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神の見し…  作者: cytus
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処女作です

大正百十一年二月二十四日。

露西亜連邦が烏克蘭(ウクライナ)東部のドンバス地方のドネツク及びルガンスク人民共和国の「解放」を大義名分として(ウクライナ)へと軍事侵攻を開始。

大部分の小麦の輸入を烏からの輸入に頼る越於日亜(エチオピア)は、食料安全保障が脅かされたとして太陽会議に宣戦を求めた。越日の提案を全会一致で承認した太陽会議参加国は露連に対し宣戦を行う。これに対し、二年前の東土耳(トルキスタン)紛争から何も学ばなかった露は太陽会議、及びそれを主導する悪魔の国、大日本帝国を非難したが、

太陽会議側はきっちり宣戦布告から四十八時間後に露への侵攻を開始した。東土、蒙古、満州、樺太、朝鮮、風府(カザフスタン)などの計二十か所から侵攻を開始した太陽会議は僅か一年で莫斯科を落とし、そこには太陽会議のシンボルとなっている大洋太陽旗が掲げられ、露は降伏した。

大正十五年、特殊な技術によって不老不死の体を得た今上陛下は、その特殊な技術を日本中に広めだした。その技術は、いわば魔法のようなものであり、また英吉利で始まった産業革命の申し子のようなものでもあった。新体(にたい)と呼ばれたこの技術は、令和の日本に住む私たちは、「サイボーグ化技術」、あるいは「義手、義足」などと呼ぶかもしれない。

しかし、新体技術は以前のSF小説に登場するようなものではなかった。蜘蛛のような八本の足に、タコのような触手。馬の下半身を取り付けることもあった。無論のこと、人工心臓や人工筋肉、人工肺や人工肝臓など、令和六年の世に生きるあなたたちが容易に想像できるものもあったが、それよりも当時の人たちの目にとっては尚更、奇妙さが目立った。

しかし、新体技術を用いた術を現人神たる今上陛下御自らが受けたことは、当時の華族社会に新体技術を一種のステイタスとなった。新体手術の料金も徐々に下がっていき、大正二十年ごろには一等客車に乗れる程度の価格で手ごろに手術を受けられるようになり、二十五年ごろには新体技術を体に施していない者の方が珍しくなった。

脳があれば不死となった者たちは、不眠不休で働けるようになり、また義人(robot)たちなども利用し、今上陛下は世界恐慌、震災恐慌の影響も加味されて、経済計画、「世民計画」を発表。

その頃の欧州では世民計画のおかげでいち早く脱せた帝国に後れをとり、世界恐慌の影響で大正二十二年に黄禍論など過激な政策を掲げる国家社会主義独逸労働(ナチス)者党が独逸の政権を握り、伊太利では弾結(ファシスト)党のムッソリーニが統帥(ドゥーチェ)と呼ばれる首相となり、欧州には暗雲が漂いだしていた。



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