#88 アツアツのピッケル
エクスカリバーが刺さったコムジウルはしばらくしたのち、ばたりと倒れ、動かなくなった。
「や、やったのか?」
「えぇ、倒しましたよ。」
「すげぇ!!!グラトニーは何もやってないのに!!!!」
「おい。」
「いえいえ、我が主人が竜の甲羅にヒビを入れてくれたおかげですよ。」
「いや、そんなことない。ミルドのおかげだ、ありがとう。」
「恐れ多いです。」
俺はミルドにスタミナポーションを与える。
「まさかあのコムジウルを倒しちまうなんてな。」
「まぁ俺の仲間だからな。」
「グラトニー、お前リーダーなのに何もやってないじゃん。」
「それはいうな。」
「まぁそれはそうと早速コムジウル鉱石をとるぞ。」
「とるって言っても背中をピッケルで叩くだけなんじゃないのか?」
「そんな簡単なわけないだろ。」
そう言ってヨルムンは特殊な鉱石でできたピッケルを渡してくる。
「これは?」
「地獄で取れると言われている焔帝鉱石でできたピッケルだ。これがないとコムジウル鉱石に傷さえつけれない。」
俺はヨルムンから借りたピッケルで甲羅を思いっきり叩く。
すると、
ジュワッ
「と、溶けた!?」
「焔帝鉱石はいつでもマグマ並みの暑さの鉱石だ。お前は熱耐性あるから大丈夫だろうけど見ろ、俺なんか持つだけで腕ちょっと溶けてんだぞ。」
「うわぐろっ。」
ヨルムンは溶けてなくなりかけている腕を見せつけてくる。
「てかこれ取ろうとしたら甲羅ごと溶けるじゃん。」
「だからそうならないようにゆ〜っくり慎重にとっていくんだよ。ほら貸してみてよ。」
ヨルムンはそういうと器用に甲羅の一部を剥がしていく。
そしてある程度取ったところで暑さに耐え切れずヨルムンの右手がぼとりと落ちた。
「こんな感じ。やってみて。」
「お、おう。お前右手大丈夫か?」
「大丈夫。こういう時のために右手の予備はたくさん持ってきたから。」
ヨルムンがそういうとヨルムンの部下がアイテムボックスから右手を取り出す。
「お前ってロボットみたいだな。」
「僕もそう思うよ。」
俺は今度は全て溶かさないように慎重に甲羅を剥がしていく。
「よし取れた!!」
甲羅は綺麗に剥がれ、コムジウルの肉が見える。
「てかコムジウル鉱石ってあいつの甲羅なんだろ?そのなんとか鉱石のピッケルで叩けば簡単に倒せたんじゃね?」
「…………。」
「おい無視すんな。」
「だってこれめっちゃ高いんだからしょうがないだろ!!!」