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南沢寺での惰性的な日々はエモい。  作者: 濃紺色。
南沢寺での惰性的な日々はエモい。
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ぐるぐるする。

澄人が熱を出したみたいです。

可哀想に。

ぐるぐるする。頭の中で脳がぐるぐる回る。数々の数字。記憶にない友達との会話。夢なのか現実なのか判断がつかない映像。様々な光景、音が真っ暗な脳内を駆け巡る。それは熱が見せる幻覚、幻聴なのか、それとも、薬による副作用なのか。


「大丈夫かよ、馬鹿澄人」


とかすみが珍しく心配そうに声をかけてくれた。


「ちっ、仕方ねー奴だな」


と碧夜が俺に、水の入ったペットボトルと薬をくれた。

俺はその親切の源を知っていた。俺だってそうする。弱っている人間を見付けると、心配そうな表情を浮かべ、優しい声をかける。「大丈夫?」と。自分がいい人だとその人に思わせる為に。相手を信頼をさせることは自分の人生に不利にはならない。自分の利益の為に人は動く。見返りのない慈善なんて無意味だ。……いや、確かに心配する気持ちもあるのか? ある、ある気もする……あれ、どうだっけ? 分からない。分からなくなる。かすみの「大丈夫かよ」も、150mlの水と薬もどこまで信じていいのか。何もかもが分からなくなる。そして何だか、寂しくもなった。もし、全員が自身の利益の為の心配なら……。

ぐるぐるする。頭の中で脳がぐるぐる回る。熱は俺に余計なことを考えさせる。分からない。分からない分からない。真っ暗な部屋の中。数々の数字。記憶にない友達との会話。夢なのか現実なのか判断がつかない映像。様々な光景、音が真っ暗な脳内を駆け巡る。それは熱が見せる幻聴、幻覚なのか、それとも、薬による副作用なのか。

でもどうかお願いだから、彼等の心配は本物でありますように。

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