Bルート
「…………。」
俺は魔剣を手放した。
「立てよ。」
「なぜ殺さないんですか?」
「いいから立てよ。」
アレイスターは言われるがままに立ち上がる。
「歯ぁ食いしばれや!!!!」
「え?」
ベキっ!!!!!!!!
人間が殴って出る音ではない大きな音が出る。
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!急に何するんですか!?」
「これでお前がやったことはチャラだ。」
「…………。」
アレイスターは力が抜けたようにヘナヘナと座り込む。
そしてポツリと、
「私はただ、妻を生き返らせたかったんです。」
アレイスターは今まで隠してきた過去を打ち明けた。
アレイスター=シーナ
ごく一般の家庭に生まれる。
一応その世界では学校の制度があり、アレイスターも学校に通っていた。
友達は多くはないが少なくもなく、恋人もいないごく普通の人間だった。
しかし魔術は上の中で学年では10位以内、クラスでは毎回1位2位の成績であった。
ある日、転校生がやってきた。
「今日から転校、いや転生してきた勇者の神成愛夜です!!」
燃えるように赤い髪を持った少女はそう言って無邪気な笑顔を見せた。
アレイスターがいつものように音楽を聴きながらお弁当を食べていると、その奇天烈な転校生は彼の机の上に弁当を置いた。
(こ、怖い!!)
アレイスターは自分が何かしたかとオロオロしていた。
「ねぇ君このクラスで一番魔術強いんでしょ?わたしにも教えてよ!!」
「え?まぁこのクラスでは強いですけど他のクラスにだってすごい人いますし…………。」
「いいから教えてよ、私勇者なのに魔術の才能全然なくってさ〜。」
その勇者というのがどういうものかはわからなかったがその日から転校生とよく話すようになっていた。
その時からアレイスターは彼女に密かに想いを寄せていたのだった。
時は流れ10年後、
アレイスターと愛夜は籍を入れ、二人で幸せな冒険ライフを送っていた。
時には苦しいこともあったが二人で無事上り詰めて行った。
その間に彼は愛夜から世界の仕組みや神王のことを知って行った。
世界神にヘッドハンティングされて天使になったり、魔王を倒したりと順調に愛夜は次期神王へと向かっていた。
愛夜が神王になった瞬間、そこで事件が起こってしまった。
「な!?この世界ごとを削ってどういうことですか!!」
「言ったまんまだ。お前が世界に肩入れしないため、他の兄弟とともに世界を抹消する。もちろんお前が育った世界もだ。」
「そんな!!アレイスターはどうなるんですか!?」
「抹消だ。覚悟を決めろ。」
「嫌です!!愛する人、それに血の繋がった兄弟達を殺すなんてできません!!」
「…………そうか。」
初代神王はため息をついたあと、アレイスターに剣を向けた。
「なら私自らが全てを消し去ってやる。」
剣先から光がほとばしる。
まずい、殺される!!
だがアレイスターは動けなかった。
光がアレイスターに命中する。
と思ったがアレイスターは愛夜に蹴り飛ばされて攻撃に当たらなかった。
「逃げて!!」
アレイスターは無我夢中で走り出す。
(逃げるってどこへ?こんな狭い場所で逃げれるわけがない!!!!)
次の瞬間、彼は姿を消した。
世界から、移動したのだ。
その移動する直前には愛夜の安心した顔が映っていた。
しばらく後に知ったことだがこの力は愛夜が神王の力でバグを起こしたことで不正入手したもの。
そして、それを起こした本人である神成愛夜は処刑されたということ。
この厳格な大いなる空間ではバグなど起きてはならない。
それを起こしたとして処刑されたのだ。
それからアレイスターは必死に死者を復活させる方法を調べた。
調べている途中、神王の奇石なら可能ではないかと考えたが神王の奇石は『死んだ直前に身につけている』、『もしくは体の一部を所有している』状態じゃないと発動しないと知った。
調べて調べて調べて調べて、
ありとあらゆる世界をわたり、あらゆる書物や伝説を嗅ぎ回った。
それでも答えは見つからない。
じゃあどうすればいい?
そうだもともと愛夜が死んだことを無かったことにすればいいんだ。
時間を巻き戻して初代神王が愛夜を処刑する前に止めればいいんだと。
「それが僕の計画だ。」
アレイスターは地面にベタっと寝転がる。
「君は世界を戻したいんだろう?あくまで可能性だけど方法があるかもしれないんだ。」
「ほ、本当か!?」
「あぁ、その方法は……。」
「その方法は!?」
「僕にもわからないや。」
「よし、二度と喋れないようにお前のした千切ってやる。」
「さ、最後まで話聞いてよ!!その方法を知ってそうな人に聴きに行けばいいんだよ。」
俺はアレイスターの下を引っ張っていた手を緩める。
アレイスターは苦しそうに舌を抑えていた。
「初代神王ならその方法を知っているかもしれない。僕は愛夜の時に一度行ったからテレポートの座標がわかるから教えてあげるよ。」
そう言ってアレイスターは汚い字でテレポートに使う座標をメモに書いて渡してくれた。
「じゃあ私は本来の目的を達成してくるよ。がんばってね。」
そう言ってアレイスターはどこかへ歩いて行った。
初代神王か。
いや、あんな人を人だと思わない奴に頼るなんてどうかしてるぜ。
自分で方法考えるか?
いやそんなことしてても無駄だ、大人しく初代のところへ行くか。
そもそも初代神王はやり方を知っているのか?
知らなかったらより絶望が大きくなるんじゃないか?
「どうすれば……。」
【終末の選択】
ここまで到達おめでとう!!
前回と同じように目次ボタンを使ってどれかのルートを選んでください。
もし望まない終末をえらん目次ボタンを押せば一時的に聖夜の時を戻す力を支えるようになりますので別のルートを選ぶことも可能ですので最初は好きな方をお選びください。
エンドを選んだ場合、終末が決定します。
ルートを選んだ場合、絶望が続きます。
それでは皆さん良い終末を。
【選択】
絶望を味わいたくないから諦める→Cエンド
解決策を自力で見つける→Dルート
初代神王のいる理想郷へ向かう→Eルート




