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株券

作者: 尚文産商堂

親が死んだという知らせは、松の内も終わった直後の1月16日に、突然やってきた。

大慌てで仕事もそこそこに、カバンに荷物を詰め込んで実家へと戻る。

上司には忌引き休暇を取ると伝えておくと、1週間は出社しなくてもいいぞ、と規定を引っ張り出して言われた。

これで安心して葬儀に臨めそうだ。


一段落ついたのは2日後。

通夜も、葬儀も、四十九日の法要もまとめておわらすと、家族総員が集められた。

葬儀会場にある部屋に親せきも含めて十数名いる。

弁護士だという人が部屋の中に現れると、部屋の中は静かになる。

「みなさま、この度はご愁傷様です」

定型句で始まる会見は、懐から1つの封筒が差し出されたことで、何の会見かということが分かった。

「故人の方が造られていた遺言書です。公正証書によって作成されて、私が預かっておりました。皆様の前で開封し、内部を読み上げさせていただきます」

よくわからないが、要はここで開けて遺言状を読み上げるということらしい。


封をペーパーナイフで切ると、朗々とした声で読み上げ始めた。

だいたい俺に関係ないだろうと思って聞き流していたが、急に俺の名前が呼ばれ、遺言として受け取る目録があることが分かった。

「……あなたには、手野商社の株式を譲り渡す。株式は全株式のうち2%にあたるものとする……」

聞いたことがある社名だ。

手野商社といえば、国内大手商社の中でもトップの売り上げを常に争っているところで、世界でも3本の指に入るといわれる総合商社だ。

そこの株式を親が持っていたなんてしらなかった。

その株式の金額は知りたくないが、かなりのものになるだろう。

もしかしたら、会社を辞めて遊んで暮らせるほどに。

どうしようかということをぼんやりと考えつつも、遺言状の読み上げは続いていた。

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