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南沢寺での惰性的な日々はエモい。  作者: 濃紺色。
南沢寺での惰性的な日々はエモい。
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絶対服従。

承哉達の話はとても短いです。


ようこそ、南沢寺へ。

「欲しい。欲しいなぁああぁぁぁっ!」


僕は叫ぶ。胸の中に溜まった思いを、全て。


「欲しいよぉっ! 欲しいぃぃいいぃぃっ!」


部屋中に響く僕の声。

すぐに部屋は静かになるが、これでも、少しは気持ちが落ち着く。大声を出せるだけ、家の中はましだ。

コンコンコン、と部屋のドアを叩く音。


「……んーだよ!」


僕は思わず声を荒げた。


「もうちょっと、声のボリューム下げてよ」


ドア越しに兄の迷惑そうな声が聞こえた。


「いいだろ、別に。ここは僕の部屋だ」

「外に声が漏れてたら、注意されて当たり前だろ?」


偽善者が。正義振りやがって。

黙っていると、


「気を付けてね」


とだけ言い残して、去っていく足音が聞こえた。


「ちっ、何なんだよ」


僕は学校でこんな苛立ったキャラではない。真逆だ。爽やかな好青年を演じている。見た目も相まって異性からかなりの人気だ。

まぁ、そんなのは大した話ではない。幼稚園生の頃からずっとそうだ。

そうやって、様々なものを手に入れてきた。彼女、友達、権力……欲しいものは何でも手に入った。元々、僕の家族、北沢家には代々金と権力があり、私生活には何の苦労もなかった。

欲しいと思った次の瞬間には、僕のものになっている。つまらないと言われれば、そうかもしれないが、ないよりはましだ。いや、あった方が断然いい。何でも手に入るこの状況に、僕は心から満足していた。

でも……。


「千代ぉ……千代ちゃぁぁあぁん……」


相沢千代。1年1組。出席番号1番。僕のクラスメイト。可愛い可愛いクラスメイト。

千代ちゃんはとても愛らしかった。それは入学当初から感じていた。千代ちゃんは席が僕の隣だった。僕の席からは、制服下から張り出る窮屈そうな、大きな胸を間近で見られた。我慢出来ずに話しかけるとおっとりした口調と優しい笑顔で応じてくれた。


「初めましてぇ。宜しくねぇ?」


大きな胸とは反比例して、顔は幼かった。ふっくらと柔らかそうな白い頰。優しそうな垂れ目。左目下の黒子が千代ちゃんをやけに色っぽく見せた。童顔、低身長という子供っぽさ。巨乳、左目下の黒子という大人っぽさ。そのミスマッチ感がとても官能的だった。

欲しいと思った。彼女の心から身体まで全て、僕のものにしたかった。

僕はいつものように爽やかオーラで千代ちゃんを落とそうとした。笑顔、優しさ、爽やかな声、彼女を手にする為に僕は演じた。演じて演じて、演じ続けた。

しかし、何かおかしいことに気が付いた。

彼女といる間、1度も、男女間に生じる、いい雰囲気を感じたことがないのだ。つまり、僕に落ちていない。千代ちゃんは僕を男として求めていないのだ。

他の女とデートしている間も、ヤッている間も、千代ちゃんのことが頭から離れないでいた。どんなに自慰行為をしても、セックスをしても、イク時は彼女の名前を叫んでいた。

原因はすぐに分かった。

綿矢承哉。1年1組。出席番号38番。コミュ障で吊り目気味の、童貞(多分)野郎だ。

こいつのどこがいいのかさっぱり分からないが、幼馴染って理由だけで、千代ちゃんは彼を特別扱いしていた。

そして、何より気に食わないのが、こいつの名前、承哉。僕の名前は、祥哉。どちらも、「ショウヤ」と読み方が一緒なのだ。何で、何でこんな童貞(多分)野郎と一緒なんだ。しかも、千代ちゃんを自分のものに出来ていない分、僕の方が負けている。童貞(多分)野郎なんかに! 何で……何でなんだよ!


「糞が!」


僕は椅子を蹴飛ばした。その拍子に椅子が勉強机に当たり、ガンッ、と大きな音が鳴る。

あの顔、胸、黒子、身体の丸みを忘れられない! あぁ! あぁ! 触りたい、触りた過ぎる! 糞! 糞! 糞!


「服従させたい!!!」


……そうだ。ただ、手に入れるだけじゃ駄目だ。奴隷のように無理矢理……いつの間にか抵抗する気力も奪わせて……


「……服従、させたい」


想像が一気に膨らむ。

何か、千代ちゃんの弱みになるものを握る。初めはきっと反抗的な目で僕を見ながら、嫌々従うだろう。そして、何度も何度も、その綺麗な身体を犯してやるのだ。ゆっくり、ねっとりと僕の色に染め上げる。すぐには終わらせない。嫌がるなら尚更ゆっくりと。身体中を舐め回し、感じさせ、まだ、挿れずに焦らし、焦らし続けて、やっと嫌がる彼女の穴に挿入する。毎日だ。毎日犯す。段々快楽の渦に溺れ始めるだろう。千代ちゃんが僕のあそこを忘れられなくなったところで、僕はきっと彼女に飽きる。だから、捨てる。それでもきっと僕を求めてくるようになるから、僕の10番目のセフレにしてやる。僕のセフレ。純粋だった女が墜ちていく。最高だ。やばい、興奮してきた。千代ちゃんの嫌がる顔が見たい。涙を流し、いやらしく喘ぎ、叫ぶのだ。早く千代ちゃんに会いたい。早く、早く!

……まずは、何か弱みを探さなきゃ。

僕はゆっくりと椅子に座った。勉強机に両肘をつき、両手で顔を覆う。

考えろ……考えろ……。


「欲しい……服従……僕のものに……」


僕は今まで様々なものを手に入れてきた。彼女、友達、権力……欲しいものは何でも手に入った。それが、性奴隷だろうと変わらない。

大丈夫。今回も必ず僕のものになる。

僕に、絶対服従をする。


「……犯してやる」


する。させてやる。

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