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第9話:ニンニク実験

僕は焼き肉のたれを摂取して症状が増悪した後、それが落ち着くのを待ってから、次の実験を計画した。



次の実験の名前は、ずばり「ニンニク実験」だ。

実験手順は、もう言うまでもないだろう。


ニンニクを食べて次の日の体調の変化を観察する。

ただそれだけだ。


使用するにんにくは冷蔵庫内にあったチューブ入りのニンニクだ。

小さじ1の半分程度をスプーンに取ってそのまま食べてみた。



結果は僕の期待した通りだった。

当たりだったんだ。


翌日僕は症状の増悪を認めた。

普段よりも数倍強い、倦怠感、憂鬱感、イライラ感、頭の働かなさなどを自覚した。



プラセボという言葉がある。

人間ってのは思い込みの強い生き物で、これは薬だと信じ込まされて偽薬(ラムネ菓子でもいい)を飲まされると、意外にも結構な割合の人が病気の症状が改善してしまったりする現象があるのだ。

本人の思い込みで、症状に変化が出てしまう。


まさしく「病は気から」を体現したようなこの現象のことをプラセボと呼ぶ。


僕はプラセボを疑った。

つまり、「僕がニンニクのせいで体調が悪化する」と思い込んでいるから、身体がその通りに反応して、「ニンニク摂取によって具合が悪くなる」という反応が起こっているのではないかということだ。

思い込みで身体が間違って反応しているだけではないかと疑ったんだ。


このプラセボ効果の疑念を減らすために、僕は症状が落ち着くまでに必要な時間的な間隔を空けて、何度も同じ実験を繰り返した。


僕の思い込みのせいなら、ニンニクによる効果の強さにばらつきが出るかもしれない。



しかし、何度試しても結果は同じだった。

とても思い込みのせいだとは思えない。



「僕のうつ病はニンニク摂取によって増悪する」

試行回数を重ねるにつれ、僕は確信を深めていったんだ。




(つづく)

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