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01.おばさんメイドとあこがれの場面

「えーと……どういうことでしょうか?」


 黒い髪に黒い瞳。

 平凡な容姿のオバさんメイドが、王宮で一般的に支給されているメイド服を着たまま、三人の男たちに取り囲まれ、通路から見えない生け垣に囲まれた庭へと連れ込まれた。


 ニヤついた顔の男たちが、耳元でオバさんメイドに囁く。

「いいこと、してやるよ。」


 最初に、男たちのリーダー格のオッサンが、オバさんメイドを壁に押し付け、なんとも見てくれの良くない顔を近づけた。

 荒い息とともに、臭い息がオバさんメイドにかかる。


(はぁー……昔憧れた壁ドンも、オッサンがやると全然キマらないし、むしろ不快になるのね。)


 壁ドンされたオバさんメイドは、心の中で盛大にため息をつくと、男の腕を掴んで自分の側に引き寄せた。

 男の下卑た顔がさらに崩れる。


(誘ってるわけじゃないわよ。)


 怒りのまま、男の急所めがけて膝蹴りを食らわせた。


「ギャッ……グエッ……!」


 何とも言えない声を発すると、男はその場に崩れ落ちた。

 驚いた残りの二人が我に返る前に、オバさんメイドのさらなる一撃が、それぞれの急所を襲った。


 うずくまる三人を尻目に、オバさんメイドは先ほどの通路に戻り、通りかかった衛兵を呼び止める。

 生け垣の奥でうずくまっている男たちを取り押さえるように告げると、そのまま通路に放置されていたワゴンを押してその場を後にした。


「はぁー、バカ者どものせいで、もう一度入れ直すしかないじゃない。」


 ぶつぶつ言いながらワゴンを押していると、目の前に近衛師団長が通りかかった。


「やあ、メイ? ぐえっ……!」


 ワゴンを押して歩いてきたメイは、目の前に現れた警備責任者に八つ当たりするように、みぞおちに拳をめり込ませた。


「フン。」


「おい、ちょっ……。」


 膝をついた近衛師団長は、しばらく通路の壁にもたれかかっていた。


 そして、颯爽と去っていく幼馴染の背中を見ながら、つぶやいた。


「相変わらず、いい腕してるよなぁ。やっぱり近衛で仕事すりゃいいのに……。」



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