03.地獄の扉
俺の仕事は、王の執務室前の扉の警護だ。
この仕事は名誉あるもので、俺たち兵士にとっては、今までは最高の任務だった。
――今までは、だ。
今では、はっきり言って地獄の仕事だと断言できる。
その理由は……。
ドガッ。
ガッシャーン。
ガン。
ガタガタガタ……。
最後には、執務室の扉の隙間から鉄臭い匂いが漂ってきて、しばらくすると今度はツーンと鼻を突く刺激臭が漏れてきた。
俺たちは慌てて扉に手をかけ、中の様子を確かめようとしたが、扉はびくともしない。
涙目になりながらも必死に扉を押していると、ようやく「ガチャリ」とノブが回る音がして、扉が開いた。
中から現れたのは、ワゴンを押した侍女長――メイ様だった。
彼女は何事もなかったかのような顔で、すました様子で通り過ぎていった。
あまりにも普通すぎて、俺たちは毒気を抜かれ、ただその場に突っ立って見送るしかなかった。
そのうち、何かきつい匂いが廊下にまで充満してきたが、次の瞬間、窓から吹き込んだ爽やかな風にホッとした。
……のも束の間、今度は羊皮紙を山ほど抱えた将軍――ジーク様が、真っ青な顔で通路に出てこられた。
その後、俺たちも王に呼ばれて執務室に入った。
そこで目にしたのは――驚くほど“綺麗な”死体の山だった。
王の命を受け、俺たちはその死体を一体ずつ担いで外へ運び出し、遅くまでかかって片付けを終えた。
王の執務室前の警護――それは、まさに**地獄への扉**。
最近の勤務表には、こう注意書きが添えられるようになった。
**「※王の扉前の警護は、心して臨むこと」**




