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【完結済み】世界のためなら何度でも  作者: 社長
第四章人間の国
23/192

#23 無味

俺は女性に冗談を交えた説教をした後、大通りに出る。


しかし大通りは本当に食べ物の匂いで溢れかえってるな。



グゥゥゥゥゥゥゥ



「?」


昨日エンペラーバジリスクの残りをあんなに食べたのにすぐお腹が空くなぁ。


なんか最近暴食の空腹度が日に日に上がってきてるような気がする。


なんにせよ腹が減ってるのに変わりはない。


とりあえずなんか食べるか。


俺は近くにあった酒場、[クアッド]と呼ばれるところに足を運ぶ。


酒場にはたくさんの冒険者や商人が酒を飲んでいた。


「らっしゃい、なににする?」


俺が空いていたカウンター席に座るとチャラい雰囲気の店長がメニューを聞いてくる。


「じゃあ串焼きとファジーネーブルを。」


「はいよ」


注文を受けると店の奥に消える店長。


わからない人のために言うと、ファジーネーブルはアルコール度数が低めのカクテルのことだ。

(詳しく知りたい人はググってくれ。)


この世界での成人は14歳からなので、15歳の俺もギリギリ酒が飲める年齢だ。


「はいよ、ファジーネーブルだよ。」


そう言って店長が黄色いファジーネーブルを出してくれる。


俺はそれをちびちび飲みながら味を堪能する。


うん、うまい(かもしれない)。


正直この世界に来て数回しか酒を飲んでいないからアルコールの味に慣れてないってのが本音だ。


でも子供のころとかに酒飲むことに憧れるだろ?


だから味は分からなくても大人な雰囲気を楽しめたらそれでいいんだよ。


俺がゆっくりと酒を飲み干すと頼んでいたもう一つの品、肉の串焼きが出てきた。


酒に合うか分からないからとりあえず単品でいただくために少し遅めに出してくれと頼んだわけだが、ちゃんと出来立てホヤホヤだった。


続けて肉を頼んだら付いてくるサラダも出てきた。


まずは肉を一口いただく。


「……?」


気のせいか味が薄く感じる。


「店長、これって薄めに味付けした?」


「いや、結構濃いめのはずなんだけどな。」


酒を飲んだから舌が痺れてるのかと思い、一度水を飲んで時間を置いてから再び肉を一口食べる。


やっぱり味が薄い気がする。


それにあまり満たされない感じだ。


俺は気分転換についてきたサラダを食べる。


だが、こっちは肉と違って味すらしなかった。


そのほかにも色々なものを頼んで食べたが、植物、果物などは全く味がしなかった。


肉と魚はかろうじて味がしたが、薄くて全然お腹が満たされなかった。


とりあえず頼みすぎて店長が困っていたので店を出る。


大通りで色々なものを食べたが、どれも俺の腹を満たしてくれない。


そろそろほんとうにお腹が空いてきた。


俺はこの前の鑑定結果を思い出す。


確か俺には暴食の裁きというのが下っていたはず。


もしかしたらそれかもしれないと思って確認してみるとやはりそうだった。



暴食の裁き

暴食の大罪人が一定の禁忌を犯すことで発動する女神からの裁き。

人肉以外の味が薄くなり、腹が満たされずらくなる。

神からもらった特権である〈鑑定〉が剥奪される。



やっぱりこれか。


飲み物の味は感じるので、酒をガブのみして腹を満たすがそれも一時しのぎにすぎない。


そしてとうとう夜になってしまった。


俺は予約していた宿の部屋のベッドに寝転がる。


もう限界だ。


なにを食べてもお腹は減る一方だ。


何か食べ応えのあって量のある肉……。


そんなことをベッドで考えていると、宿の外でうるさい声がした。


俺は起き上がり、窓を開けて声の主を見る。


するとそこにはいい食べ物(エサ)を食べまくって育ったような太った(こえた)男性(にく)がいた。


どうやらその男性(にく)は貴族だったらしく、国王への不満を大声で叫んでいた。


ただ、俺の耳には会話は聴こえておらず、ずっと頭の中で同じ言葉がぐるぐる回っていた。



「あぁ、食べ応えのありそうな肉だな」と。



評価、ブクマ等よろしく!!!

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