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【完結済み】世界のためなら何度でも  作者: 社長
第四章人間の国
24/192

#24 ご馳走

俺は黒いローブを羽織り、鋭利な短剣を装備してあのうるさいおっさんの近くに移動する。


今からあんなご馳走をいただけると考えるだけでヨダレが出てしまう。


まぁ今回は人目につかないように細心の注意をはらっての暗殺だ。


決して俺のことを誰にも見られてはいけない。


俺は物陰に隠れてあのデブが来るのを待つ。


コツコツと足音が近づいてくる。


それと同時にあのデブの愚痴が聞こえる。


「まったく、国王は何を考えられているのだ。 私を貴族から追放なんて……。」


どうやらあいつは貴族の資格を剥奪されたらしく、気が立っていた。


貴族から外されたので護衛も付けていない。


誰にも見つからずにご馳走をいただけるなんて最高だ。


まだかな、まだかな。


俺は期待を胸に待っていると、



グゥゥゥゥゥゥゥ



バカーーーーーー!!!


「ん?だれかそこにいるのか?」


最悪だ。


俺の腹の虫のせいで居場所がバレてしまった。


だがまだ顔もバレてないし周りにはだれもいない。


チャンスだ。


デブがこちらに近づいてきた瞬間、



ザクッ!!



「ーーーーーーーー!」


俺はデブの喉を短剣で切り裂き、声を出せないようにして殺した。


「ふぅ、一時はどうなるかと思ったぜ。」


俺は周りにだれもいないことを確認してから腹の肉を食う。


うま!!


脂がのっていてとても美味しい!!


いいもん食べて肥えた肉は最高だな!!


そういえば他の食べ物食っても味がしなかったのに味がする。


もしかして人肉以外食えない体になっちゃったの?


裁きのせいで人肉以外味がしなかったのか?


俺はしばらく考えた後、あまり考えないようにしようという結論に至った。


俺が夢中で食べていると、


「だれかいるのですかな?」


奥で声がした。


振り向くと、そこには30代くらいのメガネをかけた青い軍服のようなコスプレっぽい服を着たオタクっぽい太ったおっさんが立っていた。


チッ、見られたか。


「そこの少年。何をやっているのですかな?」


キモデブはずんずんと近くまで歩いてくる。


まずいな、ここで声を出されたら騎士団や魔道士団が集まってきてしまう。


俺は口元を急いで拭って答える。


「いえ、そこの溝に銀貨を落としてしまって今とっている最中なんです。」


「そうなのですか。」


キモデブは後ちょっとのところで踏みとどまる。


よし、そのまま帰ってくれ!! 頼む!!


そう言ってキモデブを返そうとすると、


「いえ、困っている人を見かけたらお手伝いしなければ。 協力しますよ、少年。」


そう言ってキモデブは再びこちらに歩いてくる。


お前いいやつかよ!!


そのまま帰ってくれたら殺さないでおこうと思ったのに!!


キモデブは少し歩いて立ち止まる。


人の内臓や血肉がぐちゃぐちゃに散乱しているのだから無理はない。


「これは……。」


「すみません、見られたからには死んでください。」


「むむ?」


俺は最大速度で短剣をキモデブの喉めがけて突き刺そうとする。


もらったぜ。


「〈プロテクト〉」


!?


俺の渾身の一撃は後少しというところで止められた。


キモデブの前には青白いバリアのようなものが貼られている。


まさか、


「ただのキモデブだと思って少し油断しましたね。 甘いですよ。」


キモデブがバリアを解いて話しかけてくる。


「おまえ、只者じゃないな。 名乗れよ。」


「えぇいいでしょう。まぁ名乗る名前は捨てたのですけどね。」


そう言ってキモデブはずれたメガネをクイっと上げ、


「私は断罪の女神の忠実な配下、〈タロット〉の大アルカナ、[NO.1]魔術師です。以後お見知り置きを」


そう言って丁寧にお辞儀をする。


叡智の書で見たことあるぞ。


断罪の女神は自分が気に入った人間を〈タロット〉という配下に置くと。


その中でも特に強いエリートが大アルカナと呼ばれるらしい。


元は20人いたらしいが戦死したりと色々で今は7人しか残っていないと聞いたがまさかその一人がこんなキモデブだったとは。


人は見かけによらないってこういうことを言うんだな。




評価、ブクマ等よろしく

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