことができた。
僕は僕のうつ病を治すと噂される魔法の白いオイルを小さじ一杯、口に入れて飲み込んだ。
ココナッツの甘い香りがした。
(つづく)
【追記】
*1:皆さんがご自身で検索なされる場合、検索ワードとしては、『caprylic acid candida cell membrane』(カプリル酸、カンジダ、細胞膜)などがお勧めだ。




